フランス国債金利の上昇

金融面から世界を眺めるのに役立つ「モハPチャンネル」さんが、9月末に公開したのが今日の話題である。

いってみれば、その国の信用度が国債金利になるから、安定していると評価されれば誰もが買いたくなるので、売る側の国家(発行母体はだいたい「財務省」という)は、表面金利(利回り)を低くしても売れる。

なので、買う側が得られる利回りは低くなるので、メリットが減ってしまうからこれを「国債の値上がり」という。

逆に、信用の薄い国が発行する国債は、表面金利を高くしないと売れない。
金利負担は、国債を発行する国の側になるから、国からしたら負担増でも、買う側からしたらメリットが増えて安くなった(値下がり)ということになる。

一般的に、安く買って高く売る、というのが鉄則だから、利回りが低い国債を買っておいて保持していたのに、その後、利回りが高い国債がおなじ国からが発行されたら、もっていた国債の価値がさがってしまう。

それで、この利回りの金利差が大きいと、大暴落とか大暴騰とかになる。

「安く」なっても、満期には約束の利回りがついて償還されるので、そのまま保有するか損を覚悟で売りに出し(損切り)て、現金に換えるかの選択をすることになる。
「社債」でもおなじことがいえるけれども、社債の場合、その企業が倒産したら紙クズになるリスクがある。

めったにないが、国家破綻(デフォルト)してもおなじだ。

デフォルトといえば、2009年のギリシャでおきた。
このトリガーは、政権交代してできた新政権が、財政赤字の統計情報を誤魔化していたことでの信用不安だった。

さてそれで、ヨーロッパでは、フランスのマクロン政権の政治が不安定になって、ル・ペンの国民連合つぶしだけで結束した「左派連合」は、やっぱり結束することができないで、7月の総選挙後2ヵ月も新首相がきまらなかった。

似たことが、オーストリアでも起きている。
かつての二重帝国でいまは隣国のハンガリーのオルバン政権の影響もあるだろう。

ところで、左翼の政策には、一種の共通点があって、それが「プライマリーバランスの黒字化」なのである。
この思想は、国民がどうなろうがかまわず、国とその運営者たちに利益があればいいからだ。
例外は、じゃんじゃん赤字をでかくしているアメリカ民主党政権だ。

ただし、アメリカには世界の基軸通貨=ドル発行の、巨大な通貨発行利益がある。

わが国でも、財務省の「悲願」としているのがこれだ。
しかし、政府が黒字化することと、国民生活が豊かになることは、ぜんぜんイコールではない。

この「プライマリーバランス黒字化」の議論に、国民負担率の議論を加えるか無視するかで、方策がまったくことなるからである。

フランスでも、「増税」が大統領とその与党連合にあるのは、日本の与党とおなじ思想背景(グローバル全体主義)があるからだ。

かんたんにいえば、「減税」をやって「プライマリーバランス黒字化」をはかる、という政策選択がないといけない。
しかしながら、グローバル全体主義者たちには、かんたんな計算もできない(わざとしない)ので、問題をみただけで「不可能」ときめつけて思考停止する(ふりをする)のである。

けれども成功例があって、それが「トランポノミクス1.0」であったし、もっと前の「レーガノミクス」であった。

思い切った減税による経済の活性化で、税収を増やすことができる。

そればかりか、政府の市場介入(規制)を極力減らし、自由取引をさせることで、減税効果と相乗効果が生まれることは、もう実証済みなのだ。

わが国にあてはめると、「規制」のなかに、各種特定団体への補助金も含まれる。
肥大化した国家予算のコントールができないのだ。
それが、バブル以来40年の自民党政権による経済運営の失敗評価の根拠なのである。

しかし、グローバル全体主義者たちはこれを嫌う。

なぜなら、既得権益を失うことがとにかく嫌なのだ。
英国は破滅的な労働制権の登場で、より「底入れ」が早まっているけれど、これにフランスが後追いしていて、わが国も同様の状態にある。

さらに、フランスはアフリカ植民地の利権を失いつつあり、それがロシアの方に傾いているから、ウクライナにフランス軍部隊を派遣するなどという暴論をマクロンがいって、さしものEU首脳たちがドン引きした。

当事者のゼレンスキーが背に腹はかえられず、トランプに平和交渉を直接依頼するにいたって、おそらくフォン・デア・ライエン以下は机を叩いて狂乱しているにちがいない。

そんな愚か者たちの目の前で、金利というベクトル上の力学的結果数値に、フランス経済も混沌とすれば、まさにル・ペンの出番となるのである。
いまや青色吐息のシュルツのドイツも、ECBをつかって救済することもできないのだ。

そんなわけで、17年ぶりにフランスの国債利回りがスペインよりも高くなったのである。

スペインは、成長率でもフランスを越えたが、それが「政策の違い」の結果なのである。

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