政党内シンクタンク

7日、3カ所の地方選挙(三重県議補選、大阪府柏原市議、大阪府羽曳野市議)で全勝した勢いをふまえて、翌8日、参政党の人事が発表された。

注目は、政調会長補佐、として事務局入りした元自民党衆議院議員で元厚労省官僚だった豊田真由子氏の採用報告及びボードメンバーとしての就任報告だった。
党勢拡大する参政党のボードメンバーに、新規にどこかの議員ではない人物が登用されるのは初のことだろう。

そこで、現時点での外部から見え方について書いておく。
なお、他党のことはここまで気にしたことはなく、自民党ですらよくわかってはいないことをおことわりする。

まず、参政党には「事務局長」という役職と、「幹事長」がある。
実質設立オーナーの神谷宗幣参議院議員が設立時より一貫して事務局長であって、党代表を兼ねるのは最近になってのことである。

わたしには、事務局長と幹事長のちがいがわからない。

それから、幹事長にある議員が政調会長を兼ねている。
なので、豊田真由子氏は、事務職員採用とはいえ、配属先が政調会長補佐という、いってみれば教育委員会における教育長のような立場だということなのか?

すると、参政党は、党内シンクタンクの構築を目指しているのか?という疑問がわいてくる。

アメリカのばあいは、「系列」の外部シンクタンクが多数あるが、これらはまたわが国とは別の「寄付(制度)の文化」によって成立している。
1955年設立以来、自民党は、党内シンクタンクを設立せずに、官僚機構にそのままシンクタンクの役割をもたせ、ついに政策を乗っ取られた経緯がある。

これは、全国の「自治体」も同様で、役人が予算を含む政策を企画・立案し、議会が単なる承認機関となったので、首長に対抗する議会が全国から消滅した。
もちろん、議会事務局も議会の独自採用ではなく、市職員としての身分なのである。

ちなみに、わが国最大の自治体である横浜市の組織図は、世界共通の肥大化でPDFにして264枚となっている。

以上から、わが国は基本的に学校で習う「三権分立」などしていなくて、行政が立法を支配する構図であり、司法はそんな行政に日和っているから、行政訴訟でめったに原告が勝訴できないのである。

むろん、刑事のばあい、検察が被疑者・被告の生殺与奪の権限を握って、裁判の前に「起訴猶予」とか「不起訴」を決めれば、裁判にならず、よしんば「起訴」されたら、97.5%が有罪になることで、実質的に裁判所はなにもしないことをあらわしている。

そんなわけで、いまは小党でしかない参政党が、他党とちがって「近代政党」を目指していることはまちがいないが、その成立要件にある「(政策)シンクタンク」をどうするのか?という本格政党としての領域にようやく到達した、ともいえる。

内作と外注の両方だということになるのだろうけれど、「やめ官僚」をシンクタンクに採用するというのは、日本的な方法として興味深いのである。

ただし、豊田真由子氏が、次期衆議院総選挙に打って出ることも視野にあるはずなので、いよいよシンクタンクの運営をどうするのか?という問題が、政調会に発生するのだろう。
現実に、参政党は参議院通常選挙での議員増員で、「法案提案」の数を満たしたために、参議院法制局を通じて法案策定をおこなっている。

当然に、与党ではないから全官僚組織からの人員で構成される強力な「内閣法制局」を使うことができないのだけれども、両院にある法制局を使うというのは、「議員立法」のためにあることなので、国会議員が自らの法案を提出するのだとする「憲政の常道」としては望ましいことなのである。

国民としては、立法府の法制局が開店休業状態なのが異常なのである。

しかして、法制局をシンクタンクとして利用するのは、あまりに当然のことではあるけれど、狡猾な官僚群は、国会職員が全員「特別職国家公務員」であることも無視して、行政官僚を国会職員に「出向」させるという手もつかうことをしっていていい。

そんなわけで、豊田真由子氏の人事から、やめ議員ではなく、党理念に適合するやめ官僚の大量採用による独自シンクタンクの創設が期待でき、政府と対峙できる体制を構築することは、完全に他政党との棲み分けとなる大事なのであることがわかる。

地方組織の強化・拡充と、シンクタンクこそが、政党としての車の両輪なのである。

これが、これまでのわが国政党にはなかった、あたらしいが本来の姿だといえる。

悔しかったら真似っこしてみなさい。

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