EU崩壊はやっぱり通貨から

いまさらにハイエクの予言の意味が深くなってきている。

通貨統合でうまれた「ユーロ:€」が、あろうことかフランスを襲って、にっちもさっちもいかなくなった。
これは、政権交代しても変わらない「与件」なので、「EU離脱=ユーロ放棄=フランス・フラン復活」以外にどうにもならないことなのである。

この意味で、ぜったいに「スターリングポンド:£」を棄てなかった、サッチャーの慧眼が光るが、そのサッチャーの支柱がハイエクだったのは偶然ではない。

そもそもマーストリヒト条約を、ヨーロッパ各国が慌てて締結するはめになったのは、ソ連(圏)崩壊という寝耳に水だった。
当時の西側政治家で、これを予想した者はいなかった。

世界がアメリカ一強になることの恐怖に対抗するため、ヨーロッパは生き残りをかけて大集結したのである。
あろうことか、そのためにフル回転で活動したのが、フランスの高級官僚たちだった。

彼らは特定の学校(国立行政学院:École nationale d’administration:ENA )の卒業生ばかりで構成される、狭い世間で生きているのはわが国とおなじで、成長著しい日本を導いたのが官僚制だという大変な勘違いをしたのである。

そうではなくて、戦後の混乱で規制と利権が整備されずにいたことでの「自由経済」だったのが最大の成功要因だった。

政治家で唯一の例外は、ドイツのヘルムート・コール首相だという説がある。

この大柄な人物が、強い牽引力で「東西ドイツ統一」をやり遂げたことが理由になろう。
だが、時系列ではソ連崩壊をあらかじめ予想していたのではなくて、現状対応をしていたといえるから、やっぱり「例外」ではない。

東西ドイツ統一を、英・仏は苦い目でみていたし、アメリカが放置した理由は人権尊重だったろうが、ドイツ封じ込めのためのNATOが機能しなかった。
ワルシャワ条約機構に対抗するため、というのは表向きで、NATOの真の目的はヨーロッパをアメリカが支配するための道具として存在することだけなのである。

ために、NATO歴代事務総長はドイツ「以外」の国の首相経験者(アメリカの代理人=ドイツ監視人)とし、総司令官はアメリカ軍の将官が着任することになっている。

それで、統一当初、遅れた東ドイツのために西ドイツがさまざまな負担をしたことで、ドイツが弱体化するようにみえたから、英・仏は安心したけれども、東ドイツやポーランド、ハンガリーにチェコのひとたちを「安く使う」ことでのドイツ経済が絶好調になると、「あれれ?」になったお間抜けがある。

ドイツは強いマルクから弱いユーロになって大儲けしたが、フランスはフランすなわち通貨発行権を自分から放棄したのである。
ただし、ドイツは傲慢になって、「安く使う」パターンを中国にも延長し、あんまり儲かるために自分から原発を放棄して「良い子」を装った愚策をすすめたのだった。

このドイツパターンをいくのが、「自・公・立憲共産」政権の社会主義である。
4日、その自民党の新総裁に「初の女性」というだけでしかない、高市早苗氏が選出されたというが、このひとへの不信については何度も書いてきたとおりである。

日本国民が要求すべきは、解散総選挙に尽きるから、石破首相の最後っ屁に期待している。

いま、フランス政治が危機にあるのは、マーストリヒト条約で定められた財政赤字レベルが「違反」状態になってしまったので、緊縮財政をしようにも左右双方から議会が許さないので、ドン詰まっているのである。

もう、アメリカや日本のように「国債」を発行して、「ドル」や「円」を得ることができないフランス政府は、EU本部やECB(ヨーロッパ中央銀行)に泣きつこうが、「条約」を盾にとられて聴く耳もないけんもほろろなのである。
マクロン政権だから、ではないところが大問題なのである。

そんなわけで、フランスはユーロを放棄して自国通貨に回帰するしか選択肢が残っていない。

つまり、EU脱退の一択なのである。

いつこの崩壊が起きるのか?
もはや時間の問題になっていて、プーチンがじっと観察しながら「対策」を練っていることだろう。

わが国としては、トランプ大統領に「ヨーロッパ放棄」をうながして、東アジアへの一点集中を懇願しないといけないまでのヤバさがある。
けれども、各国ファーストでやれといわれる可能性が高いので、どうする?になっているのである。

これに対応する能力は、高市政権にあるとは思えないのがいかんともしがたいのである。

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