7日の、互いに政権発足後初となる日米首脳会談でのトランプ氏が石破首相を「ほめ殺し」にした、いくつものフレーズが、あたかも「いけず」な京都人のようだと話題になっている。
ネットでは、ユーチューバー「16代目京都人大文字ミヤコの素敵な京都ライフ」さんがアップしている数々の、京都人と大阪人の比較文化動画が秀逸であるけれど、「関西人」という括りでしかみない「関東人」または「東京人」には、いささか難易度が高い。
江戸期までのわが国には、「三都」があった。
・江戸
・大阪
・京(の都)
鎌倉を「古都」といったら、京都人から睨まれるけれど、飛鳥・平城京が遠いむかしすぎる腰砕けの奈良人は、そんなもんどうでもええ、という反応をみせる。
もちろん、京都人は鎌倉をふるい幕府の所在地とみて、どこが「都」なものか!という気概というか、蔑視があるのだ。
だから、上に書いたように、「京」であって、わざわざ「京都」とか、「京の都」とかというのも嫌う。
1200年、ずっと「都」だったから、「京」だけでいいという理屈がある。
すると、「東京都」という地名のダサさは、「京」と「都」をくっつけたものだからだし、当然に「京都」だって気に入らないのである。
とにかく、京都には「ぶぶ漬け伝説」やら、「(帰って欲しいひとの)腕時計を褒める」という回りくどさがあって、関東の無粋な田舎者にはそのあたりの本意を理解するのが、たいへんに難しいのである。
また、その真逆の大阪人のストレートさは、これまた「武士は食わねど高楊枝」的な見栄を張る東京人には、よほど「えげつなさ」を感じるために、この文化的な断絶を東西で埋めるのは21世紀にしても困難極まるはなしとなっている。
ニューヨーク生まれのニューヨーク育ちであるトランプ氏は、その話し方が、かなり「江戸下町」のべらんめえ調で、これぞ「ヤンキー」なのである。
ここで問題になるのが、江戸の「下町」という概念で、うつろいゆく世の中に従って、その意味する地域も移転するので、どこのことを指すのか?は、あんがいに難しい。
プロパガンダ機関のテレビでいう、「下町」とは、江戸期の人が指す場所ではないことがふつうになっている。
そんなわけで、鳥取県育ちの石破氏には、理解困難な文化的な隔絶が国内にも、ニューヨークにもあるという場面に直面した。
トランプ・ウオッチャーが、「京都人?」と気づいたポイントは、おおきくザッと4点だ。
・石破首相は日本国民からとても好かれている
・私が彼ほどハンサムならよかったが、そうではない
・シンゾウはあなた(石破)に敬意を抱いていた。あなたも彼の親しい友人だった
・とてもいい答だ、とてもいい答だ
これを、京都人が「翻訳」しているのである。
まぁ、わたしにはただのストレートな「嫌み」に聞こえるので、どちらかといえば「江戸下町的」といえないか?とはおもうところである。
なお、[ハンサム」のくだりにおける[彼」とは、シンゾウのことではないかと解釈すると、次の「敬意」の話につながるので、この「彼」が誰を指すのか?というのは、意外に面倒な言い回しをしたといえる。
なんにせよ、シンゾウをもって当てつけているのは、トランプ氏らしい「おとぼけ」であって、心底、生前の安倍晋三を信用していたとも思えぬが、亡くなってなお[利用する=役に立つ」というのも、一種ずいぶん残酷なはなしなのではないかと、わたしはおもっている。
そんなわけで、昭恵未亡人を二度までもアメリカに呼んで、世界にアッピールしたのは、同時に世界にわが国の政治状況のグズグズを意識していることをアッピールしたのだとかんがえれば、この「いけず」な発想と行動こそが、まさに[京都人」だといえるのではないか?とおもえてならないのである。
すると、日本人ははるか以前から、上の「三都」を中心に、[多文化共生」をやってきたのである。
いま、YouTubeでは、今月末まで限定で『クッキングパパ』のアニメ24話(述べ9時間を越える)が無料で見放題になっている。
マンガやアニメに疎いわたしに、この[福岡」を舞台にしたほのぼの家族の物語が、妙に新鮮に見えるのは、時代の古さだけではないローカルな文化の香りがあるからだ。
そうおもうと、京の「いけず」は、立派な文化なのだから外国人のトランプ氏を評価するのに比較対象になるのは、いがいと根が張っていることの証左でもある。
全局の放送が、「石破訪米大成功の100点」と持ち上げたのに、「鉄とアルミに25%関税」がいきなり課せられることになって、自己採点で満点をつけた惚けた官房長官が慌てて会見をするのを観るにつけ、まったく何を会談してきたのか?と、外務省も含めてその劣化ぶりが「痛い」のである。
おおむかしの日本人なら「日比谷焼き討ち事件」をやったほどの敏感さがあったが、いまの鈍感さは、東京漫才の代表『ダブルけんじ』の定番ネタであった、いきなり頬をビンタされてずいぶんしてから「痛いなぁ」というほどの芸になっている。
しかして、本命はおそらくEUに課す「付加価値税=貿易補助金」への制裁関税で、「消費税増税=貿易補助金」を画策する日本政府にこれ見よがしの当てつけをするにちがいないのであるけれど、どこまで鈍感でいられるか?という時間の問題になっている。