トランプ氏とプーチン氏が、「馬が合う」関係だったのは、「取り引き(ディール)」についての感覚が一致していたからだろう。
これは、トランプ氏がアメリカ人の「ビジネスマン」であることと、プーチン氏が「柔道家」であることの共通から生まれたとかんがえる。
日本人には、「合気道」がある。
この武道は、公益財団法人合気会が示しているように、「現代武道」であって、創始者の植芝盛平が1926年に、「合気の道」と呼称したことをはじまりとしている。
しかし、突然できたのではなくて、これまでの「伝統武道」を修得したことを基礎としていることに意義がある。
「逆手」を主にする柔道に対して、「順手」の合気道は、柔道よりもずっと相手の力を利用して、その相手があたかも「勝手に」自分の力で飛ばされてしまうのである。
この「演武」が、あまりにも見事なので、知らずに見る者は「わざと」自分から投げ飛ばされているようにしか感じないから、「インチキだ」と信じるのである。
ところが、実際に自分が相手になると、あれよ?と気がつけば投げ飛ばされている。
これがいま、ヨーロッパで大はやりしている。
しかして、植芝盛平氏には、京都府綾部の発祥である、「大本教」が精神的支柱にあることも、忘れてはならないことなのである。
さて、ビジネスには、「駆け引き」がつきもので、柔道でも相手の袖をとることの「駆け引き」がつきものである。
「できる」相手同士なら、組んだ「だけ」で相手の実力がわかるのも、ビジネスの現場だって同じなのだ。
それが、トランプ氏とプーチン氏の互いをみるに尊重しあうという態度にもなるというものだ。
これが、史上最高得票で当選したという、バイデン氏には「ない」のである。
2016年の大統領選挙で、当選が確実視されていた、ヒラリー・クリントン女史が、まさかの敗北を喫したのは、いまさらに「得票数」ではなくて、各州選挙人の「獲得数」の差であった。
この「票読み」と、「獲得選挙人数の予測」に完璧に失敗するという、「歴史的敗北」をしたのが、わが国「外務官僚」であったけど、誰ひとり責任をとった役人はいなかったし、自民党も責任追及をしなかった。
最低でも、アメリカ駐在大使ぐらいは更迭しないといけないはずだ。
「宣戦布告」の電報を知らずにパーティーに興じて、「Don’t forget Pearl Harbor」を合言葉に、民主党ルーズベルト政権が飛び上がってよろこんで、日米戦争=ヨーロッパ戦線に「参戦」する手助けができたことに匹敵する「惨事」となるところだった。
さらに、外務省のエリートに、正義感もないので、国務長官だったヒラリー女史の「メール問題」すら無視できたのである。
役人に日和ってなお、左派のヒラリー女史を応援したいわがマスコミは、この問題の「汚濁」を伝えない。
法治国家の「法」として、国家機密の保持のためにも、アメリカの高給公務員は、政府が定めた端末を使うことが義務づけられている。
これは、大統領といえども遵守する義務がある。
だから、初当選したオバマ氏の私用で使っていた「ブラックベリー」の継続使用が問題になって、政府は特別機種をつくって与えたのである。
そこまでしても、国家機密を守るのである。
いまはなき「ブラックベリー」は、カナダのこれもいまはなき「リサーチ・イン・モーション社」が販売していた携帯端末であったけど、独自の「セキュリティ・ネットワーク」を構築していて、その通信の「安全性」には定評があったから、一世を風靡していた。
ヒラリー女史は、そうではなくて、「個人サーバー」を介する方法での通信を、なんと国務長官の「任期中ずっと」使いつづけていた。
完全なる「違法行為」であって、問題発覚後、自宅にあったサーバーを「ハンマーで叩き壊した」のであるから、限りなく「黒」に近い。
だから、その通信の痕跡を、分析する「捜査」が続いている。
そしてそれが、国務長官という「地位」を利用して、日本円で「兆円単位の収賄汚職」をしていたという、「疑惑」になってきている。
しかして、この問題を隠すために、選挙中から「仕組んだ」のが、トランプ氏による「ロシア疑惑」というでっち上げ事件だ。
ところが、最近になって、トランプ氏が大統領に就任した後も、「盗聴」を続けていた証拠がでてきて、これを、「特別検察官」が発表した。
ニクソン大統領が「辞任」に追い込まれた、「ウォーターゲート事件」をはるかに上回る、現職大統領への「盗聴」とは超弩級の事件だ。
日本になくて世界中にある「法律」で、「国家反逆罪」が適用されておかしくない「犯罪」なのである。
なお、反逆罪がある国は、どちらさまも「死刑」が用意されているのも「常識」だ。
これで、ヒラリー女史の政治生命が尽きたことはもう決定的であるけれど、アメリカの大手マスコミは報じていないから、わが国のマスコミも報じない。
それに、本人もどこかに引きこもって出てこない。
さてそれで、プーチン氏は、ロシア国会の議決にしたがって、ウクライナの一部を「独立国家として承認」し、軍を動かす議決も出た。
停戦を決めた「ミンスク合意」を無視しつづけて、今回の当該地域に対する「内戦」をやめなかったウクライナ軍を非難している。
実態は、ロシアの言い分が「正しい」のだ。
手も足も出ないバイデン氏の醜態が、アフガン撤退の失敗と一体になって、中間選挙での敗退がみえはじめた。
もう、台湾危機しか残された道(戦争勃発による現職有利)はないのか。
しかしながら、頼みの北京最高首脳がオリンピック中に引きこもって、重要会議をやっていた「らしく」、大運動会終了後に訪独した外務大臣のウクライナ危機についての言動は、「常識的」に変わっていた。
どうやら、ウクライナと台湾の二正面作戦をアメリカにやらせる意思が萎えてしまったようなのである。
こうなると、バイデン民主党は、自業自得とはいえ、「絶体絶命」をどうするのか?になる。
プーチン大統領の「国家承認」と「平和維持軍の派兵」を受けて、トランプ氏は、「原油価格の高騰がロシアを大儲けさせて経済的余裕をつくりだしたのだから、それをわざとやったバイデンの責任だ」と非難して、「呼吸」を合わせている。
プーチン氏とトランプ氏の両人は、もしや、ここにきてようやく、「秘密の協議」をしているのかもしれない。
ところで、欧米の雑音は横にして、「当事者」のウクライナ大統領は、ロシアに「話し合い」を呼びかけている。
実は、ウクライナ政府内の「統治の機能不全」(大統領と政府官僚と軍)が、この危機の原因なのである。
それで、日本の外務大臣はこの直前、ロシアとの経済協力案件で、キャンセルせずに先方の担当大臣と会談していた。
明らかに大臣の意思であり、長く外務大臣をやっていた現総理の意思だろう。
この意味は、たとえレームダック化が確実の、民主党バイデン政権が相手とはいえ、日米同盟の「終わり」を告げただけでなく、「西側からの離脱」の意思表示である。
集団的安全保障からの「離脱」になるから、プーチン氏よりも、よほど「勇猛果敢」なのは、岸田内閣なのであった。
G7で、わが国は「孤立のみち」を選んだ、歴史的転換点だ。
しかしてこれは、合気道的な行動なのか?
説明はないし、質問する記者もいない。