ヨーロッパ連合(EU)が正式に設立された(1993年11月)をみずに亡くなった(1992年3月)のが幸いだったのか?
とはいえハイエクは、EUが設立された場合でも、その崩壊は「共通通貨ユーロ」の維持困難にあると予測していた。
しかし、本質的にEUとはグローバル全体主義の国家集合体としての連合だから、自由守護者ハイエクの立場からはあり得ない存在だったにちがいない。
設立から32年となるEUも、英国の離脱があってガタついたのは、なんといっても「移民」による実質的な「民族大移動」に疲弊していることにある。
ヨーロッパ人ならローマ帝国の分裂がゲルマン民族の大移動だったことを知らないはずもなく、だから当のドイツ・メルケル政権がその移民受け入れ側に立って熱心だったのだろう。
これを冷たくみているのが、ローマがあるイタリアだという皮肉は、メローニとマクロンの不仲にも象徴される。
所詮、ローマ(イタリア人)からしたら、フランスは「ガリア」なのだ、と。
ドイツに併合されたオーストリア=ハンガリー帝国のハンガリーで、あらたに「ストップ・ソロス法」が可決された。
その前に、「反ソロス法」も成立していたので、ハンガリー人は元ハンガリー人のジョージ・ソロスが根っから嫌いなのだろう。
けれども、もっと嫌われているのがフォン・デア・ライエンである。
彼女の行くところ、デモ隊が「ナチス!」と叫ぶいつもができているのだ。
ナチス幹部だった先祖の家系が暴露されているようだけど、思想は遺伝しないので、本人が選んだものなであろう。
なんにせよ、ヨーロッパは、選挙で選ばれないEU委員会の独裁体制である。
その官僚たちが、移民を推進して民族文化バランスを破壊している。
これをそっくり真似ているのが日本政府と役人たちである。
EUは崩壊しても構成国は残るけれども、わが国は消滅する。
この重大なちがいこそ、もっとも危険なことなのであるが、世界最古の王朝国家が永遠に続くという幻想もまた危険なのである。
この意味で、ハイエクの通貨崩壊の方がはるかに軽い論であった。