5日、参議院議員会館に移民排斥の極右政党とマスコミに喧伝されている「ドイツのための選択肢:AfD」の共同代表である、ティノ・クルパラ氏が表敬訪問したとの報道があった。
報道各社は一斉に「極右」と報じて、個人発信の一部には参政党を公安の監視対象にすべきとの主張もあるようだ。
しかし、参政党は1議席時代のはじまり時期に神谷氏がドイツにおもむき、AfD幹部との接触をしていたので、今回の来日は、大躍進の成果を祝いにやってきたのだおもわれる。
このときのAfD側の対応は軽く、まぁお互いにがんばりましょう、程度だったかと記憶している。
神谷氏はすでに今月には、アメリカ共和党幹部を訪問する予定が発表されたが、来月には欧州にむかって、AfD以外の各国保守政党幹部にも面会し、それぞれに協力関係を深める予定だという。
グローバリズムに対抗する反グローバリズムも、じつはグローバリズムの一種なのである。
ときに、参政党の支持拡大法則について、既存マスコミの学習効果がみられない、という皮肉がある。
それは、参政党をディすればディするほどに、支持が拡大するという法則なのである。
こないだの参議院通常選挙における、参政党の得票についての詳細な分析がではじめている。
これによると、地域によるまだら模様があって、どうやら西高東低の傾向がはっきりしている。
とくに、九州における濃さが注目され、東北地方の薄さが目立つのである。
一方のAfDは、ほぼベルリンを除く旧東ドイツだけが濃いという特徴がある。
彼らの党勢拡大には、旧西ドイツでの支持をいかに得るか?が大課題なのだ。
だが、政権与党と他の野党は、「AfD禁止法案」を通そうとしているので、旧東ドイツでは連邦離脱の議論まである。
ここまで分断の谷が深いのは、共産主義を経験した旧東ドイツのひとびとが、自由の価値をしっているからで、一方、貧困からの救済で旧西ドイツが負担した経済的な支援の恩義に報いないことに腹立たしいという感情がある。
この点で、わが国は敗戦してもまだドイツよりは恵まれた環境で生きてきたことがわかる。
今回来日した、ティノ・クルパラ氏は、中卒の職人であった人物である。
学歴という点でも、職業に貴賎があるヨーロッパでの社会環境をおもうと、日本人には想像も出来ない苦労があるはずだ。
ばあいによっては、この人が話すドイツ語が標準ドイツ語とはちがうかもしれない。
隣国のポーランドで自由化後大統領になった、ワレサ氏も、標準ポーランド語を話さずに労働者階級独特のポーランド語話者であったために、来日時の通訳は外務省の貴族階級のポーランド語を修得した役人では役に立たず、『平家物語』のポーランド訳をなしとげたワルシャワ大学教授が、天皇との謁見時に日本側通訳を請け負ったことがあった。
「(職業的)身分」によって、話す言葉もちがう。
これがヨーロッパなのである。
だから、『マイ・フェア・レディ』が成り立った。
オードリー・ヘップバーンの美貌が見どころの映画ではない。
さて、参政党の快進撃は続く。
いまや無敵状態なのは、支持母体が国民にある、というわが国初の本格的近代政党ゆえの必然だからである。
つまり、叩く側とは、民主主義を憎む者たち、という実態をさらすだけのことだから、法則が作動する。
国民を叩いている、という構造に気がつかないか、グローバル全体主義の手先だという化けの皮が剥がれてきたからである。
来週にはプーチン・トランプ会談が予定されているが、互いの経済特使が濃密な予備会談をやっていると欧米メディアは熱気をもって伝えている。
ロシアがとのパイプをどう持つのか?さえも、参政党に期待が集まる。
さては、神谷氏訪問先の日本大使館はどんな待遇をするのか?よりも、岩屋外相が仕切る本省からの訓令で冷遇せざるを得ない状況に困惑しているにちがいない。