他人の所有権を冒して平気な野蛮

近代が中世から近代になったのは、中世にはなかった、「所有権の絶対」が社会全員の一致した合意事項になったことによる。

もしも、資本主義なる「主義」が存在するなら、「所有権の絶対」なくして、成り立たないのは子供にもわかるはなしである。

貞永(御成敗)式目には、土地所有権についての絶対が崩れる20年ルールがあって、これがいまの民法にも残っている。
それゆえに、わが国において、資本主義の成立はあり得ない、という議論もある。

けれども、わたしは、資本主義は江戸から明治期(日露戦争後まで)の日本だけが、資本主義を経験した唯一の「人類の時間」だったとおもっているが、それ以外の欧米やらは、資本主義ができる前の状態、すなわち、「所有権絶対主義」社会でしかなかった、とかんがえている。

残念ながら、せっかく『旧約聖書』のはじめ、創世記からの「モーゼ五書」に、「十戒」(ここに「「他人のものを盗むな」がある)を定めて、神との契約をしたのに、何度も破っては滅ぼされる(神の怒りで殺される)こと繰り返して、それでもぜんぜん契約(旧約=十戒)を守らない人々のはなしが延々と続くので、とうとう『新約=新しい契約』をやり直すキリストの存在に依存したのである。

しかし、どこまでも野蛮なこのひとたちは、もっと野蛮なローマ人に信仰を武力で乗っ取られたために、強大な「教会」を神やキリストの意志とは関係なく構築・組織して、これをもって人間を支配する(ヒエラルキー)構造を社会全体に人為的につくった。

それでこの野蛮人たちは、第Ⅰ階級(聖職者・王)、第二階級(貴族)、第三階級(ブルジョワ:都市の豊かな商工業者)、第四階級(労働者)と勝手に決めた
農民(階級)がここにいないのは、ヨーロッパで農民は「農奴(サーフ:serf)」だったので、階級としての扱いも受けない存在だったからである。

さてそれで、サーフよりもっと酷い「奴隷:Slave」は、語源が「スラブ人:Slav」のことで、それこそがいまの「ロシア人」を指す。

ヨーロッパ貴族社会(たとえば血縁でほぼほぼヨーロッパを支配したハプスブルク家)でいえば、パリの社交界やらウィーンでの優雅なワルツを楽しんだ貴族たちの合間に、田舎者扱いされるロシア貴族が出没して、やたら尊大に振る舞ったのは、「Slav」への反発と卑下だったのではないかとおもうしかないのである。

そのヨーロッパ貴族の邪悪な血統を継ぐ、フォン・デア・ライエンが、ウクライナで凍結させたEUにおけるロシア資産(ヨーロッパ中央銀行:ECBにあるロシアからの投資資金)を、なんと「没収」して、その金利をもってウクライナ支援のための貸付金にするアイデを発表し、これにトロツキー派のバイデン政権が乗ったのである。

無論、「凍結」と「没収」は、意味がぜんぜんちがう。

とうとう、EUとアメリカは、他人のものは自分のもの、という、「ジャイアン思想」になって、人類社会を「中世」へと巻き戻した。

ロシア人のものは、Slav ⇒ Slave のものだから、奴隷が私有物を持つなんてあり得ない、という発想がとうとう現実の「政策」になったのである。

もちろんこの思想は、世界経済フォーラムのシュワブ氏が唱えた、「何も所有しないよろこび」と同じで、彼らの目に第四階級以下はただの「生き物」にすぎないのである。

対して、プーチン氏は24日、アメリカのロシア資産を同様に扱っていい、という完全なる国際法の遵守、「相互主義」に基づいた大統領令に署名した。

この信じがたい愚かなEUとアメリカの指導者は、ロシアをわが物にしようとして、ロシアが欧米に持っている資産以上に、エリツィン政権時にロシアに投資してきたことを忘れてしまったようで、どうやら大損になることを自分からやるようである。

いまさらだが、ポチの自公政権も、尻尾を振るのだろうが、スポンサーの経団(乞食)連が青くなって、勘弁してくれといわれて、協議につぐ協議をして補助金(お恵み)での解決を図っているにちがいない。

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