名誉革命と『権利の章典』再考

英国での名誉革命は、1688年(日本では「元禄元年」)の出来事で、翌年には、『権利の章典』が成立した。

これによって、国王に対して、「議会」が対峙することになって、
・法の廃止
・課税
・常備軍の募集 には、議会の同意が必要になったのである。

上の3点をよく読むと、わが国はどうなっているのか?と疑問に思わずにはいられない。
もしや、わが国は、1600年代の英国よりも「権利がない」のではないのか?

法の廃止

いったん法制化された法律が、わが国で「廃止」になることがどれほどあるのか?
たいがいの法律は、「改正」という手段で生き残っている。

課税

わが国に税理士が必要なのは、税務が簡単でないからだ。
加えて、公認会計士が必要なのも、会社法における決算が簡単でないからだ。
もちろん、税法も、国会で定めるのは「法だけ」で、「施行令:政令」や「施行規則:省令・府令」は、内閣や各大臣の行政府が定めるものだ。

よって、施行令や施行規則は、国会のチェックを要しないので、行政府が「匙加減」できるようになっている。

常備軍の募集

わが国には、常備軍は存在しないことになっている。「自衛隊」は常備軍ではないけれど、国際的には「軍扱い」を受けている実際がある。
ただし、たとえば海上自衛隊の艦艇が外国に寄港する場合に、軍港への寄港が許可されればまだしも、一般港湾を指定された場合には「接岸料」を請求され、払えない場合には寄港も物資補給もできない扱いとなる。

少子化による定員割れはすでに自衛隊でも発生しているが、強制的な兵員募集が行われる可能性は、国会次第、なのは意外と世界共通になっている。
なお、現状、アメリカ連邦議会では、アメリカ軍の徴兵登録(18歳から25歳までの男性は義務化されている)に女性を加えることが議論されている。

男女同権をいうフェミニストは、これをどうおもうのか?
もちろん、米軍はLGBTQについて積極的寛容である。
対して、ロシアではLGBTQは、個人のことなので、他人にカミングアウトしたり主張することは禁止・逮捕される。

なお、あんがいとしられていないことだが、世界共通の常識に、大学における「軍事学の必修」がある。
わが国では、まず同様の「必修」があってもいい。
講師は、自衛隊左官経験者以上が望ましい。

さて、英国で二院制ができたのは、上院が聖職者や大貴族、下院が地主貴族やジェントルマン層と、歴史的背景がある身分で分けたからである。
わが国もこれに倣ったが、敗戦後の華族廃止で上院たる「参議・院」が浮き上がってしまった。

アメリカ人からなるGHQは、アメリカ方式の上院の役割(外交・条約、政府高官人事承認)と下院の役割(連邦予算)を、日本の議会に当てはめることはしないで、上院を下院(衆議院)のただのコピーとして、さらに下院の優先を認めたので、参議院は一層浮き上がったのである。

それで、仕方がないから、マスコミは「参議院は良識の府」なる持ち上げをしたが、選挙制度改革という自民党の永久支配制度の導入で、ほとんど意味のない二重議会という存在の軽量化を図り、比例区なるごまかしの導入で復活当選を可能にすべく衆議院にコピーしたのだった。

こうして、国会議員=衆議院議員という定義になって、どのように選挙区を相続するのか?になり、平安時代以来の「新しい殿上人」という身分制度ができた。

これが、いま、国民に上から目線で平然と語れる状態をつくったのである。

絶対に落選しない仕組み、があると信じて疑わないからだ。

しかし、ロン・パリを見よ!なのである。

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