英国保守党の壊滅的敗北予想

7月4日、つまりアメリカ合衆国独立記念日(1776年)という英国にとっては、痛い日が、2024年の保守党にとって痛い日になりそうである。

もちろん、報道統制を自主的におこなっているわが国では、この選挙の重大性について日本人に伝えることはないし、7日に実施される東京都知事選への外国からの影響として、情報加工して特定候補のためにするにちがいない。

ざっくり、英国の総選挙は「保守」、「労働党」の二大政党に、ブレグジットに多大なる影響を及ぼした、「極右」ファラージ氏の党との三つ巴となっていると伝えられている。
結論から先に書けば、労働党の圧倒的勝利で、保守党の壊滅的敗北がかなりの確実性を持って予想されている。

よって、この選挙の結果については、次の三点に注目が集まっている。

・保守党の壊滅的敗北とはどこまでの敗北なのか?
・労働党の社会主義政策は、どこまで実行されるのか?
・ファラージ氏の党は、どんな影響を及ぼすのか?

まず、保守党の敗北については、総定数650のうち、保守党の現有議席は365ある。
これが、3分の1以下の115になると19日付けブルームバーグが伝えている。
別の調査では50台との予測もあって、党の存続自体が懸念されているのである。

なお、スナク首相も含む現職閣僚の落選も相次ぐのは確実とされている。
ちなみに、長い議会の歴史がある英国で、過去、現職首相が選挙で落選した例はない。

ようは、有権者の保守党への怒りの爆発表現、という現象が起きると予想されているのである。

しかしながら、労働党の社会主義政策を本当に支持しているのか?となると、あんがいと疑問が残る。
なのに、労働党が圧勝する425議席の予想となっている。

これには、英国という先進国におけるさらなる「近代政党」を完成させた経緯がある。

近代政党の条件は以下の3点だ。
・「綱領」があること
・「組織」があること
・「議員」がいること

ここで、「組織」の形成がもっとも重要な労働党の「勝因」となるはずだし、保守党の敗北もここにある。
さらに、ファラージ氏の政党が伸び悩む予想の理由も、これだ。

そして、政党組織のあり方として、わが国で「近代政党」の上の条件にあてはまるのが、設立順に、日本共産党、公明党、参政党、となっていることは、日本人の有権者ならしっていていい。

わが国を支配する与党の一方たる大政党、自民党、は、上の定義にあてはまらない、という特徴があることも、日本人の有権者ならしっていていい。

自民党が定義する「組織」とは、議員・議員候補が自分で抱える、「後援会」という名の組織であるが、これは近代政党の組織とは別物なのである。

自民党を、「自分党」と揶揄する根拠となっている。

むしろ、言動における支持者あるいは賛同者が多い、ファラージ氏の党は、日本の自民党のような組織にしか成長していないので、他の近代政党に歯が立たないのである。
それなのに、わが国では近代政党ではない自民党が政権を担ってきたのは、世界的にはかなり珍しいことだともいえる。

さてそれで、世の中の見方が、左・右の対立から、グローバル全体主義対反グローバリズムという極になってきた。

保守党の敗北は、グローバル全体主義に与したことによるものだけど、より強固なグローバル全体主義を標榜するのが労働党だ。

ここに、英国民に与えられた選択肢の悲惨がある。

ブレグジットを推進したファラージ氏の党が急遽結成されて、それでもそれなりの影響力がある(「組織」づくりにまで至っていないが)のは、グローバル全体主義の労働党が、「EU再加盟」を画策することに対する支持なのである。

英国はどこへいくのか?

ハイエクを掲げたサッチャー女史を失脚させた時点で、保守党は自身の存在理由を失ってしまい、今日に至った。
わが国は、自民党にサッチャーのような哲学を掲げた人物はとうとうひとりも輩出していない別の事情がある。

しかしながら、英国保守党の壊滅は、わが国の将来も予想させることになるのは確実なのである。

そのキーパーソンが、トランプ氏であることはいうまでもない。

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