ドイツは東・西に分裂している

23日投開票が行われた、ドイツの総選挙は予想通りの結果であったが、あたかも、フランスで左派連合による、「ル・ペンはずし」があったような「AfDはずし」というおなじパターンになりそうである。

ようは、政権の顔が、SPDからCDUにかわったかにみえても、実質的な中身の「連立」相手に変化はなく、この意味におけるドイツ人の「戦後保守」嗜好がハッキリとみてとれたことは、わが国の自公政権にとってもさもありなんとして、維新を取り込み国民民主を事実上排除したことにつけても、ホッとしていることだろう。

所詮、CDUとて、移民政策を推進したことをこないだ謝罪したメルケルの政党だし、そのメルケルが見出したのがフォン・デア・ライエンなのである。

こうした予想通りの展開に、ドイツ出身のフォン・デア・ライエンEU委員長は、「言論統制の強化」について発言した。
ウィルス感染症に対抗するワクチンによる予防策をそのまま応用して、当局だけが間違った言論と決めることができるのを、事前にEU委員会が予防的に「統制するのだ」と正当化したのは、悪魔の言葉として記憶したい。

一方、「X」では、ドイツの選挙区ごとの情勢を全土の地図に落とし込んだ画像がバズっている。

CDUが決定的に勝利した地域と、AfDのそれとが、みごとに「東・西ドイツ」の姿を浮き上がらせた。
コメントに、「全体主義を経験した東」と、「全体主義に呑み込まれた西」とあるのが印象的だ。

われわれは、経済発展の遅れた旧東を、大発展した旧西が支えているとだけの情報のなかにいまだにあるけれど、旧ソ連圏にあっての東ドイツの「優秀性」を忘れるように仕向けられていることにも注意したい。

選挙前にAfDを強く支持したのは、イーロン・マスク氏だけでなく、かつての東側同盟国であった、ハンガリーのオルバン首相も忘れてはならないし、このところ、敗色濃厚なウクライナに関係して、ポーランド政府も反グローバリズムを表明しているし、ルーマニアでは、反グローバリズムを訴えた最大得票の大統領候補が出たことで、選挙無効の判決がでる混乱になっている。

つまり、旧東欧圏(ロシアを含むから「旧ソ連圏」)が、一斉に反グローバル全体主義の、「自由主義」を意識的に採用していて、反共で対抗したはずの西側がすっかりグローバル全体主義の政権に取って代わられてしまった構図となっている。

これらの旧東欧圏では、また、親露(=親プーチン政権)であるという特徴が加わるのも、当然のことなのであし、親トランプ政権2.0が共通なのである。

なんと、90年代の「体制転換」という大変化を経たヨーロッパは、写真のごとく、ネガがポジに、ポジがネガに転換したということだったのである。

しかも、その縮図がドイツだった。

AfD支持者が多数の旧東ドイツに対しての、新政権による「お仕置き」がEUと組んで起きる可能性があるとかんがえられ、その露骨さが増せば、旧東欧圏とトランプ政権2.0からの支援による、「再分離独立=東西独立」までいくのか?と、おもわず妄想してしまうのである。

そのカギは、エネルギー供給源としてのロシアにあることはいうまでもない。

メルケル政権が大枚はたいてつくった、ノルドストリームの再建にしろ、新たな陸路からのパイプライン設置にしろ、ロシアから最初に到達するのは、「東ドイツ」なのだ。
これには、ゼレンスキーが止めたウクライナ経由のパイプラインの延長工事だって、和平後にはありえるのである。

わが国と同じく、「自動車産業」が柱のドイツ経済にあって、自らの環境保護策でエネルギー自滅して、肝心の自動車産業もいまや「虫の息」状態になったドイツが生きのびる方法は、トランプ政権2.0のような転換しかないけれど、新政権にも加わるだろう「緑の党」なる環境ファシズムが、引き続きこれを許さないはずだ。

すると、「東ドイツ」が離脱することで、自動車産業がこの地へ移転することも選択肢に加わるはずなのである。
逆に、わが国の自動車産業が生きのびるための「新天地」としての意味まででてくる。

あんがいと、わが国の製造業は地下資源が意外に豊富な隣国ポーランドに進出しているから、東ドイツなら距離の壁が薄い。

そんなわけで、第二政党に「大躍進」したけれど、得票率は「20%未満」だったAfDは、ほぼ倍増したとはいえ、「政権奪取」にはいたらず、ドイツ政界から完全なる「仲間はずれ」にされたのは、ドイツにおける「ナチズム」の定義がじつは曖昧であることも世界に示したのである。

わたしには、このことの方がずっと衝撃的で、やっぱりドイツも、わが国と同様に、「B層」たちが旧西側での多数派だったのである。
これはこれで、戦後一貫してアメリカ民主党がやった情報戦の結果なのである。

明らかに、トランプ政権2.0からの「お仕置き」がこれから下されるはずなので、そのやり方のパターンがわが国にもやってくることも確実なのである。

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