所得税は合衆国憲法に違反する。
トランプ大統領の公約は、世界各国の政府に衝撃を与えているだろうに、さらに追い打ちをかけて、イーロン・マスク氏が、固定資産税の廃止を訴え出したことも彼単独の発言ではなく、トランプ大統領の言質を取ってのことだろう。
レーガン政権の歴史的「減税」を上塗りする、トランプ減税の実態は、松下幸之助が理想とした、「無税国家]への道なのか?
わが国の、「優秀な官僚」といえども、高等教育機関に合格・高等文官試験合格という、ふたつの「合格」をもっての評価であって、自分で稼ぐビジネス経験はない。
なので、幸之助翁の主張を理解するものはなく、よって国家目標に据えることもしない。
マックス・ウェーバーは、「最高の官僚は、最低・最悪の政治家」と評したが、日本の場合、その最高の官僚が立候補して、見事に最低の政治家になるようになっているのは、近代政党政治における、必須要素の「シンクタンク」を政党が抱えることをケチって、官僚組織自体をシンクタンクとして扱うことにしたからである。
それで、日本における民間のシンクタンク(たいがい「なんとか総合研究所」という)は、あたかも「ゼネコン」のごとく、官僚政府の下請け理屈機関に成り下がった。
幸之助・無税国家論の肝は、ドラッカーが指摘した「年度会計」の無意味と、「積立金」の不可能が、現実政府運営のもっとも「おいしいところ」であるためだ。
よって、これを承知で挑んでいるのがトランプ政権2.0だといえる。
だがしかし、トランプ氏は無法者の破壊者ではない。
ではその真意(上位概念)は何かをかんがえたら、「ドル防衛」これに尽きるのではないか?
そのためのFRB廃止だ。
彼は自身のTruth Socialに長文を投稿し、対米貿易におけるあらゆる障壁に「関税」で対処すると明言した。
これに日本で反応するのは、「報復関税」にからんだ話題ばかりだが、貿易補助金としての消費税についての議論が欠けていることは書いた。
ようやく、ここにきて日本への「関税」の対象が、消費税であると明言したので、ビジネス感覚が決定的に欠如している日本政府が慌てだしたのである。
20世紀にアメリカが大繁栄したのは、二度の世界大戦もあるが、ドルを国際基軸通貨とすることによる、「通貨発行権」による想像を絶する利益の享受だった。
ようは、貿易による決済通貨としてのドルのことである。
ざっと半世紀前の1971年に、ニクソン大統領がドルと金との交換(兌換)を、「当面の間」停止したことによる世界経済の混乱は、天才・キッシンジャーの「ペトロダラー構想」でおさまったのだった。
稀少な金に代わって、サウジアラビアの石油購入決済には「ドルだけ」とすることで、ドル価値の裏付けを一応でも得たからである。
本当は「紙」の価値しかないものとしりながら、世界がこれに応じたのは、たんに(当時は「稀少」と喧伝された)石油が欲しいという事情からではあったが、みんなが欲しがって世界の津々浦々までドルが浸透すれば、もう勝手にスタンダードになるしかないのである。
アメリカのラッキーは、本来ならサウジアラビアと対抗できる石油がある、ロシアが、「ソ連」であったがために、西側の誰も鉄のカーテンの向こう側にある「ソ連ルーブル」を欲しがらなかったのと、当時のソ連には永久凍土の下にある石油を得る技術がなかったことなのだ。
そのキッシンジャーが亡くなる直前に、サウジアラビアが「ペトロダラー・ルール」を一方的に放棄したのは、バイデン政権の一方的な悪辣に懲りたからである。
ベッドでこれをしった本人は、死んでも死にきれない想いをしたにちがいない。
しかし、そのサウジアラビアの王太子は、じつはトランプ氏と親交が深いのである。
この王太子が国内開発に熱心なのを、「石油枯渇後の国家戦略」だと解説が一般的だが、わたしは、石油が無尽蔵で、地球のどこにでもある、ことがサウジの有利性を失うことの危機感からだとかんがえている。
こないだは、房総半島から東京湾にかけて「油田発見」のニュースがあったが、短鎖と発掘両方の技術が各段に進歩したいま、石油の最大の障害壁は、「脱炭素」というポリコレになっているのである。
それゆえか、ウクライナ和平に向けて、プーチン大統領との会談場所をサウジにして、しかも王太子を同席させるというアイデアが13日の電話会談で飛び出し、ロシア大統領府ペスコフ報道官は、この会談後にすかさずロシアはトランプ大統領を国賓としてモスクワに招待することを発表した。
サウジの王太子を同席させるのは、世界3大石油産油国としてという意味に、中東問題の協議が加わるのは当然として、ドル防衛についてのロシアの参加すなわち、ロシアの世界経済への復帰=制裁解除もあるにちがいない。
そうしたなか、トランプ大統領は、「オバマが間違ってG8からロシアを排除した」と発言したことで証明されたが、ロシアは衰退のG8ではなく、「G20」に興味があると返している。
つまり、どちらにせよ、ロシアルーブルとドルの交換を通常化させる、という意味だ。
ならば、今年の後半あたりから、アメリカや西側からのロシア投資ブームが起こるだろうことは確実なのである。
そうやって、FRB廃止に向けての地ならしをして、ドルの発行権をアメリカ政府=財務省に取り返すのだとかんがえているのではないか?
こうした動きに、わが国はぜんぜん追随できていない。
だがしかし、タックスヘブンと化すアメリカへの直接投資が、大統領の狙い通りになるように仕向けてからのはなしである。
トランプ政権2.0のタスク管理は、A.I.を活用しているのかどうかしらないが、やたらと正確だからである。