24日に充電器メーカー「CIO」がアップした動画と、タイアップが決まった電気系ものづくりユーチューバー「イチケン」さん(東京工業大学大学院博士課程修了)による双方それぞれの同時配信が興味深い。
いまや個人でも何個かかならず所有しているのが、「充電器」であろう。
スマホやタブレット、あるいはゲーム機などモバイル機器への充電に欠かせない必需品であるからだ。
しかし、「国産」がない、というのが、国産メーカーのはずのCIOが断言している。
ようは、設計は日本国内でも、生産は中国だということなのである。
よって、本プロジェクトの価値は、どこまで国産部品で製品として製造できるのか?という、ほとんど「経済安全保障」の実験的取り組みといっていいのである。
むろん、その製品としての目指す高みには、機能の追求もある。
しかも、このようなプロジェクトを、国に依存せず、新興メーカーと個人ユーチューバーとがコラボしてはじめる、のも珍しく、かつ、新しい試みである。
ふつうは、国(産業破壊を得意とする「経済産業省」)からの補助金依存があって、手柄は役人が盗む構造になっているからである。
わが国の産業(製造業)空洞化は、1985年の「プラザ合意」による円高が第一の発端で、その後90年代のソ連東欧圏の体制転換と東南アジア諸国の台頭によって決定的となった。
またこれができた背景には、「デジタル化」による、自動化の発展も見すごすことはできない。
よって、かつて「世界の工場」といわれた、日本とドイツの工業力が実質衰退し、主に中国へシフトしたのはよくしられるところである。
「地味」だが、ドイツの名産品のひとつに「靴」がある。
マイスター制度で職人を育て、職人が社会から尊敬される制度を構築してきたのがドイツの伝統である。
しかして、「靴」は、日本でいう「整形外科医」の本職として製造されるのが「ドイツ式」なのである。
ために、ドイツ製の靴を日本で真似ることの難易度は、かなり高く、成功していない。
ドイツの靴メーカーと提携した日本の靴メーカーでも失敗している。
この場合は、専門の職人が育たないためである。
よくみる民族衣装をまとったドイツ人のお婆さんの写真で、足元に注目すると、可愛い靴を履いているのだが、おそらく十年単位でながく履いているとおもわれる。
直しがきくので、長く履けるし整形外科的な完全さも備えているのである。
それが嵩じて、兄の「プーマ」と、弟の「アディダス」となったけれど、元は「ダスラー兄弟会社」であった。
そのドイツは、自動車産業が崩壊の危機にあるだけでなく、靴すらもドイツ人の職人が絶えて、隣国オーストリアへ製造拠点を移すようなことになっている。
むろん、「プーマ」も「アディダス」も、中国製や東南アジア製が中心で、ドイツ製をみつけるのは高価格帯の製品に限られている。
まったく同様な事態が、わが国の製造業にもいえるのである。
そんなわけで、この挑戦は、ほとんど「無謀」ともいえるのが実態であるから、その開発記録をYouTubeで公開されるのは、めずらしくも民間によるひとつの「産業社会実験」として注目される。

