Madison Square Garden での熱狂

日本の総選挙開票状況なんてぜんぜん気にしないで、同時刻の地球では驚くべき熱狂があった。

そもそも共和党の大統領候補が、東海岸の民主党の牙城、ニューヨーク州どころではないその本丸、ニューヨーク市マンハッタンのド真ん中にある「Madison Square Garden」で選挙キャンペーン集会をやっても、だれが集まるものか?という常識をひっくり返して、開場の前日から徹夜で順番待ちするニューヨーカーが多数いただけでも歴史的ニュースなのである。

じっさい会場にはキャパ満杯の2万人がおり、会場外には7万人以上があつまった。
それで全参加者の47%がトランプラリー未経験者だと、同エリアにWi-Fi接続した各自の端末に保存されている行動記録情報から分析された。

この技術は日本企業が開発したものであるから、まっ先に日本国内のコンビニや有名デパートに採用されて、入店した顧客個人がもっているスマホの行動記録にアクセスしてビッグデータとしてマーケティング分析の対象となっている。

スマホが自動収集する位置情報記録は、所有者がしらないうちにほとんどの個人生活を特定し、分析できるまでの正確さを持っているが、個人情報そのものにアクセスしてはない。
わたしが、「LINE」「Payなんとか」を利用しない理由は、この方法とはちがってもっとあからさまな個人情報(購買記録とか)を勝手に盗まれるからだと書いてきた。

さてこの熱狂に、民主党(言いだしっぺはヒラリー・クリントンらしい)は傘下のテレビ局やらに、戦前のむかしにこの会場であった「ナチスの大会」記録を引きあいにして、トランプはヒトラーだというキャンペーンを打ちだし、これをまた日本のマスコミがなんの注意も加えずにコピーして垂れ流している。

そうした歴史をいいだしたら、フランクリン・ルーズベルトも、ビル・クリントンも大統領選挙の際に、ここで選挙集会をやっているのをどう説明するのか?

ここは、世界都市ニューヨークを代表してきた巨大アリーナ、「Madison Square Garden」なのだから、政治家だけでなくエンタメも「時のひと」が集客に利用する当然がある。

さてそれで、登場した応援弁士たちの顔ぶれも豪華であった。

なかでも注目は、民主党を追い出された共通の経歴をもつふたり、ロバート・ケネディ・Jrと先週、共和党に入党宣言した、ハワイ州選出の民主党連邦下院議員(4期)で、さらに前回の2020年の大統領選挙では民主党予備選で最後までバイデンと並んでいた、トゥルシー・ギャバードが登場し、ほぼ民主党支持者ばかりのはずの会場を熱狂させたのである。

追い出された、というキーワードでは、タッカー・カールソンも熱い演説をやった。

将来の「初の女性大統領候補」にもっとも近いと評判の、トゥルシー・ギャバードの出身地であるハワイには、残念ながら、トランプ氏は選挙人票が少ないためにでかけていない。
ここは、オバマの出身地(じつは出自は不明)であり、また彼の豪華な別荘もあるが、あの大火災では被害を免れているラッキーがある。

いまや、世界中で「社会調査」の信用度がおちて、単なる世論誘導の手段になってきているために、しかける側も実態がわからないという状況になっている。
だから、トランプ陣営がいまさら敵陣のド真ん中であるニューヨークに乗り込んで、たかだか数万人を熱狂させても「なんぼ?」の結果になるかはだれにもわからなくなっている。

しかし、そこは先進国のアメリカなので、奴隷化・家畜化が進行している日本とちがって、ネットの発信力もちがうし、受けとめる側の感受性もまだ高いようだ。
とくに、民主党支持者がおおい、都市部における影響力=伝染力があるために、ニューヨークでの熱狂が他の州や都市に飛び火する可能性は十分にある。

これに、勝ち馬に乗るのと、視聴者の数が稼げることからの、ちゃんとした商業主義が首を出して、民主党応援団だったマスコミが急速に「トランプへの鞍替え」も開始しているし、大統領選挙と同時に行われる議員選挙では、民主党候補が自身を「親トランプ」だとするキャンペーンをもって、ちゃっかり人気便乗をはかっているのである。

このあたり、儒教的道徳感が残る日本では逆効果となろうが、アメリカ人の「肉食の思想」では、気にしない。
なにがなんでも「勝てば官軍」なのであって、露骨だろうがなんだろうが負けてすべてを失う行動選択は、「肉食の思想」の有権者からもバカ扱いされるのである。

それは、選挙資金集めの制度が、わが国よりもずっと緩いこともあるからで、こないだはビル・ゲイツが個人のポケットからこっそりと、5000万ドル(約75億円)を「領収書を必要としない」選挙資金として合法的に民主党へ寄付していたことが発覚したことでもわかる。

総額で50億円ほどだった、わが国の自民党「裏金問題」のなんとちんけなことか!

そういえば、前回2030年の大統領選挙では、フェイスブックのザッカーバーグが、やっぱり個人で500億円を民主党に寄付していたのは、本人も認めている。
これが、不正行為の源泉の一部になったともいわれている。

だが、「一部」なのだ。
アメリカの選挙は徹底的な金権選挙だ。
ゆえに、選挙そのものがビジネスになって、集金から宣伝製作・家庭訪問まで専門の職業が存在するにまでなっている。

日本の公職選挙法が逆手の「柔術」的なのに対して、アメリカは順手の「合気道」的だ。

今回は、イーロン・マスクが共和党の応援で、残り2週間ほどの期間に、合法的な新規の有権者登録者に抽選で毎日、100万ドル(約1億4千万円)を差し出すとしたのは、日本では御法度だが、それでも上記のひとたちと対比したらあんがいと小さな金額なのである。

これが合法なのは、当選者がじっさいに選挙投票をするかしないかも本人の個人的な判断で、どこにも強制がない自由だからという理由である。

まったくもって、「肉食の思想」のひとたちは、大胆かつ豪放なのである。

このことで日本人をうんぬん言いたくはないが、「草食」の弱々しさが目立つので、これがまた精神的にも彼らとの競争で負ける経済衰退の理由になっているのだろう。

そんなわけで、トランプ陣営はこないだ書いた「地滑り(landslide)的勝利」を狙い始めていて、31日だかにやはり歴代共和党候補者が選挙集会を開催したことがない、「ニューメキシコ州」でやると発表された。

怒濤のようなスケジュールをこなす、78歳のパワーは、すこしあやかりたいという気もする。

いい意味で発想に柔軟性もあるトランプ氏は、「TikTok」のアカウントも持っているが、いまアメリカではトランプ氏が登場するときと退場するときの音楽にあわせて踊るあのダンスが、大ブレークしている。

投票を終えた老若男女のひとたちが、投票済みの半券をカメラに見せてこのダンスをはじめるのである。

こういうのが大流行するというのは、「隠れトランプ支持」でないと攻撃された前回とは雲泥の変化で、もう結果も見えているといえるのである。

それゆえに、日本の(強制的=矯正)変化も来年は必定、ということが具体的にスケジュール化されるということなのである。

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