原作は900年前の『平家物語』

紫式部が『源氏物語』を完成できたのは、彼女が仕えた中宮彰子の父、藤原道長の援助があってのことだとしられている。

この時期の天皇は一条天皇で、史上初の「一帝二后」となったのである。

それが、中宮定子で、彰子とは藤原家の従姉妹同士であった。
しかして、定子には、清少納言が、彰子の側には、紫式部がブレーンとして付いたことで、激しい「宮廷内文藝争い」となったのである。

それから、平家が勃興し、ついには源氏との争いとなり、とうとう鎌倉幕府へと移り変わる。

なので、源氏物語と平家物語にはざっと200年の時間差がある。
ましてや、平家物語の作者は不詳ということで、この長大な実話に基づく格調高い作品を残せたのは、それだけ語り手である琵琶法師と聴き手の大衆に文化水準の高さがあってのことだ。

これが、数ある「新訳」のなかでも、古川日出男が全訳し、テレビアニメの「原作」になったのである。

わたしは、吉川英治の『新平家物語』全16巻を高校1年のときに読んだ。
小学生のときのNHK大河ドラマ(1972年)がこれで、仲代達矢が清盛、中村玉緒が時子(二位の尼)役で、脚本が平岩弓枝だった。

いまでは、Kindle版で全巻が1セットになっている。
紙のページをめくり、読みおわった巻が増えていく満足感は、紙にまさるものはないが、重さがない電子版の便利さはいうにおよばない。

この長大な「ドキュメンタリー」には、オリジナルにない「舞台回し」の役として、吉川英治は「政商・朱鼻の伴卜(あけはなのばんぼく:大河では藤田まことが演じた)」、アニメ版では、未来を透視する異能力者の少女「びわ」を登場させている。

アニメの放送開始は2020年1月だった。

これが、いま「世界ヒット」しているという。
原作が、「900年前の日本文学」であることが、ヨーロッパ人には衝撃的であるようなのである。

なにせ、この時期のヨーロッパは、まだまだ未開かつ野蛮の地であった。
ドイツは存在せず、ゲルマン人は森の生活をまだしていた。
「ジークフリート」は、伝説だが、ついこないだまでのリアルな記憶でもある。

つまり、あまりにも文化・文明の度合いがちがいすぎるのである。

日本人の「あたりまえ」が、ぜんぜん通じない。
900年前に、「諸行無常」の概念を、庶民が理解し、落ちぶれる平家の姿に涙していたことが、ヨーロッパ人には「異惑星」でのことにみえるだろう。

祇園精舎ぎおんしょうじゃかねこえ諸行無常しょぎょうむじょうひびきあり。

沙羅双樹さらそうじゅはないろ盛者必衰じょうしゃひっすいことわりをあらわす。

おごれるひとひさしからず、ただはるゆめのごとし。

たけものついにはほろびぬ、ひとえにかぜまえちりおなじ。

いま、平家を自民党にたとえたら、はたして庶民は、落ちぶれる自民党の議員たちに涙するのだろうか?
この意味で、西洋化=洋風化とは、たんなる退化、なのだといまさらにわかるのである。

これを、トインビー博士は、「日本文明」と定義した。

昨日、21日は「夏至」であったが、東京都議会議員選挙の活動最終日でもあった。
「奢れる人も久しからず」が現実となるのか?
今日の夜か、明日に判明する。
その後は、参議院通常選挙になる。

ときに、『源氏物語』は、宮廷内での皇子の奔放な性生活を描いているフィクションだともいえる。
これを、なにかのスイッチがはいったごとく「積極推進」しようとしているのが、WHOだし、国連(UN)なのである。

とくにWHOは、成人の小児性愛を合法化させるように活動している不道徳がある。

トランプ政権2.0が、「脱退」を決めた背景に、この件にも重きを置いているのである。
源氏は成年男子であるが、子供を相手にしてはいない。
それでもって、WHOの意向に添った活動が、わが国でもはじまっている。

それが、「キンモクセイの本」から注文できる、「性の絵本シリーズ」だ。

これも、諸行無常といえるのか?        

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