家畜化実験の結果

結論から書けば、「自己家畜化」現象の発見であった。

当初、この実験対象の最終候補だったのは、キツネと人間だった。
しかし、人間をして世代を超えた実験対象にすることはできないから、家畜とはいえないキツネが対象として選定されたのである。

ゲージにいれて飼育するのだが、エサを与えるときに「だけ」人間と接触する実験で、文字どおり「瞬間的に頭をなでる」ことを繰り返す。
すると、なついてくる個体と攻撃的な個体とに分類できるようになって、なついてくる個体同士を交配させて次世代をつくる。

これを、数世代にわたって繰り返すと、とんがった顔ではなくて丸味を帯びた顔つきのキツネとなるし、性格も温和となるのだが、脳にある興奮物質の供給も少ないことがわかったのである。

ところが、こうしたキツネの変化から、ある仮説がとなえられるようになった。

それが、人類の、もとが野蛮な性質から現代人の温和さの変化についてのもので、「自己家畜化」説となったのである。

人間の場合、集団生活をしないと生き残れない、ために、いかにして「社会化」するか?が生存の条件になる、とかんがえた。
そうやって、自己家畜化、をもって周辺のひとたちと協調しあうことが、DNAレベルでも書き込まれるようになったとする「説」である。

さらに、あのレヴィ・ストロースのコペルニクス的転換があった名著、『野生の思考』も意識している。

さて、キツネを用いたこの実験は、ソ連時代のロシアでのことである。

ここで、気になることは、「白人」のイメージが強いことである。
レヴィ・ストロースの「野生」とは、「野蛮」とはことなる。
しかし、白人の「野蛮」こそ、彼らのDNAレベルに埋め込まれていないか?とおもえるふしが多分にある。

信長も、秀吉、家康も、「南蛮人」と呼んだのには、それらのひとたちの人間性に「野蛮」をみたからであろう。
当然だが、ザビエルは宣教師としての顔の裏に、征服者の欺瞞があったのをこの当時の日本人は即座に感じとることができたのである。

すると、縄文遺跡から一切の武具が出土しないことの意味が深くなる。

狩猟道具はみつかるが、戦闘用の武具・武器がないことの、平和主義は、自己家畜化のレベルを超えているとかんがえられるからである。

その不思議のひとつに、律令制の「租庸調」が、中央からの「お達し」だけで成り立っていて、「防人の歌」にある程度で、おおきな反抗・反乱がなく施行されていたことがある。
従わなかったのは、「蝦夷(えみし)」と呼ばれたひとたちばかりの東北以北の地域しか話題にならない。

それで、中央の貴族たちの私腹を肥やす、「荘園」の管理人から武士が出現するのは、えらく悠長なはなしなのである。
しかも、武士たちが言葉たくみ(「和歌」の名手たち)だけの貴族を武力で従えるには、これまた数世代を要している。

その武士たちも、言葉たくみとなって、影響は町人に及び、「連歌」や「俳句」に昇華していく。

まことに、「言霊」や、「穢れ」と「禊ぎ」、そして「怨霊」への信仰心が強かったことがうかがえるのである。
貴族を相手に荒くれ者のはずの武士たちが、おっかなびっくり、なのは、武力以上の「なにか」に怯えていたとしかおもえない。

逆に、貴族たちが武力をもつ武士たちを徹底的に見下していた、自信、の根拠が、「清涼」なる血を根拠にしていたのか?

まさに、日本神話の威力、なのである。

だから、戦争のはるか前の大正期にあたる時点で、日本征服研究を本格化させ、GHQがそそくさと計画どおり実施したなかに、「神話」(教育)の否定があるのだろう。
この研究のきっかけが、ベルサイユ会議における「人種差別撤廃」を日本が主張した「罪」により、すぐさま「黄禍論」がはやりだしたのである。

あたかも、人口が巨大な中国を対象にしているかのようにみせるが、じつは本丸は日本人を対象にして、とうとう戦時中のアメリカ民主党は、正規移民した日系人を強制収容所に収容=社会からの隔離をするナチスと同じことをやったし、二世、三世をアメリカ兵に志願させ、祖国を裏切る行為を自発的(自己家畜化)にするよう仕向けたのである。

そのまた継続による自己家畜化効果として、日系人の連邦議会議員たちが総じて民主党左派(反日極左)だったことでも理解できる。
それがまた、ハワイ州における岩盤民主党支持層を形成しているのである。

だから、ハワイ州からの唯一のサモア系連邦下院議員だった、トゥルシー・ギャバード女史が共和党トランプ政権2.0へ「寝返った」ことの意義は、日系社会では不快であるだろうが、深いのである。

つまるところ、白人・貴族社会は、人種差別撤廃に断固反対していたのである。

ゆえに、アメリカ民主党が、「肌の色」にいまでも固執するのは、この差別意識が強いからで、当初だれもいなかった黒人と南米インディオ系(ヒスパニック)のトランプ支持者が、24年選挙で爆増したのには「気づき」があったからである。

それが、民主党の「偽善・欺瞞」を見抜いたことである。

民族から神話を奪うことの効果は、外部からの日本人家畜化計画の成功をもって常識化した。
永遠に家畜管理人という「上級国民」でい続けたい既存与野党の思惑とは別に、脱家畜に気づくひとたちが爆増しているのは、アメリカの事例と同じく、「偽善・欺瞞」に気づいたひとが多数になっているからで、ヨーロッパでもおなじことが起きているのである。

それで、こうした「反乱」を阻止したい守旧派は、あらゆる野蛮な手段をもちいても弾圧することをはばからない。
それが、元来野蛮な白人(貴族)社会からスタートし、準野蛮人の支配になった日本でも起きているのであろう。

すると、より鮮明に自己家畜化したのは、じつは貴族層だった、ということなのである。

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