1日、参議院議員として初登院した後、参政党の神谷代表・参議院議員は、党役員人事と所属議員の各委員会での配属を発表した。
これが、適材適所だとして好評を呼んでいる。
けれども、選挙前に誰を立候補者とするのか?という段階からの準備(党内予備選投票)があってのことだから、この人事はおそらく党内の雰囲気では特段の驚きはなく、むしろ予定通りのことに平常心そのものだとおもわれる。
難しかったのは、幹事長と政調会長という役職に誰を就けるか?であったろうが、参政党の場合、創業者の神谷代表が結党以来、事務局長を兼務しているので、「幹事長」というポストが必要なのか?という疑問がある。
さらにまた、「政調会長」というポストも、ずいぶんと「大政党」の振りをした先を見た感がある。
自民党のコピーということが必要なのか?
むしろコピーするなら、アメリカ型を目指すのかとおもったので、意外な感じがするのである。
この意味で、おなじ創業メンバーの松田学氏が、両院議員総会長と参議院議員会長を兼務することの意味は、アメリカの「院内総務」的な感じがしている。
さらに、アメリカの二大政党には、明確な党首がいないという特殊がある。
基本的に市井・民間からの政治献金をいかに集めるのか?に共和・民主両党の特徴があって、少額・小口の個人献金を中心とする共和党(トランプ派)に、もっとも近いのが参政党なのであり、大口企業献金を中心にする民主党と自民党が本店と支店関係になる道理がカネの面でみることができるのである。
つまり、参政党の場合、事務局長と幹事長の組織分掌のちがいはなにか?が問われるばかりか、政調会長と院内総務のちがいもなにか?となる。
この意味でいえば、アメリカの政党は、「全国委員会」が選挙やら日常の活動面とカネを担当しているから、結党以来の事務局への責任集中もどうするかということになるだろう。
もうひとつ、参政党が公言していないことに、議員への「党議拘束」という制度をもうけるのか?しないのか?という点がある。
アメリカの政治習慣に「党議拘束」はない。
なので、有権者は地元選出の議員に近く、地元選出の議員の窓口(電話やネット)は、常に開かれているし、地元の党支部も同様なのである。
よって、有権者は地元議員に政策面での陳情だけでなく、意見も連絡して議員活動をみているのである。
ようするに、アメリカの議員は党の看板は背負っているが、党議拘束という全体主義に与しないから、いつでも造反できる立場にある。
議員の判断に影響するのは、地元有権者の意向、という原則があるからだ。
この点で今後、参政党が党勢拡大をすればするほど、党本部と党支部の意向と議員・有権者との複雑な確執も顕在化するであろう。
ただし、党本部へは常に党支部からの意見提出の制度があるので、これまでのところ党本部が支部の意向を聞くという体制であった。
ましてや、政権与党となった場合には、衆議院と参議院の議長職の権限をどうするか?も顕在化する。
こちらは、国会法の改正でアメリカ型にするのか?も議論のあるところだし、国会に予算編成権を移行させることも重要な制度上の案件となろう。
はじめて法案提出ができるまでになったばかりだが、従来の大政党同志による野合の慣例をいかに破るのか?も含めて、さまざまな軋轢との戦いが始まった。
今回の人事は、その意味での試金石にちがいない。