日本人がアメリカ大統領選挙での候補者の発言やらに一喜一憂し、ハラハラドキドキするのがふつうだとおもっていたら、そうではないらしいことに気がついた。
それでも、こないだの衆議院議員総選挙には投票したというから、棄権したひとよりはずっと真面目なことにまちがいはないだろう。
これは、古くからの友人に久しぶりに会ったときの会話から得た「情報」なのである。
最大の驚きは、アメリカ大統領選挙と連邦下院議員総選挙、連邦上院議員入れ替え選挙(日本の参議院とおなじ)、はたまた、州レベル、郡レベルでの教育委員とか地方検事とか、保安官とかも一斉に選挙投票する、「一大選挙イベント」のことを、大統領選挙と呼んでいることをしらなかったことであった。
なので、有権者は、投票に最低でも20分は要する。
衆参両院ダブル選挙に地元議会などが重なって、おおくても5人程度を選ぶ日本の選挙とは段違いだ。
いったい、全部の選挙に何人が立候補していて、それぞれをまちがいなく選ぶのは、あんがいと難易度が高い。
むかし、エジプトにいたとき、エジプトの選挙を見学したことがあって、このとき驚いたのは、日本の新聞紙大の投票用紙に、全候補の名前が印刷されていて、これに「○」をつけるのだが、そもそも文盲率が80%の国だから、「補助人」が自分の入れたいひとの名前をいうと、そのひとにマルを付けてくれるのである。
これが、どういうことか?は、かんたんにわかる。
この意味で、投票機の不自然な作動状況は、エジプト並みということがわかる。
しかして、この古い友人は、トランプが勝つだろうとも予想していて、そうなれば「円高になる」と断言していた。
トランプはアメリカの工業復活を公約にしているから、「ドル安を目指す」はずだという。
だが、外国為替はそんな単純だろうか?とおもうのがわたしのかんがえで、場合によっては「超円安」だってあり得るのは、為替相場そのものに影響する「人為」が、経済学の机上モデルを凌駕しているからである。
けれども、選挙投票日直前になって、トランプ氏が公約し、人員配置計画を詳細化しているなか、「政府のムダ削減委員会」の委員長になる予定のイーロン・マスクが、有力な顧問に、ロン・ポール元下院議員(89歳、共和党・ケンタッキー州)を指名すると発表したのである。
息子は医師にして連邦上院議員(ケンタッキー州)の、ランド・ポールで、ファウチと議会で激論をかわし、「わたしが科学だ」とまでいった御大を論破したひとである。
とっくに引退したロン・ポール老人を引っ張り出したのは、背景に共和党トランプ派が連邦下院で提案した法案とからんでいる。
それが、「FRB廃止」法案なのだ。
「通貨発行権」は、各国の中央銀行がもつもの、という常識がいつの間にかできあがっているけれど、いつ・だれが・どうやって決めたのか?という問題が「闇」なのである。
もちろん、日本銀行券にたとえれば、原価20円でしかない「1万円札」を、日銀は9980円の儲け(粗利)をもって市中銀行に販売している。
これが、日本銀行の利益の源泉にちがいない。
江戸時代までは、ときの政権が発行した「政府通貨」が流通していて、「にせ金」はつくっても御法度だったし、鋳造技術がない時代は、「唐銭」という外国からの輸入品が流通していたけれど、外国貿易自体が政府管理下にあった。
明治になって、日銀を設立し、「政府通貨」をやめて、中央銀行に「通貨発行権」を独占させたけれども、その日銀株はだれがどれだけ保有しているのか?がよくわからない株式会社なのだ。
もっとわからないのが「FRB」で、アメリカ連邦政府はこの銀行に1セントも出資していない、完全なる民間企業なのである。
ために、中央銀行なのにアメリカ人のための金融政策ではなく、FRB自身に利益があることを優先させるという「闇」がある。
もちろん、FRBができたのは歴史的にいつかはわかっているが、なぜに「民間出資だけ」なのに「中央銀行」機能があるのか?についての明快な説明はないのである。
そんなわけで、トランプ氏と議会共和党の勝利は、世界経済の根幹を揺るがす問題提起となる可能性がでてきた。
マーガレット・サッチャーは、初の首相就任においてハイエクの自由主義思想が自分のベースにあるから、これからすべての政策立案はハイエクによると宣言した。
それで、反対派は「新自由主義」をねじ曲げる定義に置き換えて、いまに至っている。
あたかも、自州主義=リベラルを、左翼=グローバル全体主義というまるで別ものに言い換えるのに成功したかのごとくである。
なので、トランプ氏とその派は、ハイエクのハの字もいわず、ハイエクの「通貨自由発行論」の通りにこれを実現化しようとしているとみえる。
そのためのデジタル技術(たとえば「ビットコイン=ブロックチェーン技術」の活用)も、イーロン・マスクが担当するのだろう。
いわゆるわが国で使用されている既存の「電子マネー」は、ブロックチェーン技術を用いるのものではないから、個人情報保護の観点からしたら、ズブズブの危険があることは何度も書いてきた。
逆に、発行母体に悪用され、たとえば政府批判の言動と連携をして統制の対象にもなれば、たちまちにして『1984年』の悪夢が現実化する。
じっさいに、これを狙うと公言しているのが、「ビルダーバーグ倶楽部」だ。
もちろん、この倶楽部の下部機関「世界経済フォーラム」のエージェント、河野太郎が強引に進めた「マイナンバーカード」も、ブロックチェーン技術を用いていない「ザル」だから情報漏れが絶えないのである。
すると、トランプ政権は、アメリカにおける「グリーン・カード」とか、市民であることを証明する「社会保険番号」の証明を、ブロックチェーン化する策を実行するのではないか?
どうやら趨勢は決まった選挙で、民主党にのこる手段は、「不正」しかないが、これを吹き飛ばす結果になると予想するので、一喜一憂はないのだけれども、FRBの廃止ともなれば、いったんは太平洋を越えて日本にも大津波がやってくるにちがいないのである。