人事の妙を繰り出すトランプ政権2.0

「サステナビリティ経営」という浮いた用語が飛び交うのは、むかしからいう「ゴーイング・コンサーン:継続企業の前提」とちがうことをいいたいからだろう。

ようは、「ポリコレ:ポリティカル・コレクトネス: political correctness」を遵守する経営という意味で、かなり政治的な経営のことを指す。
辞典の中でも、『ブリタニカ百科事典』では、「ソ連共産党の政策と原則の遵守を求める言葉」だと説明されているので、やっぱりなぁ、なのである。

すると、共産主義用語大系にあるから、「ゴーイング・コンサーン」と分けることの意味がクッキリする。

大企業の経営が、共産主義者の株主と、これらによって選定される経営者によって、共産化=グローバル全体主義になったのである。
それで、これらの企業や経営者から資金を得る、政党や政治家が共産化した。

なんと、伝統的共産党の没落のメカニズムがここにある。

しかし、選択の自由と自由意思をもった残りのひとたちが、大富豪にして自由主義者のトランプ氏を選んだので、大きな歯車の回転が逆転をはじめた。
これを、むかしなら「反動勢力」とかといったものだが、いまは「極右」とくくって非難している。

成功した経営者であるトランプ氏は、当然ながら、「ゴーイング・コンサーン」を旨とする側なので、「継続企業の前提」としての組織づくりを重視するし、そのための人物評価と適材適所に余念がない当然がある。

彼が、「忠誠心」を重視するとの発言を、「サステナビリティ経営」の側は、「独裁主義者」といっているけれど、トランプ氏がいう「忠誠心」とは、自分への忠誠心ではなくて、その理念たる「MAGA」へのものだから、まったくもって、経営の教科書通りなのである。

日本もそうだが、一般人はマスコミによる思想操作の影響を受けやすい、という特徴をもっている。
これを定義したのが「B層」という、巨大な人口の塊である。

そのために、大手マスコミは「サステナビリティ経営」の側に、カネで従うことになった。

これに対抗したのが、イーロン・マスク氏による「Twitter買収」だったが、「X」と名を変えていま、さまざまな「言論統制:言論弾圧」の攻撃にさらされている。

そこで、司法長官候補に指名されたが辞退したマット・ゲイツ氏は、ついでにフロリダ州からの連邦下院議員も辞めてしまったことは書いた。
残した言葉は、「外部からMAGAを支える」といった通りの有言実行で、このたび、『OAN:One America News Network』のキャスターに就任することが決まった。

カリフォルニア州サンディエゴに本社があるこの放送局は、例によって「極右」という評価になっている。
わざわざ、地元フロリダの反対側である西海岸に出張るのは、カリフォルニア州を共和党が奪還するのだという意図もあるにちがいない。

まったくのブルーステートであるいまのカリフォルニア州ではあるが、レーガン時代までは岩盤のレッドステートだったのだが、移民に選挙権を与える法案をレーガンに署名させる詐欺的行為に成功して、いまの悲惨になったのである。

おそらく、マット・ゲイツ氏は、カリフォルニア州で圧倒的な人気をえるにちがいないから、この再就職先の決定は、「公約通り」なのである。

さらに、政権の宣伝を重視するトランプ氏は、去就が注目されたカリ-・レイク女史を、『VOA: Voice of America』の局長に抜擢する人事を発表した。
この職務は、「国営放送局」のトップとはいえ、連邦上院の承認を要しないが、「米国放送理事会(USAGM)」の承認がいる。

はたして6人中4人の理事から承認が得られるのか?は現状ではわからないが、テレビキャスター出身の彼女には「適任」なことこのうえない。
ちなみに、理事は3人ずつ、共和党・民主党という構成になっているため、予断は許さない。

「VOA」といえば、むかしは「FEN」とならんで、ソ連に対抗する「国際放送」であったけど、いまは移民が増えた「国内向け」のアメリカ政府プロパガンダ放送局の位置づけが重くなっている。

今回の大統領選挙では、ヒスパニック層における支持の増大がトランプ共和党の勝利に大貢献したから、彼らの「英語習得」に重要な教育効果をもたらす「VOA」の放送内容は、トランプ政権2.0以降にもきわめて重要な位置づけになるのである。

もちろん、カリー・レイクが就任すれば、「ゴーイング・コンサーン」の経営が行われることとなり、「サステナビリティ経営の宣伝」は排除されることになるだろう。

さてそれで、民間ゆえに決定した、マット・ゲイツ氏の放送は、年明けから、というから、その破壊力は、連邦上院議員への圧力になると期待されている。
もちろん、トランプ政権2.0の「人事案承認」への影響である。

おそらく、「OAN」への出演だけでなく、公平さが売りだったのに、トランプ氏と3時間も配信してから、トランプ支持を表明したあのジョー・ローガンのポッドキャスト(登録者数世界一1450万人)にも出るのではないか?

こうしたマスコミ戦略にも余念がないのは、人事を通じた継続企業の前提の基本があるからだ。

日本企業の「サステナビリティ経営」の脆弱さがよくわかる事例を、すでに提供してくれていることに注意したい。

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