オプションをいくつ持っているのか?
トランプ政権の用意周到は、プランAからFまでの6つを公表あるいは、ほのめかしている。
このほかに、バイデン氏次男のスキャンダル処理は別のオプションである。
プランAは、司法裁判をつうじた路線。
プランBは、12月23日から1月6日までのペンス上院議長による拒否権発動。
プランCは、上記Bのサブで、1月6日での否認と下院投票。
プランDは、2018年大統領令の発動。
プランEは、反乱法333条の発動。
プランFは、上記D、Eと結合させた限定的戒厳令の発動。
すべて、トランプ氏が再選を果たすためのオプションである。
ただし、プランBは23日をスルーした模様だが1月6日まで有効という法解釈がある。
日付に到達していない、プランC以外は、どれも並行しての実施可能性を持っている。
本稿タイトルの「ペンス・カード」とは、ひとまずプランBとCをさす。
11月3日の大統領選挙投票は、いわゆる「一般投票」と呼ばれていて、じつはこれは、合衆国憲法に記載がない。
12月8日までに、選挙人を決めるための、「予備選挙」なのである。
記載があるのは、各州の上・下両院議会が認めて選挙人を決めることだけなのだ。よって、12月14日に選挙人たちが投票するのも憲法が定めた手順「ではない」。
かつて、広大な国土の通信網がなかったときからの伝統なだけだ。
ところが、通信が発達したので一般投票の結果を、各州政府=知事が認定して選挙人を選定することがさいきんの習慣になっていた。
議会でなく政府が認定することを、「憲法違反」と指摘しているのがプランAにおける法廷闘争である。
そして、このことに関連して、選挙人投票の受領をするのが、12月23日(憲法では12月の第四水曜日(正しくは四回目の水曜日)と定められている)である。
受領するのは、連邦上院議長である、副大統領職がこれにあたる。
そこで、激戦州で行われた選挙不正を根拠にこの受領を拒否し、選挙人を差し戻して、あらたに各州議会に強制的に決めさせることを、プランBとしている。
激戦6州における州議会は、すべからく共和党が過半数を占めているので、トランプ氏への選挙人が決まれば、この時点で選挙人票は逆転し、過半数の270票をトランプ氏が確保することが決定する。
ただし、プランBは、極左過激派による暴動が全国展開されると予想されるし、州政府(知事)が逆提訴することもかんがえられる。
なので、プランCは、プランBが滑ってしまったときの予備オプションではあるが「本命」とみられている。
憲法に記載がある、1月6日に選挙人投票の開票と承認にあたって、異議申立をするプランである。
これは、連邦議会上・下両院議員の全員が一堂に会する合同議会の場でおこなわれる。
ここでも、副大統領が務める上院議長が「合同議長」なのである。
開票と承認は、50州のアルファベット順におこなわれるから、全世界注目の州はまず「アリゾナ州」だ。
異議申立は、下院議員と上院議員の最低一名ずつのセットが必要で、あらかじめ署名した文書を議長に提出しないといけない。
これを、「チャレンジの発議」という。
チャレンジ発議が成立すると、議員たちは自分の議場に戻って、上・下両院それぞれが別個に議決をする。
制限時間は、チャレンジごとに2時間である。
6州全部だと、最長12時間を要する。
しかしながら、下院は民主党、上院は共和党が過半数なので、両院で一致せず「決まらない」ことが決まっている。
そこで、合同議会の議長である、副大統領がどのように裁決するのかが注目されるのだ。
これも、「ペンス・カード」である。
チャレンジされた6州の票を、「無効」とすれば、候補者のどちらも過半数の270票に到達しない。
この場合、合衆国憲法は、連邦下院で大統領を、上院で副大統領を選出するための投票をおこなうと定めている。
ただし、このときの下院においては、50州の州ごとに1票とされているから、州における下院議員の多数による。
すると、共和党が36州で多数なので、トランプ氏が再選されることになる。
逆に、上院で裏切り者がでると危ない。
もしや、副大統領にカマラ・ハリス氏がなることも可能性としてあるのだ。
そんなわけで、プランCは、確実さにおいて不安がある。
トランプ氏が就任後初めて、自分から呼びかけたワシントンの大規模集会を、1月6日とした意味は、議会への民衆圧力といわれる所以だ。
そこで、プランDを同時発動することもかんがえられる。
これには、ラトクリフ国家情報長官によるレポートの内容に、2018年の大統領令に抵触するような「証拠」がいる。
おそらく、トランプ氏は集まった民衆に、その証拠のなにかを「伝える」はずである。
連邦議会での裏切りは、身内の共和党に注目される。
ワシントンの沼における水抜きと大掃除とは、民主党・共和党を問わない。
だから、プランDに関連付けできる、プランEとFの発動は、バイデン氏側がもっとも恐れる事態なのだ。
ギリギリまで、沼の生きものをあぶり出す。
追いつめられた側からすれば、バイデン氏による「敗北宣言」だってありうるのは、放置すれば殲滅作戦による「全滅」のリスクを覚悟しなければならないからだ。
しかしもうここまできたら、とかげの尻尾切りで許されることはあり得ない。
民主党側の勝利への執念が、引き返し不能地点を自分で越えたからだ。
しかして聖書の神の怒りは容赦ないのだ。
クリスマスが明けて、嵐の前の静けさがやってきた。