ナベツネの死と彼の時代

19日、読売新聞グループの総裁、渡辺恒雄氏(98歳)が肺炎で亡くなったとの報があった。

ずいぶん前に、東大の学生時代に共産党員だったことをカミングアウトして、辞めた理由を同窓の宮本顕治が嫌いだったからだとあっさり述べたのを記憶している。
もっといえば、自分が共産党のトップだったら辞めずにいた、ともとれる権力志向をあからさまにしても意に介さない御仁だった。

それが、ついこの間の、大リーグで活躍する選手への過剰なプライバシー侵害を伴う取材で、チームからの「出禁処分」を食らったことに関連して、相手側に謝罪しない理由を、「たかが野球選手」としたことでもあからさまになった。

つまり、現地・現場の社員が、たとえ「謝罪すべき事案」としても、東京でふんぞりかえるこの老人の裁可がなければ何もできない組織だと世に知らしめたのである。

もちろんチーム側や、現地のファンにも、こうした思考から強引な取材を命じたろうことが伝わったに違いなく、その文化の断絶に驚いたことだろうが、日本で詳細を報じるものがいないのも、「ナベツネ」の名前が出ることを恐れたからかもしれない。

なんにせよ、東京の大手町を歩いて、読売新聞社の大ビルディングや、近所の経団連会館とか、サンケイに日経新聞といったなぜか全部が「白い巨頭」を眺めるだけで、怪しいカネの流れと滞留がわかれば、社会勉強になること請け合いだから、地方の子供だけでなく都会の子供も是非とも一度歩いて観察するといいだろう。

そこに巣くう、権威と権力とカネの匂いでクラクラしてしまえば、「まとも」である。

日本を征服した連合国のおおくは、自国が戦災によって復興を優先させたのに、無傷だったアメリカ(民主党)が、ここ一番で張り切って、自己撞着(ナルシスト)するマッカーサーを利用した。

もしもヨーロッパを支配した陽気なアイゼンハワーとマッカーサーが逆の担当だったら、日本の戦後はどうなっていたものか?
これは偶然ではなくて、ルーズヴェルト政権の意図した人事だったに相違ない。

そんななか、CIAのエージェントに成り下がった正力松太郎の後任に、渡辺恒雄を見出したのは、やっぱりCIAなのだろうか?

トランプ2.0が公開を約束した政府機密文書から、日本がらみで意外な発見があるやもしれないけれど、トランプ自身がCIAを敵視しているのが現状だから、これからさまざまな「劇」がはじまる。
日本人の若い研究者には、是非とも渡米して猟步してもらいたい。

さてそれで、重石が取れた読売新聞は、これからどうするのか?

黙っていても、トランプ2.0になればCIAの方針も変わるので、これまでの戦争屋を擁護する記事を量産するわけにもいかず、方針転換をなんとかするには絶好のタイミングになった。

もちろんわたし個人が、いまさら新聞を購読する予定もつもりも全然ないし、あらたにテレビジョンを電気屋で買ってきて自宅で地上波テレビを観るつもりもない。

ようは他人事ではあるけれど、売れない新聞の経営やら、10代が誰も観ないテレビは、事業として生き残れるのか?を考えると、とうとう台湾にも抜かれた「一人当たりGDP」の落ち込みよりも深刻であろう。

EVシフトした日産がルノーから切り離されて、中国メーカーに売られるかもしれないし、内燃エンジン開発を辞めると宣言したホンダとの提携も、どうなるか?
それもこれも、売国の経産省がうごめいていることだとも書かない新聞というもの自体、なにも「読売」だけでなく、ご近所の新聞だってただの「紙クズ」なのである。

そんな堕落で、自分たちで散々恐怖を煽ったがために、在宅勤務が普及して、都心の事業用不動産にも入居者がいないのに、どういう訳か知らないが、鉄骨が足りないほどの建設ラッシュとなっている。

ニューヨークもロンドンも、商業ビル不動産の低稼働率が大問題になっている。

それゆえに、「トランプタワー」がどうなのか?も伝えないのは、不動産業化した新聞社の苦しい台所状況がバレるのをおそれるからか?

子会社の「日本テレビ」と、巨人だった「電通」本社がある、汐留のゴーストタウン化が、大手町に起きないと信じていたかもしれない老人の死が、残された者たちに多大なる負債を負わせるのかと思うと、こころからの哀悼の念が沸き起こるのである。

御愁傷様でした。

合掌。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください