効率的市場仮説(efficient-market hypothesis:EMH)は、2013年のノーベル経済学賞、ユージン・ファーマ氏がとなえたものである。
なお、この年の受賞者はファーマ氏を含めて2名で、もう一方は、効率的市場仮説に反対の「ファイナンス派」というロバート・シラー氏だったので、あたかも選考者の「スウェーデン国立銀行」が判断を放棄し両論併記したかにもみえる。
9日に判明した、衆議院議員総選挙の結果をうけて、その後市場はどう動いたのか?
いわゆる、「経済評論家」の御説が、崩れ去って、まったく効率的市場仮説のとおりとなった感があるのが、事実としての「相場」の動きであった。
この意味でも、デジタル・タトゥーが容赦なく自称経済評論家を追い詰めている。
戦後からみても、与党の圧倒的勝利はかつてないものなので、当然ながらすっかり世界経済の位置づけでも影が薄くなったとはいえ、これで日本経済が世界経済に与えるインパクトがどうなのか?というのは、大勝利した政権にとっても重大事ではある。
だが、事前に評論家たちが予想したような「大きな動き」はなかったのである。
彼らのいう大きな動きとは、自民党が大勝したら、「円安」と「金利上昇」が加速する、であった。
だが、実際には、真逆の、「円高」と「金利低下」となったのである。
ようは、効率的市場仮説が作動して、選挙前に見えていた「自民党有利」の情報がたちまち市場価格に反映されて、選挙結果の実際をみるまえに「織り込み済み」となっていたとかんがえれば、辻褄があうのである。
すると、高市政権の柱たる「(責任ある)積極財政」とか、「食料品だけに適用する消費税減税」などの、看板政策が、これからいかにして実行できなくなるか?といった「党内プロセス」を経るだろうから、それぞれの段階で、効率的市場仮説が発動してしまうとかんがえればよいのだろう。
それでもって、大恥をかいた経済評論家諸氏が、「ほらみたことか!」といいだすにちがいないが、それにはそこそこの時間経過がいるので、なかなかに苦しい言い訳となろう。
ときに、選挙後のいまでも日本国債を売っているのは日本の機関投資家で、昨年来からずっと買い越ししているのが外国人投資家なのである。
これはまた、株式市場も同様なのである。
外国人が、日本国債や日本株を購入するには、外国通貨を「円」に交換するひつようがある。
ために、「円高」となるのである。
そういえば、選挙中にメガバンク系のシンクタンクが、高市首相発言を大批判する異例の記事を発表していた。
この勇気ある「苦言」発信は、とくに「プロ」の間で評価されたようである。
おそらく、今後の政権運営で、たびたびこの記事が参考になるのであろう。
それにしても、高市氏でなくとも日本の首相を支える「経済ブレーン」は誰なのか?が気になるところだが、アメリカの政権のように現業からの抜擢がない「官僚主義」一辺倒のわが国なので、市場に参加したことのない「理論家」が、ほとんど素人の首相に耳打ちするやり方では世界に通用するはずもない。
素人×素人=素人 なのである。

