兵庫県知事不信任案の全会一致可決

19日、兵庫県議会は全会一致で知事への不信任案を決議した。

これより知事は、10日以内に、自らの辞職か県議会の解散の選択をしなければならない。

県庁内部で何があったのか?
2人が亡くなった「パワハラ疑惑」が最大の焦点になっていて、そのほかには、知事の物品おねだりとかが取り沙汰されている。

知事を告発した元県民局長が、100条委員会の直前に亡くなったことも、まったく不可解な出来事であった。

なんにせよ、本件に連なって亡くなられた方々には、まずはご冥福をお祈りする。

これからどうなるのか?もあるけれど、本稿では、邪推を含めたよもやま話をするので、はじめにお断りしておく。

まず、わが国の議会という議会が腐臭をあげて死んでいることは書いてきた。
国会然り、地方議会(都道府県・市町村のぜんぶ)も、行政に乗っ取られた。

しかし、世の中はあんがい複雑で、一筋縄ではいかないものだ。

その典型が、利権構造にある。
政治家がどうして豪邸に住み、運転手つき高級車の後部座席にふんぞりかえっていられるのか?は、メインの活動資金が利権からの収入であるからだ。

なので、富豪になってから政治家を目指したトランプ氏が利権に興味ないことが、もっとも嫌われる理由になっている。
ドブに咲いた一輪の花に例えられる所以であるけど、ドブの住人たちからは嫌忌される当然がある。

さてそれで兵庫県だが、いまの知事だけを見てはいけない。

歴代で、どんな県政が行われたのか?これには当然、議会も責任を持つことになる。
わが国の地方政府は、「二元制(首長と議会の対立的チェック体制)」を根本の建て付けとしているからである。

たとえば、映画『県庁の星』(2006年)では、知事役の酒井和歌子と県議会議長役の石坂浩二の癒着が、物語のベースにあった。
実態として「一元制」になったときのなんでもありが、役人人事に反映もされる恐怖映画でもあった。

この映画の通奏低音にある、酒井と石坂という名優の演技が光るのである。

しかし、事実は小説よりも奇なのは、組織マネジメントの訓練が未熟な人間同士の低次元のドロドロがあるからなのである。
それは、前にも紹介した、昭和の文豪、獅子文六の『箱根山』の題材になった西武と東急の子供じみたケンカが事実としてあったことでもわかる。

むしろ、当時箱根を訪れた観光客たちは、末端の社員たちがいがみ合う姿を見て、「双方企業の組織力」すら感じ取っただろう。
まったくもって、客が目に入らないまでのいがみ合いを全山どこでも目撃できたからだった。

さてそうなると、一人で県庁に乗り込んだ知事と、議会の関係はいかに?から、マスコミの偏向的態度が重なると、たちまちにしてターゲットを「悪魔」のように描くことができるので、事実と噂と無責任な話とが混ざって、何がなんだかわからなくなる。

そこに、「正義感」という感情が移入されたら最後、破局まで突っ走ることになる。

それが、先の大戦における国を挙げての破局ではなかったのか?

港湾利権へのメスを入れようとした知事に、圧倒的な抵抗として追い出しが行われているのかもしれない現実を、もっと観察したかったのは、横浜港を抱える神奈川県の姿が見え隠れするからである。

不幸にも、神奈川県知事は底なしの無能なロボットゆえに、何事も起きていないようにみえる。

ただ、横浜港はもはや国家による運営へと主体が変わってしまっているだけなのである。
その地元の国会議員が、菅義偉という秘書からのして総理にまでなった御仁だ。

兵庫県の皆様には、いったんクールダウンして何がなんだかわかるようにしないと、後悔先に立たずになるだろう。

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