トランプ政権2.0政権が発足して、12日、電話という手段でも米露首脳会談が実施されたことを受けて、15日、今度は米露外相がおなじく電話会談を行った。
そして、対面での外相会談場所として選ばれたサウジアラビアに、ロシア外相が到着したのは17日で、会談自体は18日に開催された。
互いに大統領制の国にあって、あらゆるお膳立て(予備会談)は「外相:外務省」が仕切るものだ。
この会談の重要事項は、目先のウクライナや中東問題もあるが、ベースとなる対話のやり方としての両国駐在公館での活動制限の相互解除など、オバマ時代に途切れたルートの回復にも合意するという恒久化をもって、正常化を確認したことはおおきい。
これにミュンヘン会議のJDヴァンス副大統領による、ヨーロッパ首脳を驚愕させた演説に対して、「カウンターパート」といえる、メドベージェフ元大統領(現安全保障会議副議長:議長はプーチン大統領)が、好意的に反応したのも、あんがいと大きなニュースなのである。
つまり、ヴァンス氏が「言論統制の推進など、全体主義に寄っている」とヨーロッパ首脳に苦言を呈したことに、ロシアは、「真実を語った」と歓迎したことは、暗に「いまのロシアはソ連とは違う」ことを強調しているし、「ヨーロッパのソ連化」の主張に同調したのである。
何度も書くが、ソ連崩壊後、アメリカはノーベル経済学賞受章者を含めた自由経済化のための顧問団をエリツィン大統領のもとへ送り込んで、根っからの共産主義者(自由経済のなんたるかをしらない)だったエリツィンをカモにして、ロシアの天然資源を奪い、成年男子の寿命を10年間で10歳も短くする苛酷な生活に追い込んだ歴史がある。
こした不当な掠奪を排除すべく、強権的であったも「再国有化」したのが、プーチン大統領一期目の成果だった。
わたしもこのときの「再国有化」を、あたかもミッテランがやった失敗の上書きかと思っていたが、それは、ヒトラーのフォルクスワーゲン設立のごとく、国民への分配原資のものだったと気づくのにずいぶんな時間を要したのである。
もちろん、ヒトラーを賛美したいのではなく、こうした方法を目的合理的に実行したプーチンの手腕を褒めたいのである。
逆に、小泉純一郎が竹中平蔵を重用してやった、「郵政民営化」のように、じつは外国資本に国民財産を売り払ったことの悪辣さは、民営化がすべてよし、とはならず、また、国営化がすべて悪とはならないことを知らしめたのである。
この意味で、小泉純一郎と竹中平蔵は、エリツィンとかわらない歴史評価を受けるべきだ。
一度も資本主義社会を経験しなかった帝政ロシアが、共産革命で凍結封印されたから、ロシア人に自由主義経済を学ばせるには慎重に時間をかける必要があった。
これをじっくりやったプーチンとは何者だったか?は、昨年の2月6日、タッカー・カールソンとのインタビューで西側にもしれたのである。
プーチンは、歴史学者であり法学者=哲学教授、という圧倒的な顔をみせたのだった。
日本も含む西側メディアのプロパガンダ機関に堕ちた壊滅的な状況から、昨今、わたしはロシアの「ススプートニク日本版」を重宝している。
これは、いま日本で入手できる比較的信用できる事実上「唯一」のメディア企業の発する情報源だし、それがロシア政府系だというのもなんだかなぁなのではある。
日本が情報鎖国にさらされているうちに、情報の信憑性で明らかにロシアに負けている。
このことも、日本衰退の原因に挙げていい。
トランプ政権2.0の目的は、「常識への回帰」であるから、プーチン政権とはウマが合う。
石破首相が、どんなにトランプ氏個人とウマが合うと強調しようが、だれも信じないのは、「常識への回帰」の「常識」が大幅どころか180度ズレているからである。
これは、自民党が共産化したことが原因だが、それはまたアメリカ民主党がトロツキー派に乗っ取られたことに起因する。
なお、もう一方の与党は、政党設立時から共産党を敵視しているが、これはヒトラーとスターリンが互いに敵視したのとおなじで、思想と支持者層が共通ゆえの表向き、すなわち、同じ穴のムジナ同志の近親憎悪そのものである。
さてそれで、世界は米・露蜜月という過去にない新時代に突入した。
このベースには、「正直さ」という常識がコアにある。
だから、あらゆる政治思想のうちで、「正直さ」に欠けるものは排除の対象になるのである。
その意味で、もっとも嫌われるのが「全体主義=共産主義」なのだ。
すると、いまの日本やヨーロッパ=EUが、トランプのアメリカやプーチンのロシアを嫌って、中国に依存する力学の本質がみえてくる。
しかして、日本とヨーロッパの国民が置いてきぼりになっているのも、すでにこれらの地域で民主主義が死んでいるからだとわかるのである。
じつは、資本主義も民主主義も、日本やヨーロッパでは近年経験したことのない、未来のシステムなのだった。
それを、遅れてやって来たロシアに周回遅れを喰らうほどになったのは、ロシアが捨てた共産主義を、日本とヨーロッパが採用したことによる。
これをやらせた張本人のアメリカ民主党(上位に「世界経済フォーラム」がある)は、舞台から転がり落ちて、トランプ政権2.0がトドメを刺そうとしているのである。
また一方のロシアも、ウクライナ問題から中共の内情に詳しくなったし、ソ連崩壊の手順を心得ているので、米露両国の同盟は、東アジアに巨大な地殻変動をもたらすだろう。
するとますます、16日から21日までの日程(完全に米露会談にかぶる)での、団体ツアー(230人:バス6台)で訪中した経団連の爺さんたちの政治音痴は、なにも日本製鉄経営陣の音痴ぶりだけでなく、日本財界全体の信じられぬ情弱ぶりの発揮であることがしれたのである。
それがまた、報道写真で確認できる十倉会長の胸に光る「虹色バッジ」なのである。
アメリカの経済界が、一斉に卒業という離脱を発表したのは、このバッジが意味する政策が、「高コスト」だという経済原理に基づく判断だと説明されている。
経済効率を追求しない経済団体とは、いったい何者の集団なのか?
こんな行動も、日本駐在米・露の外交官が、本国へレポートを挙げているだろうから、日本制裁、というトレンドが両国に醸成される。
それがたまたま、EU=NATOへのお仕置きが先だという順番設定=タイムラグにすぎないのに、だ。
嵐の前の静けさ、これがいまの日・米、日・露という、巨大隣国二カ国のタイミングを合わせるかのような状態なのである。