人類の歴史は、戦争の歴史だといわれて、これを否定できない数の戦争をしてきた。
なので、「ふつうの教育」をする「ふつうの国」なら、「戦争」も重要なカリキュラムにするのが「ふつう」なのである。
しかし、敗戦後の日本は、「ふつう」であることが戦勝国たちから許されず、いつまでたっても「異常」を「ふつう」にする、「変態国家」として存続している。
この「変態状態」から再定義したら、日本は「国」の定義にあてはまらないのである。
それで、「エセ国家」という評価があるのは、納得できることである。
一応、「自治的政府がある地域」となる。
「一応」が付くのは、「自治的」の「的」とおなじで、「それっぽい」という意味である。
これが、「官僚」が支配できることの「理由」なのだ。
人間が命を賭けて暴力沙汰に及ぶには、それなりの「理由」があってのことである。
江戸時代なら、「一揆」を起こせば、「首謀者」は確実に死罪となることは、はじめからわかっている。
わかっているのに、首謀者となるのは、死んでもいい、という意味ではなくて、「もう死んでいる」のである。
もう死んだ自分が、それでもやるのは、「理由」があるからだ。
逆に、理由がないなら一揆をやるものはひとりもいない。
こんなことは、当たり前のことだけど、日本人は「先の戦争をやった理由をしらない」で、「わるいことだった」と思っている。
「理由を教えてはならない」ことと、「わるいことだった」ことを、同時にやって、ついでに「江戸幕府」はわるい奴らだったと教えるのである。
しかしながら、どういうわけか世界中で、戦争の理由をかんがえないでいることが「ふつう」になった。
むしろ、いつも戦争をやってきた、イスラエルのひとたちが欺されないのは、理由がない戦争なんて「あり得ない」ことを、命を賭けて知っているからだ。
ロシアの言い分がわかりにくいのは、ロシアの言い分をぜんぜん報じない、「大本営発表」を、西側世界全部でやっているために、長崎の出島以下の情報量になってしまったからである。
しかし、人の口に戸は立てられぬ状態で、上手の手から水が漏るように、少しずつ見えてきた。
いまわかっているロシアの戦争(「特別軍事行動」と言っている)目的は、三つある。
1.ウクライナによるロシア系住民の殺戮阻止と東部独立
2.ウクライナの「ナチス政権打倒」のためのキエフ陥落
以上は、これまでの「報道」である。
しかし、ここにきて、
3.ウクライナ国内10箇所以上(12箇所ともいう)の「生物化学兵器研究所」の破壊あるいは、危険物質の安全な廃棄
が加わった。
すると、「優先順位」としては、
1.ウクライナによるロシア系住民の殺戮阻止と東部独立
2.ウクライナ国内10箇所以上の「生物化学兵器研究所」の破壊あるいは、危険物質の安全な廃棄
3.ウクライナの「ナチス政権打倒」
ではないか?
「キエフ陥落」を抜いたのは、キエフが世界遺産になっているからで、しかもその核心的遺産とは、「ロシア正教の総本山」なのだ。
なにしろ、プーチン氏は、ロシア正教の敬虔な信者として知られるひとだから、破壊は避けたいとかんがえていないか?
「生物化学兵器研究所」は、ウクライナ側は「生物学研究所」と言っている。
しかし、「元ソ連」だったウクライナの、国家機密にあたる「生物化学兵器研究」については、「元KGB」のプーチン氏が知るところだろう。
プーチン氏は、10年以上前から、ウクライナにおけるアメリカの援助をもってする「研究」をやめるように何回も発言してきた。
なお、在ウクライナアメリカ大使館のHPにあった、生物学研究所における研究情報は、ロシア軍侵攻によってすぐに「削除」されている。
前にも書いたように、ソ連が崩壊したときのどさくさに紛れて、貪欲な米英人が収奪にウクライナへやってきた。
このとき、ソ連の研究所だったものを、アメリカが「横取り」したのである。
8日、アメリカ上院外交委員会の公聴会で、共和党マルコ・ルビオ議員による、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官(軍産複合体を代表する高級官僚)への質問の証言で、これら一連のことが明確になった。
実際、国内に10箇所以上も分散された地域に研究所はあるけれど、その全部の地域に、正確にロシア軍は侵攻しているのである。
軍を分散させる、とは、軍事作戦的には「下の下」の策である。
つまり、生物学研究所への攻撃、もしくは占拠、がその目的だと解する以外、かんがえにくい。
公聴会で、ヌーランド女史は、「ウクライナでの生物化学兵器の使用を懸念」しているのは、「ロシアが関与している」とした。
語るに落ちるとは、このことだ。
ルビオ議員の質問の構成は、日本の議員にはできない。
フランスの記者は、ウクライナ軍がウクライナ人を攻撃している、と生中継で発言して、パリのスタジオがしばし唖然・沈黙したけれど、ヌーランド女史の言い方は、ウクライナ軍が生物化学兵器を使用すると、却って示唆してしまったのである。
このほかに、どんな「戦争目的」があるのだろうか?