DOGEの戦略発表

イーロン・マスク、 ビベック・ラマスワミ両氏が担当する閣外組織、日本語にして「政府効率化省:Department of Government Efficiency」は、すべての活動を「X」にて公表するとしていた。

すでに、戦略が発表されたので書いておく。

まず、DOGEの基礎となる「連邦最高裁判例」が2本ある。
2022年、ウエストバージニア州対連邦環境省の判決
 連邦議会がとくに権限を与えない限り、政府機関が経済や政策に関わる重要な問題を扱う規制を義務化することはできない、というもの。
・2024年、ローバーブライト対レイモンド連邦最高裁判決
 連邦裁判所はこれ以降、連邦政府機関に法解釈や規則を決める権限を委ねるべきではない、というもの。

ようは、「議会主義」の確認と命令なのである。

これは、憲法の定める「三権分立」における国権の最高機関としての議会(=日本国憲法では「国会」)の基本構造上、アメリカだけでなく、わが国にも適用できる重要な判断であって、沈黙のわが国最高裁判所とはちがいすぎる。
とはいえ、外国の判例だから関係ない、とも言い切れない。

このブログで書いてきた来年には、「第三次臨時行政調査会」の気運が高まるだろう、という予測の最大の根拠なのである。
しかし、もはや行革を行政府内で行わせることは、上の判例があっても不可能だから、DOGEのような「閣外組織」をもって外部で立案しこれを「大統領令」で実施するのは合理的だ。

この組織の目的は、肥大化した行政組織の思い切ったスリム化にある。

そこで、科学的アプローチという万国共通をもって整理すると、
1 目的を明らかにする
2 事実をつかむ
3 事実についてかんがえる
4 実施方法を決める
5 実施する
6 確かめる

上述の通り「目的」は明確だから、2番目の「事実をつかむ」段階になる。

2トップによる、「事実」の指摘は強烈で、アメリカ連邦政府は年間にして、数万件もの規制を新たに発していることが判明している。
さらに、これらの規制を実施するにあたっての「文章:日本でいう「通達」にあたる」のページ数は膨大(数万ページある)で、ここに、企業ごとの権利保護も記載されているという。

これが、政権党に対する「企業献金」の見返りにもなっている構造があるというのだ。

まったく、わが国とは別次元のあからさまがあるのだが、それはもう「肉食の思想」だからとしかいいようがない。

もちろん、わが国のオブラートに包み込むようなやり方を褒めているのでもない。

そこで、3番を考慮した彼らは、4番の「方法」をかんがえついた。
それがまた、イーロン・マスクらしい、「A.I.の活用」なので驚くのである。
なお、これは、本プロジェクトにはトランプ氏が自ら指示した「期限」とも関係する。

建国250年となる、2026年7月4日まで、なのだ。

つまり、DOGEは、この日に「解散」を予定している。
恒久的にダラダラやる気は、ビジネスマンの彼ら二人にも、トランプ氏にもはなからない。

もちろん、一期4年しかないトランプ政権2.0にとって、「DSを一掃し、アメリカ政府をアメリカ人の手に取り戻す」という本来の「目的」達成のための残り時間をかんがんえたら、これはまだ序の口の仕事にすぎないという思いがあるはずだ。

そんなわけで、おそらくイーロン・マスクは、これまでの何万になるか知らない規制のすべてをスキャニングした上で、A.I.検索にかけて、驚くべきスピードと機械的で無慈悲な切り捨てをもって、規制自体の削除と、これに関係する「担当官:人員」を解雇することになるのだろう。

ここで「切り捨て御免」で次がない日本的でないのは、単なる解雇ではなくて、再就職先の斡旋もプロセスにある用意周到なのである。

それでまた類推できるのは、イーロン・マスク、 ビベック・ラマスワミという「経営者」のことだから、優秀な官僚を自社や仲間内の企業で優先的に採用することもやって、いまの年収の確保だけではないような待遇で迎える算段もしているとおもわれる。

これは、70年代にアメリカでやった、「中央卸売市場の公設廃止」という記憶も影響しているにちがいない。

当然ながら、ここで働いていた「公務員:役人たち」は自動的解雇になるから大反対していたが、成長著しい流通企業に経験者として好待遇で採用され、年収が想像以上に増加してあっという間に「辞めてよかった」になったのである。

ちなみに、わが国の「公設卸売市場」ができたのは、「米騒動」の暴動の後であった。

さて問題の一番は、政府高官として甘い汁を吸い続けてきた「人間の感情がたちはだかること」である。
つまり、これらが結集すれば、強力な抵抗勢力になることはやる前から見えている。

これをどうするか?が、日米での決定的にちがう「文化性」となって現れるにちがいない。
なので、上に示したような「エサ」の見せ方も熟慮していることだろう。

外部の者には、目が離せない「おもしろさ」がこれから1年半ばかり展開されて、それがまた、わが国へ津波のように押し寄せるのである。

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