ピケティ&トッドがいるフランスなのに…

『21世紀の資本』(フランス語原著は2013年、日本語版は2014年)のトマ・ピケティと、『西洋の敗北』(2024年)のエマニュエル・トッドという「世紀の知性」の二大巨頭がいるのにもかかわらず、フランスとEUのグダグダについてはこのブログに書いてきた破局的な実態がある。

つまり、フランス政界もEU委員会の官僚たちも、トマ・ピケティ&エマニュエル・トッドを無視しているのである。
だが、歴史家のエマニュエル・トッドからしたら、トマ・ピケティは、ずっとグローバリズム=執筆当時のオランド政権やマクロン政権&EUに近いのだから余計に始末に負えない。

ようは、混乱の元凶はマーストリヒト条約(1992年調印93年発効)=EUなのである。

しかし、ピケティが過去200年にさかのぼったように、それよりもずっと前からヨーロッパの歴史は血にまみれた小国同士の戦争の歴史だった。
「肉食の思想」から逃れられない自然環境にある彼らは、いまもずっと中国や日本でいう「戦国時代」を生きてきているのである。

日本では、「天下布武」をスローガンにした織田信長から豊臣秀吉・徳川家康という傑物が連続して登場するラッキーが「天下統一」を成し遂げ、太平の世を築いたけれど、そんな傑物を輩出することができないヨーロッパではナポレオン・ボナパルト一人だけという人材の貧困で、狡猾なる貴族たちによる「支配」をもってマーストリヒト条約締結となったのである。

この意味で、フランス革命は失敗が確定し、王党派貴族が事実上の勝利をおさめた。

無理やりの統合が30年あまりで崩壊しはじめて、いよいよ見た目でも戦国時代への回帰をしているのだが、長い時間でみれば、たった一世代ばかりのつかの間の平和(=戦争がなかった)だった、ということにすぎない。

そんなわけで、EU委員会がロシアを異様に敵視するのは、外部に敵をつくることでのいつの時代にもある「目くらまし政策」だとわかる。
トッドが、いまの人口と少子化(出生率は1.4しかない)によるロシアの国力を、現在の国境を維持するだけでも困難、とみていることでしれるのである。

それがプーチンが署名した、「戦術核を用いる」ことを可能とするあたらしい「核戦略」の発表であって、兵員のムダな消耗をしない、という決意になっている。
この延長で、ウクライナにおけるロシア軍の損耗をいかに少なくするか?が重要なのは、「戦後のベビーブーム」も視野にいれているからだと理解できるのである。

ときに、フランスの予算案が通過しないで政権崩壊危機の元凶が、ウクライナ支援にかかわる軍事費の負担について、議会の左・右両派が断固反対の立場にあるためだ。
日本でいう、都道府県知事レベルになったフランス大統領ゆえに、EU委員会(フランスのエリート官僚たちも多数いる)に奪われた財政と通貨発行権を駆使することもできない。

よって、EU離脱=独立国家に戻るしか方法がない。

さて、世紀の二大知性がいるフランスがこれで、そんな人物がみあたらないわが国の現状は、「混沌」としか表現できない。
東アジアにおける「戦術核」配備の実態は、すでに米軍をして本気で日本防衛をさせる話ではなく、いかに逃げるか?になっている。

だから、これを承知のトランプ政権は、1.0のときから日本の独立と核武装を勧めて逃げるが勝ちを画策している。

何度も書くが、現職の石破首相(すでに自民党総裁ではない)が、新首班指名のはずの臨時国会開会後冒頭に、いきなり解散、するしか打開策がないのである。

なぜなら、高市政権成立のための野合こそが、日本の危機をレベルアップさせるからである。

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