トランポノミクス2.0

5日、ニューヨークの経済クラブで財界人を前に直接トランプ氏から発表されたのが、「トランポノミクス2.0」であった。

大項目は5つ。

・エネルギーコスト半減(国内原油生産量を現状の4倍にする)
・環境対策をやめる
・規制撤廃(「前政権の1.0」で成功させた「2対1ルール」を「10対1」にする
・政府効率化委員会の設置(委員長にイーロン・マスク氏が就任予定)
・大減税(法人税率21%を15%にする)

なにに驚くかといえば、こうした政策提案のひとつだけでも真似る自民党総裁候補が誰もいないばかりか、全員が「真逆」だということなのである。

もちろん、「経済」というものは、さまざまな関連をもってつながっているために、上の5つも相互に関係している。

アメリカ政府の優秀性は、政府自体ではなくこれをやらせた政治家の優秀性ともいえる。
「立法」措置をしているからだ。

その肝が、「規制コスト計算」を各省庁に義務づけていることにある。

日本人は、日本政府の官僚が世界一優秀であると、なんの根拠もなく文学的に信じているけれど、わが国の政府は伝統的にも、自身で設けている規制コストを計算する術すら持ちあわせていないのだ。

国家総合職の合格者のほとんどが、法学部の学部生なので、経済計算をやれといわれてもなんのことかわからないだけでなく、経済計算をやれという政治家がそもそもいない。
つまり、日本人はどれほどの負担(コスト)を政府によって強制されているのか?を、政府もしらない、というレベルにあるのである。

ならばせめて、「2対1ルール」でいいからわが国でも導入してほしいものだが、業界のためにある自民党政治家には、このような案をあげることすらしないのである。
宗教団体の一般信者からなる与党の片方すら、自民党に促さないのはまことに不思議で、こんな政党に人生をかけて応援する根拠はなんなのか?がわからない。

ちなみに、「2対1ルール」とは、あらたな規制をするなら過去の規制をふたつ撤廃する、というものだ。
だから、「2.0」でいう、「10対1」ルールの破壊力はすさまじいと予想でき、大減税との相乗効果でアメリカの成長は加速するだろう。

政府効率化委員会がなにをターゲットにするのか?現時点で具体的にはわからないが、共和党大統領予備選挙の対抗馬だった、デサンティス知事とニッキー・ヘイリーの共通には、「連邦教育省の廃止」があった。

トランプ氏も、「1.0」当時、おなじことを発言してはいたが、とうとう実現せずに退任を余儀なくされたから、教育省廃止問題ははならず俎上に載るだろう。

キリスト教(清教徒)を基本とするアメリカでは、「信教の自由」の範疇に、教育の自由も含まれるけど、民主党政権(グローバル全体主義)は、ミッション・スクールにおいても「お祈りの時間」を規制したのが共和党には我慢できないのである。

もちろん、「LGBTQ]なる政治思想も、学校教育(とくに義務教育)で子供に強制することに反対するひとはおおい。

日本の場合なら、文部科学省が独禁法に違反して、教科の設定から学習指導要領まで、ぜんぶを独占しているのは、『共産党宣言』のとおりの政策だと書いてきた。
この意味で、安倍晋三内閣も、共産主義を推進したのである。

人口減少のために、移住者がほしい自治体はたくさんあるが、その「善政競争」に、教育がないのは、文科省の独占が絶対の体制になっているからだ。

カマラ・ハリスは、法人税増税をやると公約しているが、自民党総裁選では、見事に全員が増税派であって、けっして岸田氏の特許ではないのだ。

これが、自民党=アメリカ民主党の子会社、という理由である。

さてそれで、「1.0」で空前の好景気を招いた実績があるのがトランポノミクスだった。

民主党の鉄板支持者たる黒人とヒスパニック層が、急激にトランプ支持に転換しているのは、オバマ・バイデンの両政権とトランプ時代を比較してみたら、大企業にやさしい民主党と、庶民にやさしい共和党トランプ派のちがいが、はっきりわかったきたからである。

トランプ氏は、たった数年で、大金持ち富豪のための共和党を、庶民党に転換させたので、なんと労働組合も民主党離れをするにまでになったのである。

11月に、トランプ勝利ともなれば、日本でも一斉にトランポノミクスについての議論がはじまる。
最初は批判的から、だんだんと自民党批判の役に立つだけの理由から、日本でもやれ、ということになるだろう。

すると、今回デジタル・タトゥーをまき散らした自民党は、党勢立て直しに今回の候補者が全員、コマとして使えないことになる。

さぁたいへん、一大事。

まずは、トランプ氏が生きていてこそ、になっている。

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