2日にトランプ関税2.0が発表されてからの「株価などの暴落」が、世界で喧伝された。
しかし、トランプ政権1.0でも、「関税政策」は実施されていたし、2024大統領選挙では、選挙戦ラリー会場でリアルに何度も聴衆に向かって「関税」について「公約」していたのである。
だから、政権発足後の「光速スタート」の実行力をみれば、トランプ政権が絶対に関税策を実行する政権であると普通に認識できるから、何も驚くには値しないのがふつうだろう。
それを、あたかも「寝耳に水」のごとき反応を示す日本政府やマスコミは、「演技している」としか思えない。
ところが、「(株式)市場」やら「(債券)市場」が大きく反応して相場が大幅に動いたので、あたかも連鎖反応のようになったのが印象的である。
とくに、一般人が取引相手ではない、つまり機関投資家というプロ相手の「(日本)国債の長期市場=30年もの」までもが反応して、大幅な価格下落(金利上昇)があった。
まさかの「入札」日と、関税率の発表が重なって、低調なはずの入札に拍車がかかって、落札するはずの安い価格水準の札までもが自動落札し、一部がこれをまた売却して「損」を確定したから、ほかの証券会社は「やめて!」と叫びたくなるほどの評価損を抱えることとなった。
これに、あの農林中金が別に作った損失の補填のために、なんとアメリカ国債を売却するという「暴挙」をやって、アメリカ側が震撼したのである。
すわ、日本政府による関税策への反発の強さよ!と。
ふつうに、わが国はアメリカの属国として、過去からの貿易黒字分を大量に保持させられているアメリカ国債を、所有権の行使として自由に売却することが許されていないことになっていたはずだ。
これを一度口にすれば、橋本龍太郎首相や、中川昭一財務大臣のように、「抹殺される」のが通例であった。
だから、今回の農林中金の売却を、農林省や財務省、それに日銀やらが知らないはずはない。
やれるものならやってみな!と突き放されてやってみたら売却できちゃった!というのが本当のところか?
じつは農林中金は、世界最大のヘッジファンドだと市場から認識されているのだが、それは、ソ連型の政府が仕切る民間ファンドなのだ。
ところで、トランプ政権2.0の「大戦略」は、中共解体とDS:Deep Stateの解体であることも、選挙公約から微塵も変化がない。
そのDSの解体プログラム中に、FRB解体=廃止があると、これまた公言しているのがトランプ氏なのだ。
わが国の場合、今国会で、原口一博議員が歴史的質問をして、「日銀の政府持分は55%」だという答弁を引き出した。
だが、残りの45%の所有者については誰なのか?答弁拒否の憲法違反が通った。
ここでも、憲法が解釈=慣習改憲されたのである。
「党」という組織内での常識に囚われる必然がある組織論の常識が、中共という巨大組織にも作用して、あろうことか「報復関税」で対抗してしまった。
その中共に、この時期に首相親書を持参する敵対行為も、アメリカ側はしらないはずもないが、これができるのも、与党の組織が組織内の都合に支配されているからである。
トランプ政権の見立ては、中共がWTOに加盟した2001年の「完全なる間違い」をもって前提としているのである。
この時のアメリカ大統領は、クリントンから引き継いだRINO=ネオコンの代表、ブッシュ息子であった。
今となっては屁理屈にもならない当時の論理は、「経済的な豊さを得れば共産国も自由化する」という、希望にもならない欺瞞だったのである。
それで、WTO自体が中共によって乗っ取られ、自由貿易体制そのものが歪んだのである。
しかるに、わが国政府は、ことここに至っても、自由貿易体制としてのWTOを堅持するというのは、中共の支配下に入り続ける、という意味に捉えられても仕方がないし、実際にそうなのだろう。
詳細なシナリオを書いているトランプ政権は、株価の一時的暴落も視野に入れていたろうから、なんの驚きもなく、ただ暴落後の「ここからが買いだ!」と思わず言ったトランプ氏の一言の方が、一歩間違うとインサイダーだと認定されかねない失言であった。
そんなわけで、数日で元に戻った相場であるが、数兆円がすっ飛んだことは間違いない。
株投資とは、いつでもどこでも「ゼロサム」なのである。
損をした者の後ろには、必ず得をした者がいる。
それが果たして誰なのか?
トランプ政権は、ちゃっかりウォール街とディールしているとみるべきだろう。
これが、ヘッジファンド創業者のベッセント氏が財務長官をやっている意味で、法学部をでた財務官僚が仕切るわが国が理屈でかなうはずも無い「必敗」の構図なのである。
残念だが、わが国は軍事官僚が仕組んだ大東亜戦争よりもひどい、経済官僚による経済戦争に負ける様相を呈している。
なぜなら、トランプ政権2.0の大戦略をみない振りをしているからである。