EUの「€:ユーロ」のことである。
6日、フランスの内閣が組閣後したとおもったら14時間で崩壊し、いよいよマクロン政権が「詰み」の状態になってきた。
しかし、たとえ大統領がかわっても、域内統一通貨ユーロが残るので、次期政権も似たような体たらくになるのは確実なのである。
よって、解決策は、ユーロからの脱退、しか方法はないが、これはイコールEUからの脱退を意味する。
EUとの条約で政府債務の上限(GDP比3%まで)を定めており、これを大きく超え(6%弱)てしまったのは、「福祉国家」のための支出増大が原因なのと、ウクライナ支援が効いているのである。
ようは、EUという制度は国家から独立した財政及び通貨発行権を奪ったので、こうなる、ということなのである。
しかし、フランスの大恥は、ギリシャ危機におけるギリシャを徹底的に悪者にして責めたてた過去が、そのまま自国へのまなざしとなっていることで、6%弱とはいえ、あのギリシャのときとおなじ数字になったことを、もはや自国でコントロールできないことにあるのである。
そんなわけで、ドイツと並ぶEUの大国が、英国に続いて抜ける可能性が高まっている。
一方、わが国をみれば、はなからEU加盟基準を満たしたことがない、ということが幸いして、NATOの準加盟国で留まっている。
「正加盟」をときのメルケル首相から誘われたのを、安倍首相が丁重に断ったのは、野党が騒ぐ国内の政治事情によるためだが、まずはそれでよし、とするラッキーがある。
ただし、わが国の場合は、政府財政と「円」の通貨発行権を日銀が持っている、という意味での「独立」はあるが、その巨大債務をどうするのか?という問題の解決が、財務省だけに依存しているので、「財務省解体デモ」なるトンチンカンな行動となって、ガス抜きをやらされている。
バブル前の絶好調時代に、円の国際化基軸通貨策をやらず、ひたすら豊満な財政をたてにして、「福祉国家」を追及する中毒化を目指したのである。
ときに、大英帝国のはじめから「揺りかごから墓場まで」を標榜した英国の現状をみれば、わが国の未来予測も厳しいことがわかるし、先進国のフランスが「お先に失礼」とばかりになっているのは、明日は我が身、の典型なのである。
あの1895年(明治28年)に出版された『タイムマシン』に、「揺りかごから墓場まで」が登場する。
イギリス人は、はるか前の1516年に『ユートピア』なる「ディストピア小説」を書いていたが、言語は英語ではなくラテン語であったのは、知識人だけ、を読者に想定していたからで、一般人は読めなかった。
1932年(昭和7年)には『すばらしい新世界』が、1949年(昭和24年)には、あの『1984年』が世にでる。
人間のかんがえたことは実現する、というのは、『ゴーストバスターズ』(1984年:昭和59年)の「マシュマロマン」に象徴される。
ために、この作品はアカデミー賞を受賞したといえるだろう。
しかして、英国ではディストピア小説の伝統が、そのまま現実化しようとしており、これをフランスが追いかけているのである。
「多様性」をいう者たちに「多様性のかけらもない」のは、これぞダブルスタンダードなのである。