社会主義と国家主義が結合した、全体主義を「国家社会主義」という。
それぞれの「主義」である、社会主義だけ、国家主義だけ、でも全体主義になるのだから、国家社会主義はかなり強力な全体主義である。
あの、ファシスト党の「ファシズム」も、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)の「ナチズム」も、それぞれに強力な全体主義だった。
だから、将棋でいう「歩」のような、ゆるやかな全体主義である社会主義が発展すると「成る」という、共産主義も、社会主義よりずっと強力な全体主義である。
共産主義を、人類普遍の価値として普及することを主眼に置く一派を、国際共産主義(運動)というのは、共産主義のさらなる平面的拡大という意味では当然がある。
これを、最近では「グローバリズム」と呼んで、国際共産主義といわずに隠している。
世界最大の共産党は、中共、であるけれど、あえて二分すれば、江沢民派と習近平派になる。
江派は、国際色があって、カネもうけが大好きな一派であり、そのカネで人心をコントロールして全体主義を完遂させる思想である。
一方の習派は、毛沢東主義を信奉するから、ナショナリズムに重点を置き、個人の権力極限化=神格化をもって全体主義を行うことを旨としている。
いわば、平面拡大の江派とちがって、垂直拡大を図ることが特徴ので、この両派は相容れないことになる。
つまり、グローバル全体主義を目指すのは、江沢民派なのである。
そのために、欧米のネオコンとの親和性が高いのが江派であった。
ロシアのプーチン大統領も、アメリカのトランプ大統領も、アンチ・グローバル全体主義を標榜しているので、この一点だけの結節点で、習派とつながるのである。
習近平は、無能を装いながら江沢民・胡錦濤に取り入り、彼らの引退で権力を掌握すると「掌返し」したのは、どことなく李登輝(本名は岩里政男)に通じるものがある。
絶対に懲りないグローバリストたちは、その習近平を失脚させて江派復活をやっており、これとつるむのが、わが国の「自・公・立憲」政権の社会主義者たちという構図である。
これが、2025年参議院通常選挙の、根にあってみえない選択なのである。
さて、このブログで肩入れしている「参政党」の躍進が、その支持率調査においても顕著であると書いてきた。
しかしながら、この政党の本質的な思想のバックボーンはなにか?を問えば、あんがいと「国家社会主義」の側面が見え隠れしている。
これを、倉山満氏がズバリ指摘しているので注目したい。
もちろん、わたしは反対する「自由主義」を推したいのだが、じつは自由主義もグローバリズムといっていい人類の普遍的な価値観であるといえる。
つまり、「よいグローバリズム」と「悪いグローバリズム」がある。
この国の現状ばかりか、世界の現状で自由主義を実現することは、かなり難しいし、その前に「崩壊」の危険が高いための「つなぎ」として承知しながら、参政党に期待している。
いまこの瞬間の地球上で、自由主義を目指して行動しているのは、アルゼンチンのミレイ氏だけなのである。
その’アルゼンチンは、およそ100年前には、GDPで世界10位にある「先進国」だった事実がある。
「自・公・立憲」政権の社会主義で、アルゼンチンのように「最悪」にまで落ち込んで、いよいよ気づいた国民が「自由主義」を選択する、というシナリオはある。
しかし、「自・公・立憲」政権の社会主義は、みごとに隠蔽されて「ステルス化」しているので、肝心の日本国民のおおくが、「社会主義」であることに気づいていない、という難がある。
ちまり、日本人は「主義」を理解できなくされている。
そのために、「自由主義」の理解は、超難関で、実現困難だとおもわれる。
それで、いったん参政党の国家社会主義が、「自・公・立憲」政権の社会主義よりわかりやすいのではないか?とおもうのである。
参政党が「公約」に掲げる国家社会主義的政策は、概ね次のとおりである。
・国家非常事態の少子化対策として、子供一人に10万円/月・非課税の手当を15歳まで支払う(3人なら30万円/月)
・上に加えて、税と社会保障の国民負担率を35%までとするための財源は、国債の増発(日銀引受)と、政府発行デジタル通貨(ブロックチェーン式)
・郵政とJR再公営化&整備新幹線の全国開通
・本州運河(日本海・琵琶湖・伊勢湾)の国民投資 など
政府は基本的に「完全消費者」なので、予算によって「カネ」を配ることしかできない。
そのために、日本国民が消滅する危機が現実化しそうな人口減少の現段階で「国家非常事態」を宣言することは、妥当であるばかりか、やや遅い、ともいえるから、思い切って10万円、は重要な施策であろう。
たしかに、「制度」を残しても、「国民」が消滅していなければ、元も子もない。
一方で、集めて配る、というのは、典型的な「大きな政府=社会主義」であるから、アベノミクスも社会主義経済政策であったと書いてきた。
しかるに、これをやめる、ことで国民負担率を35%までとするのには、DOGEがやったような「おおなた=政府の縮小」を加えるべきである。
その他の、巨大国家プロジェクトは、ナチスのアウトバーン建設と同様で、典型的なケインズ政策である。
だが、「民営化さえすれば良くなる」という偽りの自由主義が成功したとは言い難く、JRは5社体制や経営理念レベルからの修正が必要だろうし、郵政の困窮化は国民生活にも耐え難い状況にある。
つまり、国民は、この処方は国家社会主義的=毒もあるのだと承知して、これらの優先事項への対処をみないといけないのである。
さもなくば、ファシストやナチ、という自由を殺す全体主義の悪夢がやってくるかもしれないからである。
なにせ「マスク警察」なるものが自然発生するような、「善意の強制=全体主義を好む」をやる国民性は変わっていないからである。