たった6人だという20歳前後の若者たちが、アメリカ政府のシステムをアメリカ政府の機関としてハッキングしたらでてきた、USAIDによる悪行の数々に、アメリカ人たちが唖然としている。
「国際開発庁」と、国際がつくから、世界にまたがる組織のために、その所業も世界中に影響するから、わが国だってどうなっているのか?これからまた出てくる可能性がある。
トランプ・石破による初の日米首脳会談の場を目前にしての先行発表に、石破・岩屋と随行の官僚たちが固まっているかもしれない。
それにしても、イーロン・マスク氏は、この6人の若者たちが仕事場にベッドを持ち込んで、連日の徹夜態勢で政府部内の怪しい情報を探索していると言及したが、そんな人物たちをどうやてリクルートしたのか?についてはわかっていない。
少なくとも、USAID閉鎖の手際の良さは、発表と同時に職員の全員が職位に関係なく、日常遣いのシステムにアクセスすることもできなくなった。
これで、「消去」などの隠蔽操作も不可能となって、その活動実態が一般にさらされることになったのである。
いまのところ、表面化した「被害」では、「ポリティコ」という有名左翼メディアが、早速に倒産の危機に見舞われている。
すでに、従業員への賃金が遅配しているのは、USAIDからの活動資金が途切れたからだという。
これに、ホワイトハウスの若き報道官も連動して、状況説明をしているのである。
先に、イーロン・マスク氏は、DOGEでの「効率的な方法」として、A.I.を活用すると述べていた。
なので、A.I.に政府機関のシステム内をスキャニングさせて、問題箇所を「効率的」にあぶり出して、その中身の精査をしているのだろう。
このことは、4000人弱の職員数だったUSAIDを、たった6人で崩壊せしめた、という映画のようなことが現実になったことを意味している。
なお、80年代までの日本の外務省もこの規模だったが、その後の肥大化でいまは1.5倍強の6400人余りとなっている。
役所のパフォーマンスは、職員数と比例しない『パーキンソンの法則』の良い例である。
DOGEチームはUSAIDの発表に先立って、財務省のトップ官僚が、予算の執行承認に一度も「不承認しなかった」ということも、おなじようにA.I.スキャニングによって発見し、即日の本人辞任に至ったのだろう。
辞めたから逃げられる、という原則はなく、パム・ボンディ司法長官の捜査対象になったと推測される。
さて、USAIDは、JFKの大統領令によって発足した政府組織だったが、その後にできた、「設置法」による根拠があるから、今回の「閉鎖」は民主党が裁判にでたら敗訴する可能性が高い。
しかし、ここまでの衝撃的な悪行に、民主党は自ら国民を敵に回す訴訟を起こすものか?も含めて注目されるところとなっているし、トランプ政権はどうやら、政府機関なのに予算がないことでの「破産」を適用させることで対抗しているようだ。
まったく、マンガか小説あるいは、上に書いたように映画のような展開なのである。
だがしかし、こうしたことが起きるのも「アメリカならでは」であって、官僚制と年功序列が結合したわが国の鉄板体制では、こんな若者の活躍の場が用意される土壌ですらない。
用意周到なトランプ政権2.0が、法的に通らないことでも、「常識」をもって国民に情報開示したら、よしんばUSAIDは残っても活動が相当に限定されることだけはまちがいない。
ここが、本当の「狙い」であろう。
こうしたドラスティックな話がある中で、わが国では「パナソニックの解体」がひっそりとニュースになっている。
経営の天才、松下幸之助が打ち立てた「松下電器グループ」の、解体による終焉である。
東芝と並んで、どうなるのか?
「官僚支配化」した企業の末路、なのである。
おなじことが、「日産」にもいえる。
売上高で45兆円のトヨタが抱える役員数は29人、同じく12兆円の日産は63人の役員がいる。
この「肥大化」も、パーキンソンの法則が適用できるのであろう。
ただし、トヨタの役員数が「ただしい」とは限らないので念のため。
トランプ政権2.0では、「大英帝国の衰退」を研究し、これとおなじ道をとる日本の衰退もよく探り、それでもって「アメリカ(製造業)の復活」を謳っているとかんがえられるのである。
それが、英・日が勘違いした、「自由貿易」による逆効果だから、「関税」を道具にした「保護貿易」に舵をきったのであろう。
発展期には、弱い相手から好きなだけ収奪できる「自由貿易」が役に立つが、強い相手が登場すると、「自由貿易」によって自国が衰退をはじめるのが歴史の必然なのだ。
大英帝国にとっては、弱いインドと強いアメリカだったし、戦後の日本にとっては弱いアメリカと強い中国という構図だ。
70年代から80年代にかけて、スタグフレーションに苦しむアメリカを相手に、日本が対米「自由貿易」を錦の御旗にしてアメリカ製造業を破壊したことが、その後の日本衰退を招く、「日米構造協議」となったし、いまは、共産党支配の中国が、「自由貿易」を声高に叫んでいるのは、かつてのわが国とおなじ理屈があるからだ。
大英帝国は金融帝国として生き残ろうとしたが、金融だけでは国民の全部に富は行き渡らないので、いまの惨状がある。
それなのに、発想を切り替えることができず、まだヨーロッパの覇権をロシアと争う「伝統=因習」に囚われている愚かさを世界に示している。
かつてライオンだったかもしれないが、とっくに縮んでネコになったのを理解できず、ネコが自身をライオンだと思いこんで愚策を展開している見苦しさは、世界の迷惑なのである。
日本も、80年代から90年代にかけて、なにをとち狂ったか?金融大国を目指すというトンチンカンで、「日本版ビッグバン」をやったら、日本企業が外資に買われるはめになって、いまの惨状がある。
この「惨状」には、世界における発言力さえなくなったことを意味している。
これを誰がどう仕掛けて、公金チューチューの体制へと転換したのか?
だがしかし、日本人がよしんば「日本版DOGE」を設立しても、ハッキングできる人材もいなければ、ハッキングされるシステムを日本政府はもっていないので、大量の「紙文書」と格闘させられる。
この官僚の安心感が、わが国を滅亡させるのであろう。