トランプ政権2.0による、「常識革命」は、目的達成のために「合法」ならあらゆる手段を用いるから、「ビジネス要素」が強いのである。
もちろん、外交における「合法」とは、いまの日本人ならすぐに「国際法」を思い浮かべるだろうが、残念ながら基本的に「反故にされるもの」としての国際法なので、より重要なのは、「常識」の方なのである。
閣僚の中でも政権発足後、即座に承認されたマルコ・ルビオ国務長官が就任早々に初外遊した先は南米歴訪であったけれども、不法移民の強制送還のためだけでなく、重犯罪者を収用する刑務所を、エルサルバドルに委託する契約に署名したのである。
これは、今月5日のことであった。
つまり、トランプ政権2.0とエルサルバドル政府は、アメリカ側の政権発足後たった二週間で契約書類を用意できるほどのスピードで対応したことになる。
もちろん、これには犯罪撲滅に成功し、南米最高の治安回復を果たした、ブケレ大統領ととっくに話がついていたことに起因する。
それが、ブケレ政権が建設した「テロリスト監禁センター(CECOT)」である。
犯罪者天国ともいわれた、かつてのエルサルバドルの刑務所は、なんと囚人による管理、という「先進さ」で、刑務所内に遊園地ばかりか風俗施設まで完備するという、あろうことかシャバよりも住環境が整っている状態だった。
これを、ブケレ氏が大統領となるや一転して、ジャングル内に巨大なCECOTを建設し、ここに受刑者を移転させたのだった。
また、治安回復を優先させるにあたって、犯罪者の逮捕には軍も動員したために、不幸にも武器で抵抗するものたちの巻き添えや誤認で死傷する一般人も多数あったが、国民は動じることなくこうした政策を徹底支持したのである。
さほどに、無秩序がはびこる酷い日常であったともいえる。
いわゆる「人権団体」が、このCECOTについて批判するのは、収容者たちの人権が無視されているというものだが、ブケレ政権は、こうした批判を気にしない、と表明している。
いわゆる「雑居房」は、一区画あたり80人も収用されていて、ベッドには寝具もなく、トイレに壁もない。
たしかにこうした光景は異常にみえるが、ここに収用される犯罪者がなにをしでかしてきたのか?ということの因果応報をかんがえると、やらかした犯罪の異常さが先にあるのは事実である。
ブケレ氏からしたら、犯罪に手を染めることでのデメリットを知らしめたい、という目標があったのは、当時のエルサルバドルのシャバが真面目に暮らすにはメリットがなさ過ぎたともいえる。
社会全体が、無法地帯に陥ることの恐怖である。
アメリカ合衆国として、犯罪者をCECOTに収容委託することのメリットも、犯罪抑止力という側面からの策であることがわかる。
単に、不法移民を追い出すのではなく、その中にいようがいまいが、悪質とみなせばCECOTに行かされることを宣伝してデメリットを認識させることが重要なのであろう。
USAID閉鎖のポイントは、国家予算で支出すること=援助という概念があったけれども、エルサルバドルには収容手数料が支払わることでの「取引」となり、双方の利益があることで事実上の援助になるという仕組みにしている。
対して隣国メキシコの極左大統領は、アメリカからの麻薬組織(カルテル)に対する武力行使に協力するのではなくて、これらを「国民」として守るという判断をした。
つまり、メキシコには今後、麻薬系の犯罪者が増加することを「政策」としたことになるのだが、世界のグローバル全体主義政権は、もはやこうした異常を異常ともおもわない、国内秩序の破壊工作をはじめている。
ヨーロッパでは、ルーマニアの大統領候補が拘束されたし、英国政府はアップル社独自の情報保護を解除させる命令を出して、世界のアップル・iクラウドを監視することをはじめる可能性がある。
27日、その全体主義推進者、英国スターマー首相がホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領と談笑中に同席していたJDヴァンス副大統領からこの件で釘を刺され、食事会での話題になることが予告された。
きっと不味い食事会になったであろう。
どうやって阻止するのか?と、こうした政府による犯罪行為をどうするのか?も含めて、重大な岐路にあるのがいまという時代なのである。