フランス・マクロンの崩壊?いえ西側

2024年6月9日は、世界史に記録される日となった。

まずは、EU議会選挙の結果である。

何度も書くが、EUという機構は、「EU議会」と「EU委員会」のふたつからできている。
なにもしらずに、このふたつを見せられれば、あたかも議会が「立法府」で、委員会が内閣のような「行政府」だと勘違いするだろう。

しかし、発足の背景にあった、日米欧の三極構造における、日本の巨大な「経済大国」としての当時の地位が、「官僚制」によって構築されたと勘違いした西ヨーロッパのエリートたちが、日本の官僚制を導入すれば「極になれる」として真似て制度設計したので、強大なEU委員会をつくって、議会はガス抜きの位置においたのである。

だが、だんだんとこの欺瞞に気がついて、徐々に議会の立ち位置は当初よりもカメの歩みのごとくではあるが、まとも、になりつつある。

これからEU委員会委員長を承認するするのが、議会のイベントになるが、再選を狙うフォン・デア・ライエンの野望が通るのか?は、あんがいと予断を許さない状況になったのが、この選挙の結果である。

EUを支えるのは、ドイツとフランスで、この両国の首脳はいま、グローバル全体主義者たちがなっているが、両国与党の大敗北で、とくにフランス・マクロン政権はふらつきをみせている。

今月末に行う、電撃的な総選挙で、「極右」のル・ペン氏が首相になる可能性まであるのだ。すると、マクロン氏は大統領辞任に追い込まれるかもしれない。

フランス経済をいまでもGDPで3割ほども支えてきたのが、アフリカ支配であった。

しかし、フランスの伝統的植民地アフリカでは、おおきな地殻変動がおきていて、それが、親ロシアへのシフト・チェンジなのである。
残念ながら、アメリカも米軍駐留基地を放棄する事態となり、代わりにロシア軍が駐屯をはじめている。

この状況下で、「極右」に政権をとらせるのは、マクロン派からしたら、長期的には「得」になるとかんがえている節がある。
極右だから、アフリカでなにかをしでかすかもしれないと踏んでいるのだろう。

さて、もうひとつの9日の歴史的意味とは、BRICsへ接近しているサウジアラビアが、キッシンジャーが構築した「ペトロダラー協定」の延長をしないと決定したことによる、「協定切れ」の日となったことだった。

石油の決済はアメリカドルに限定し、アメリカは交換条件としてサウジアラビアの防衛を担う、という、日本征服のシナリオを適応させた、天才的名案だった。

ベトナム戦争やら、ドルを発行しすぎて金との兌換を停止せざるを得なくなったアメリカは、ニクソン・ショックで世界を混乱させたが、石油兌換券としてのドル需要をもって、アメリカ繁栄の礎としたのである。

ペトロダラーの終焉が意味するのは、ドルの価値評価にかかわる一大問題だ。

サウジはすでに、人民元やインド・ルピー、ブラジルペソでの決済を認めている。
ここに、日本円も含まれるらしい。

これは、強烈な円高要因だが、わが国が世界一の保有高の「アメリカ国債(当然ドル建て))のゆくえによっては、「破産」の危機なので、円価の議論もすっ飛ばす破壊力がある。

はたして、ドルにリンクした円が紙クズ同然となったとき、われわれの生活がどうなるのか?は、想像するに恐ろしい破局だが、それはもう西側の終焉である。

惰性が続いているいま、急激な変化は起きていないが、徐々に売り手が示した「決済通貨の規制緩和」が、ドルへの需要も緩めるにちがいない。

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