国民にとっての「国家の役割」を単純化したら、最大の「業務(役所用語では「事業」という)」は、「国家安全保障」である。
それは、「国家の3要素=領土・人民・主権(統治権)」の筆頭にあるのが、「領土」であることでも明らかだ。
もっとも、「領土なき国家」という考えもあるけれど、「陰謀論的薫り」を醸し出すので、ここでは議論しない。
ただし、「領土を超越した国家」という話になると、グローバリストが「夢見る」、世界政府、という発想がある。
興味深いことに、世界政府を実現したいと考えるひとたちほど、「個人」を大切にする、という思想に厳密で、SDGsとか、LGBTとかに熱心なのである。
実は、世界政府とは「均一化」のことだから、「個人の均一化」こそが、実現の「近道」だと考えているのである。
すなわち、共産主義なのである。
このことの「欺瞞」と「恐怖」を、『スターウォーズ』が表現していた。
エピソード3、『シスの復讐』における、パルパティーン最高議長こそが悪の権化ダース・シディアスであった。
そして、この作品の重要性は、シリーズの中の位置づけだけではなくて、「善悪の境界線」がテーマになっていることである。
実際に、「EU」が目指したのも、「ヨーロッパの均一化」だったし、いまでもそうだ。
あらゆる意味で自国の「独立」にこだわった英国が離脱した意味も、「均一化への反発」であって、英国民は、EUに残存して得る「経済価値」はこれよりはるかに低い価値だと判断したのである。
この「判断」を、現代日本人はできるのか?
できないからこそ、「親中政権」が継続しているのである。
岸田政権が特段の親中なのではなく、田中角栄政権以来、我が国は「一貫して」いることを忘れてはならない。
つまり、半世紀に及ぶ「国是」が、親中(共)なのだ。
それに、ヨーロッパは、キリスト教で「均一化」されていた経験がある。
『スターウォーズ』の背景には、「教会」の横暴の歴史と倫理観がある。
制作者たちは誰か?を考えるまでもない。
だから、「教会抜き」と、「日本的倫理観」で楽しむ日本人は、世界的小数派だし、本来の作品製作意図が理解できていない可能性の方が高い。
この作品群を単なる「エンタメ」として観てはいけないし、背景に隠された哲学的意図があるから、世界的ヒットもし、「普遍的価値」を提供していることを、多くの外国人は知っている。
いまのドイツが、プロテスタントという原理主義に熱中したのが、持続可能エネルギーへの「病的移行」になっているし、ローマ教皇から「破門」されそうになって「分離」した英国国教会のように、EUから離脱したのだ、と見ればなんていうこともない。
さて、オーストラリア国防相の26日の演説が話題になっている。
この前提には、EUから「独立」した英国の動きと関連付けることができる。
「死に体」となっていた、「英連邦の復活」がその背景にあるからだ。
最新鋭空母が我が国に「寄港」したのも、その一環である。
わざわざ「極東」の我が国にまでやってきたのは、世界一周のクルーズをしたいからではない。
七つの海を支配した、かつての大英帝国は、オーストラリアを「囚人」の地と位置づけて、正規移民の「ニュージーランド」と区別した。
巨大な「島流し先」だったのである。
だから、オーストラリア人とニュージーランド人は、我が国と「半島」同等かそれ以上に「仲が悪い」のである。
そんなわけで、オーストラリアは右派が政権を担っていて、ニュージーランドは極左が政権を担っている。
ニュージーランドの現女性首相は、「活動家」からの出世である。
ただし、コロナ対策での国民権利の剥奪は、ナチスや中共のように暴力的だから、「右派」も「左派」もない。
「アジア・オセアニア」という地図で見れば、オーストラリアは東南アジアの東南に位置するので、ASEAN諸国との関係は深い。
それに、我が国の真南側になるから、日本との時差は1時間、ないし、2時間(先)しかない。
彼らは、国家の役割の第一に安全保障をおくので、南シナ海やらの「シーレーン」における「自由航行」について、敏感であるのは言うまでもない。
この点、我が国の「脳天気」とは違う。
それで、「台湾の次は尖閣」だと、明言したのである。
しかし、政治家の言葉を言葉どおりに受けとめてはならない。
「尖閣」が、日本領であることは「国際認知」されている。
したがって、日本政府が言う「領土問題はない」は正しい。
すなわち、外国人が「尖閣の危機」というのは、「日本の危機」を暗に語っているに過ぎないのだ。
さてそれで、中国は「核による先制攻撃はしない」と国際約束をしていたが、7月11日に、「日本だけは例外」として、台湾侵攻を日本が邪魔するならば「日本を核攻撃する」というメッセージをネットで拡散させた。
あちらの情報系は、ネットでも国家管理がしっかりしているから、民間人の勝手な投稿はすぐさま削除されるばかりか、投稿者が追跡特定されて逮捕されたら、そのまま「行方不明」になってしまうのだ。
つまり、「拡散した」という事実は、国家が認めた、という意味である。
オーストラリアにとっても、その他の国にとっても、日本は重要な国なのは世界第三位の経済大国だからだけれど、核攻撃をもって脅迫している国がある、という現実を日本人は知らなかったことにして、幸せに暮らしている。
なお、「中国 核ミサイル 日本 地図」で検索すれば、どこからどういうふうに飛んできて、「飽和攻撃」状態になるかを示した地図が多数出てくる。
この地図に、彼の国はコメントしない、ということも、知っていていい。
距離から推測すれば、発射後数分で着弾する。
ご丁寧に、「被害想定」もあって、その数は1800万人だ。
その後、放射能によって人間が居住できるのかどうかの記載はないけど、屈服した日本政府は「直ちに健康への影響はない」とするのだろう。
国防相の発言は、日本を守りたい、ということではなくて、日本のようになってはならない、ということなのだ。