トランポノミクスでEU崩壊の期待

二度の大戦で戦場になったヨーロッパは、結局のところ、アメリカの援助で復興することになったので、裏返せば、この時点でアメリカによる支配がはじまったともいえる。

そのひとつの証拠が、1981年にエジプトの国民的歌姫、ダリダが移住先のフランス語で歌ったディスコ曲『Americana』である。
もちろん、この曲は母国エジプトでもヒットしたのは、79年にイスラエルとの平和条約が締結されたからである。

さて、「トランポノミクス2.0」が実行されたら(トランプ氏が大統領に返り咲いたら)、日本だけでなく世界が変わる。

南米では、アルゼンチンのミレー氏が先行して驚異的な実績をあげているし、もうひとつ、エルサルバドルでは、急激に犯罪発生が減っていまでは南米で一番安全といわれている。
ただし、日本の外務省は「レベル2の不要不急の渡航中止」アラートを出している。

あの国への渡航には注意がないけど、逆にあの国の外務省がわが国への渡航に注意喚起した。
日本のインバンド数が心配な業界人がいるのだろうが、わが国には制御不能である。

けれども、わが国が「トランポノミクス2.0」を制御することもできないので、やっぱり影響を受けるしかないという一方通行がある。
これは、アメリカの足元でいえば、左翼政権のブラジルとメキシコもおなじで、どんな制裁をくらうのか?ビビっているはずだ。

また、不法移民を輸出した南米各国や一部のアジアの国も、せっかく棄民(あるいは「スリーパー」を送り込んだ)したのに強制送還で戻ってくる恐怖もあるだろう。
ちなみに、「スリーパー」とは、行動開始の指示・命令を受けるまで「眠って待つ」といういみで、一朝ことあるときには戦士となるものをさす。

当然ながら、「戦後」を引きずるヨーロッパも日本とおなじ境遇だから、「トランポノミクス2.0」は、いまのEU委員会には至極都合が悪い。
とにかくウクライナ(人)がどうなろうとも、戦争を継続あるいは拡大させて、儲けたい、という強い欲求にあふれたひとたちが運営しているからである。

なので、「プーチン氏が率いるロシア」と、「全体主義体制だったソ連」との区別を教えないどころか、「おなじ」だというウソを宣伝するのである。

わが国では、1939年(昭和14年)にソ連軍と満蒙国境のノモンハンで関東軍(=日本軍)が衝突して大敗北を喫したのに、いまだに「ノモンハン事件」といって誤魔化すのとにている。

これを児島襄が小説『天皇』で、あたかも青年の昭和天皇が侍従武官(将官級)に質問攻めして、とうとう論破したのを天皇の優秀性の強調にみえる筆致でえがいているが、地図に時系列で書き込めばその稚拙な戦術の全体像はだれにでもわかるものだし、この衝突に戦略性は皆無なのである。

まことに、わが軍を動かしていた「軍事官僚(一般には「職業軍人」という)」の、学業(陸軍なら士官学校や陸軍大学、海軍なら兵学校と海軍大学)成績(卒業席次)万能主義は、そのままいまのキャリア官僚にも継続させているので、硬直化はまぬがれない。

ようは、職歴上の評価基準がないことの結果であるが、評価基準をつくらないところからすでに硬直化しているのである。
あとは、上司・上官による好き嫌いが人生を左右するので、どうしても「人治」となって、派閥をつくることになっている。

これを、自民党が利用したから、派閥はいつまでも解消できっこない。
根は官僚機構そのものの体質にあるからだ。
ようは、各派閥は官僚によって支えられている「浮き草」なのである。

わが国の官僚制を誤解して、カーター時代のアメリカが「SES」をつくり、これをまたヨーロッパが独自に日米の比較研究をして、EU(官僚)機構の設計図となった。
ゆえに、EU機構の中核にEU委員会という官僚の独壇場があるのは、無能で邪魔な政治家(議会)を排除したヨーロッパ的傲慢(王侯貴族支配)の思想そのものがみえてくるのだ。

トランプ氏はこうした意味で、人工的な理想像の「アメリカ建国思想」を真剣に具現化する、稀にみる存在(理想を棄てて現実の利益しか興味のないワシントンD.C.の住民には異端にみえる)なために、かえって、悲惨な全体主義体制を経験したロシアや東欧のひとたちからの親和性があるのだ。

それをまた、アメリカ民主党とヒラリー・クリントンが、「ロシア疑惑」というカネでつくったデマを拡散させたのだが、けっきょく真実がバレてアメリカ人の口が開いたのである。

さて、自由主義の現代的権化だったハイエクは、EUの登場を予言しつつEUの解体も予言して、1933年11月、「マーストリヒト条約」締結によって結成されたEUをみることなく、前年の1992年に世を去った。

ハイエクがEU解体の理由にあげたのは、ECB(ヨーロッパ中央銀行)の強権的ムリクリによる、「通貨ユーロ」の崩壊予測なのである。
強大な経済のドイツがマルクをやめるのと、弱小な経済の南部ヨーロッパ(たとえばイタリア、スペイン、ギリシャとか)が自国通貨をやめるのとで、実態はドイツの経済支配となる。

これに弱小国が反発するのは道理である。

そのドイツが戦後初ともいえる経済苦境にあって、国内第二位の「コメルツ銀行」をイタリアの「ウニ・クレディト」が買収提案して、阻止に動くドイツ政府とイタリアが大もめしているのである。

ECBは、かつてからヨーロッパ域内商業銀行の、国境を越えた統合を指導していたから、本来ならば「歓迎する」はずが、建前と本音の衝突になったのである。
ナショナリストのメローニ政権が、ウニ・クレディトを後押しするのは、グローバリストへの合気道的順手による投げ技となっている。

さては、まさか弱小のイタリアに買われることが、きれい事で政権をとったシュルツには、よほど嫌らしいのでその介入も露骨なのである。

これが、「蟻の一穴」になるかもしれないのは、トランポノミクス2.0でヨーロッパの全体主義破壊を試みることになるからである。

もちろんそのひとつがの衝突点が、ウクライナ問題である。

アメリカを訪問し、いつものようにおねだりをしているゼレンスキー氏(憲法による大統領任期が切れてもう4ヶ月以上がすぎた)は、ペンシルベニア州の砲弾工場を訪問し、戦争屋の州知事(当然、民主党)とともに、砲弾へ直接「サインする」という異様なことをやった。

自分たちのサインしたこれが炸裂するとどうなるか?のリアル感がぜんぜんない、まさに戦争屋の心理(他人事)が丸出しで、あろうことか、慣例を無視してこの行事に共和党の議員や関係者は誰も招待もされなかったのである。

まったく共和党に有利なことを、全世界に配信した神経が疑われるが、そんなものが初めからないのだと宣伝する愚は、トランプ氏への期待になるだけだったのである。

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