2021年だった東京オリンピックから、まもなく2年が経つ。
国内報道ではほとんど無視されたのが、選手たちへの「食事」にまつわる「安全性」についてのレポートだった。
「田舎のおばあちゃんが作った美味しい野菜」が、外国人アスリートたちにふんだんに提供されたかといえば、ぜんぜんそんなことはなく、むしろ、国産の食材はシェアを失っていたのである。
これは、「国際規格」による調達が、各種国際競技団体の標準だったからで、残縁ながら、わが国の食品生産における「国際規格」は、当初皆無だった。
あわてて農水省が、「国内基準」を作ったけれど、今度は生産者がついていけなかった。
わざわざそんな基準にコストをかける意味があるのか?と。
そんなわけで、オリンピックでは、二段階の食事が提供された。
競技前・競技中と、競技後である。
アスリートたちが自身の体調管理にピリピリするのは、ドーピング違反も含めてのことだ。
なので、日本人一般が口にするのと同様の食事は、競技後の「ご褒美」となったのである。
ただし、そのご褒美がどこまで歓ばれたのか?は、不明だ。
ふだんから食事の中身を気にする一流アスリートなら、当然といえば当然だ。
ちなみに、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務局のHPに、どんな食材が提供されたかの「詳細」が掲載されている、ということになっているけど、その量や全体の比率についての記載はない.
マスコミは、「食材廃棄」についての問題を熱心に報道をしたが、目眩しだとわたしはかんがえている.
ところで、ブラジルのサンパウロ大学が提唱している、「NOVA基準」という四段階の食品分類がある。
グループ1. 未加工品あるいは最低限加工した食品
グループ2. 加工した料理素材
グループ3. 加工食品
グループ4. 超加工食品
当然だが、「超加工食品」には問題があって、それが、体内での「慢性的な炎症」を引き起こして、疲れやすくなる、という。
「PFCバランス」が崩れるからだ.
Pとは、protein:タンパク質、Fとは、fat:脂質、Cとは、carbon hydrate:炭水化物の、三大栄養素のことを指す.
ならば、グループ1. から3. には、問題がないのか?といえば、そんなことはない.
グループ1. にしても、どうして「オーガニック」という基準があるのかをかんがえればいい.
つまり、私たちは、何を食べているのか?を突きつめると、困った状態になっているのである.
いい換えれば、変なものをふつうに無意識に食べていないか?ということだ.
「変なもの」とは、安全性や健康維持に問題があるかもしれない食材・食品のことである.
もっといえば、「毒」で、食源病の疑いが濃くなった癌の原因物質だ。
たとえば、スーパーにある、「お惣菜」の一部は、そのスーパーで調理されたものではなく、業務用を小分けにしただけのものがある.
その業務用の食品は、いまやほとんどが外国からの輸入品なのだ.
そして、それには、ふつうに食品添加物がつかわれている.
もちろん、一種類ではなくて、だいたい20種類ほどが混じっている.
これには、豆腐や梅干しも対象になる。
豆腐には、大豆の由来と凝固剤が、梅干しには梅の由来と調味料が問題になる。
「安さ」を追及すると、「もどき」になるのだ。
ちゃんとした豆腐や、ちゃんとした梅干しが高価な理由もそこにある。
けれども「惣菜」には、そんな表示はされていない.
なぜならば、原材料の段階での使用ならば、「表示が省略できる」からである.
これを、業界用語で、「キャリーオーバー」という。
また、同じ目的なら、「一括表記してよい」ために、さまざまな薬品を組み合わせても、「ph調整剤」とか、「調味料」、「酸味料」、あるいは、「香料」などと「だけ」表記すればよいことになっている。
まことに、産業優先国家の面目躍如で、国民の健康やら情報提供には、無頓着で通している。
当然に、これらは、我われが選んだ議員によって推進されているのである。
さてそれで、富裕層を中心に、わが国でも「健康意識」は高まっていて、ある意味「カネに糸目をつけない」ひとたちが現れてきた。
これは、アメリカやヨーロッパでもそうで、むしろこうした地域からの受け売りの影響が、わが国もやってきたともいえる。
それはまた、国際的に人気のある、たとえば、サッカー選手でも、自身の健康寿命ならぬ「選手寿命」を考慮した、専属調理人を雇うのが当たり前、という情報からも広がってきている。
栄養学的な知見に基づいて、体調管理をするのが、高額報酬の一部になっている、というかんがえが前提にある。
億円単位の報酬が、ぜんぶ自分ひとりのもの、という発想は、古いのである。
すると、富裕層を対象にした高単価をターゲットにしたいなら、公衆のためのレストランがある宿泊施設とは、すでにおそらく「二流・三流扱い」となる。
専属料理人が使える、キッチンを備えた空間の提供はもとより、要望に応じた食材の提供、すなわち、仕入れが「手数料サービス」になるのだ。
これは、自動的に、食器やカトラリー類の揃えも、利用者の希望とどのように合致させるのか?という「サービス」になる。
もはや、料理人も給仕も、プライベートな使用人を引き連れてくるのが、富裕層なのである。
果たして、業界はこれに対応できるのか?
残念ながら、ほとんど無視している。
なので、なにを口にするかがわからない不安から、外国の富裕層が対日投資をしても、自ら来日しないのである。
その前に、超高級マンションの「ウィークリー賃貸」が先行するやもしれぬ。