例によって中身のない報道がたくさんあるので、肝心なことがどうなっているのか?がないがしろにされている。
高市首相とトランプ大統領は、2本の協定書に署名した。
・日米のあたらいい黄金時代 ⇒ 石破政権での関税合意(80兆円)の履行
・レアアースの供給確保 ⇒ アルゼンチン・ミレイ政権への援助とその見返りの仕込み
問題は、意味不明の日本からの一方的な「80兆円投資」で、利益の配分が日本に1割という異様な石破内閣での取り決めを、「確定」させたばかりか、具体的な参加日本企業名を日米合意の上で公表したことにある。
これらの企業は、不利な投資で株主総会を乗り切れるのか?という当然の心配をしないのは、株式の多くを「外資≒アメリカ企業」が保有しているからなのだろう。
なお、高市首相は所信表明演説に続いて、日米首脳会談においても、日本の防衛費を「(過去の約束27年度中より)前倒しの今年度中にGDP比2%にする」と約束した。
やるのは、小泉進次郎防衛大臣と片山さつき財務大臣の仕事である。
ここまで「芸者ぶり」を発揮すれば、トランプ大統領のご機嫌がいいのは当然である。
わが国は、無抵抗でトランプ政権2.0に屈服したことを世界にみせた。
ただし、反トランプを最優先に貫くアメリカ主要メディアは、こんな日本のザマをマイルドに伝え、例によってウソのたれ流しをやっている。
そのキーワードは、高市氏が故安倍晋三氏の弟子であるがごとくの「誤情報」による印象操作である。
たとえば、ワシントンポストは、あろうことかバイデン政権の国務副長官に寄稿させて、まったくトンチンカンな記事を掲載しているし、ウォールストリートジャーナルも、関税交渉における上述の日本の完敗を、スルーさせているなど、しっかりと「カナダ人ニュース」さんが伝えてくれている。
何度も書くが、トランプ氏の本音に、安倍晋三氏との友情交換はなく、たんに操るためのヨイショ演出を繰り返しているだけだ。
それは、安倍昭恵氏という風変わりな人物の言動にもあって、彼女は高市首相が推す現職宮城県知事に対抗する、和田政宗候補への応援メーセージを公開している。
じつは、安倍昭恵氏は高市氏を気にしていない。
それで落選した和田氏に、自民党宮城県連は「落選を確認して」から処分を検討すると発表している。
和田氏は、自民党宮城県連の顧問のまま立候補していたが、この時点でのおとがめなし、がいまさらとなるのが、勝てば官軍の価値観しかない自民党らしい。
そんなわけで、高市氏を安倍氏と連携づける戦法で、当人が本当はどうかんがえていようかお構いなしに、がんじがらめの状態にしたトランプ政権2.0の用意周到な心理戦はすさまじかった。
日本の識者たちは、あたかもアドリブばかりの日米首脳会談だと思い込んでいるが、そんな甘い話のわけがない。
トランプ政権2.0のスタッフが、マインドマップで全世界の情勢を分析しながら、日程を組んでいるのである。
だから、アルゼンチンのレアアースがこのタイミングで飛んでくるのも、シナリオ通りなのである。
なぜなら、30日に「米・中首脳会談」があるからである。
つまり、トランプ政権2.0は、喉から手がでるほどの需要があるレアアースを用いて日・中分断を図りながら、80兆円投資を日本にさせた。
レアアースを原料にする日本企業が、まっ先に手を挙げて、資本(株式構成)の話にならないようにもさせている巧妙は、新卒ばかりの世間知らずな日本の役人にはできない。
外務省の出る幕ではないし、経産省もとりまとめ事務員の仕事をさせられているにすぎない。
だから、企業名の発表が、日・米合意の上、というがんじがらめの形式となって、将来あり得る日本側の都合に釘を刺されている、といえる。
これを、一網打尽にからめ捕られた、というのである。
そんなわけで、歴史的な全面敗北、というのがわたしの評価であって、高市首相の外交デビューは成功した、なんて世迷い言をいう隙はどこにもないのである。
もし高市氏に言い分があるとすれば、本性であるグローバル全体主義の立場をそれでも隠しながら、騙された、とかといって「反トランプ」をむき出しにするときであろうが、そんなことをいわせるような甘さのトランプ政権2.0ではないのである。
かんたんにいえば、自民党全体をもてあそぶ余裕がトランプ政権2.0にある、という事実だけが判明したのだ。
なぜなら、バイデン政権にべったりの自民党だったからである。
そんなことを承知で、空母の上で「彼女は勝者だ!」といって、プロレスのリング上でのできごとのようにしたのは、居合わせた進次郎へのあてつけばかりでなく、そんな人物たちを自由に操るのが自分であるとアピールして、在日軍人たちを熱狂させたのである。
このいけずぶりは、奈良出身の高市氏でもできないので、京都一区(洛中)の勝目康衆議院議員にアドバイザーを引き受けてもらったらどうか?ともおもう。
英語ではなく「いけず」の通訳担当大臣として、である。
なにせ、国益、がかかっている重要業務なのである。

