ドラマ『沈黙の艦隊』シーズン1の完結が、16日、アマゾン・プライムで配信された。
この作品の「作りばなし」としての完成度が高いので、なかなかに引き込まれるのだけれども、その作りばなしの意味ありげではあるけれど、本当は超単純な構造が、やっぱり目について、作りばなしなのだと実感するから、落ち着いて楽しめるまさにエンタテインメントになっている。
いわゆる、まんが、なのである。
しかし、演出陣のがんばりによる俳優陣のがんばりは、リアルさを通り越して、こんな政治家が内閣を構成していたら、よほどよい国なのに、と恨み節のひとつも言いたくなって、その「できすぎ」を前に指摘した。
いま、陸・海・空の元将官だったひとたち(中には、「統合幕僚会議議長」だったひともいる)が、YouTube番組にでてきて、以前なら野党が大騒ぎしたことを、日常的に発言することができる、「いい時代」にはなっている。
ただし、その内容の多くが、アメリカへ右へ倣えなのが、また哀しいのであるけれど。
かんがえてみれば、田母神航空幕僚長をクビにした、千葉県木更津の大親分の息子が、防衛大臣職にあったのも、防衛省カーストがはっきりしていたことの証で、制服組に日本人(国民)としての発言権を与えないということを遵守した、戦後的な「まじめな」大臣だったから、何度も防衛大臣にアサインされるのであろう。
第18代航空幕僚長だった、大村平氏が、『はなしシリーズ』を書いて、数学の楽しさを一般人や受験生に知らしめたのが「発信」のせいぜいだったところ、大変化を遂げるきっかけになったのが、第29代の田母神氏をして嚆矢となす。
これを、政治家が潰したのは、わが国の立ち位置が「被征服国家」という状態にあるからであった。
あたかも、ローマ帝国下のユダヤ属州のようで、いまの日本では、アメリカ大使が「総督」を務めているが、これを外交団という枠組みに偽装し続けているのが巧妙なのである。
おなじことがドイツにもいえる。
ノルドストリームという、エネルギーの命綱、ガスパイプラインを破壊されても、その犯人追及はおろか損害賠償も請求しないで、全面的な損失をまるで当然のように受け入れている。
これはなにも、メルケル前政権に対するものではなく、宗主国、アメリカに対する忖度そのものなのだ。
トランプ氏が予備選挙の演説で、自身の政権時に要求し約束させた「2%の防衛費負担」を、あいかわらずヨーロッパ各国は実行していないままなので、「いっそロシアから攻撃されたらどうか?」といったのを、例によって切り取って、「ヨーロッパはロシアから攻撃されたらいい」になって報道された。
これに、あろうことかNATOの事務局長も反応して、「トランプはとんでもない」と公に発言してしまった。
約束を破った側が威張ってしまうのは、ウクライナの大統領とおなじ精神構造が見て取れる。
トランプ氏が「もしも」当選したら、この事務局長も更迭されることを覚悟しているのだろうか?
それとも、再選はない、となにか確信があるのか?
さてそれで、ドラマでは、「戦闘国家やまと」と、日本国が条約を締結し、さらに目覚めた日本国首相は、やまとと自衛隊の指揮権を国連に委ねるという、暴挙を独断で発表する。
第一に、条約は、国会での批准が必要だし、自衛隊の指揮権を国連に委ねるなら、国連憲章から「敵国条項の削除」がされなければならない。
売国の外務省(本当はアメリカ総督の窓口)は、「敵国条項の削除は決議されている」と安心しているが、決議はされても削除されていない現実を語らない。
「文書主義」をいうくせに、これは別だという根拠を示さないのは、示せないからだ。
そんなわけで、「ガス抜き」のドラマは、日米再開戦をイメージさせながら、やまとはアメリカ軍を撃退する、妙に気分がいい映像を提供してくれるのである。
けれども、一方で、アメリカの戦争屋たちは、アメリカ人のアジア人差別を煽りながら、東アジア大戦争を画策しているのではないか?
(日本人を含む)アジア人が、アメリカ・アイビーリーグの大学に入学することの困難な理由は、大学当局もちゃんと、「入学人種枠としてアジア人だから」と公表している。
なお、黒人ならずっと枠が広くて、すでに多くの医学部は、黒人だと無試験で入学できる。
これをまた、報道しない「タッカー・カールソンのプーチン大統領インタビュー」で、プーチン氏がほのめかしたことなのである。
さすれば、なぜいま、このドラマをアマゾンが無料で配信しているのか?のいやらしい理由も見えてくるのである。