自己犠牲のマット・ゲイツ

「トランプ2.0」での司法長官に指名された直後、大統領選挙と同時だった連邦下院総選挙に当選したばかりのマット・ゲイツ氏が、あっさり「議員辞職」した。
このことが、あらぬ噂となって世界に報道されている。

センセーショナルな話題ほど、「逆神のマスコミ」という刷りこみがすっかりできたから、探ってみた。
せっかく下院の過半をおさえたのに、入閣する(上院の承認を得る)と、国会議員なら辞職しなければならないルールがある。

もちろん、日本とおなじで「補欠選挙」が実施されるが、それでは「穴埋め期間中の空席」によって、共和党の支配が薄くなる。
問題は、その期間に決めないといけないことが、政権初期では山積することにある。

民主党が支配した時期(「トランプ政権1.0」のペロシ議長時代)とその後のバイデン政権の前半(やはり民主党が過半数だった)で決めたことの「ちゃぶ台返し」を目論む、トランプ政権2.0を支援するために、下院の議席が少しでも減るのは避けたいところなのである。

なにせ、共和党内にはまだRINOたちが潜んでいるからである。

アメリカでは、候補者を決めるのに、「党内予備選挙」を経てから、「本選」に望むので、補欠選挙の本戦までには、しっかりと党内予備選もやらないといけない。
これらの手順をふまえて、当該州の知事が選挙日程を決定することになっている。

幸い、マット・ゲイツはフロリダ州選出の議員なので、知事はあのロン・デサンティスだから、あからさまな妨害はやらないだろう。
日数を計算すると、来年1月20日の大統領就任日近辺に補欠選をやる、というスピードのためにゲイツ氏は電撃的議員辞職をしたのだとおもわれる。

これには、ふたつの意味がある。
・トランプ派の勢いに乗じること
・上に書いた、共和党議席数の空白を埋めること

ただし、この辞任のリスクは、上院で司法長官就任を拒否されたら失業することの一点だ。

さてそうなると、問題になるのが、国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員の態度で、この典型的なRINO(ネオコン=軍産複合体の代理人)も、フロリダ州選出の上院議員なのだ。

彼は、議員辞職をまだ表明していない。
上院議員だった、カマラ・ハリスも「副大統領就任日」のギリギリまで辞任しなかった。

何度も書くが、「上院」は「人事承認」と「外交」に優先権がある「院」なので、大統領の政策を遂行するのにはやはり、過半数以上(安定多数は「60以上」)が必要だ。
今回の大統領選における3分の1の入れ替え選で共和党が勝ってはいるが、ギリギリのラインなのは下院と同様にRINOがいるからである。

しかし、向こう6年(3回の入れ替え選挙)を眺めると、えらく共和党に有利で、もしも4年後、また大統領の政権交代があっても、民主党政権は上院で少数党になる可能性が高く、「ねじれ」のために人事ができない、状態になるといまからでも予測できるのである。

そこで、下院議員と上院議員がことなるのは、上院議員に補欠がでたばあい、当該州知事が任命権をもつから、マルコ・ルビオ氏が国務長官就任のために「いつ辞職するのか?」は、下院ほど重要視されていない。

共和党から選出されるので、議席数の変化はないとみられているからである。

しかし、数ヶ月でトランプ氏がマルコ・ルビオを「解任」したら、彼はいきなり無職になるのだ。
ここが、マルコ・ルビオをして熟慮を要するポイントとなるのだが、指名を辞退するという動きはでていない。

役者のトランプ氏は、マルコ・ルビオの人事(加えて「国連大使」も)の衝撃で、一部の支持者からすでに「我々を裏切った」との罵声を浴びだしているけれど、『ゴッドファーザーⅢ』での名セリフ、宿敵は近くにおけ、という「孫子」の故事があるとおり、憶測を呼ぶのがこの人事なのである。

「1.0」でトランプ氏を騙したRINOたちは、今度の新政権では排除されているはずだというが、今度は、わざと抱え込んでいるのか?どうなのか?

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