昨日指摘した「アメリカ連邦つなぎ予算」の期限17日の直前になった14日、下院で次の「つなぎ予算案」が可決された。
わが国とちがう、大きく2本あって、1本は、軍や農業、運輸関連などが来年1月19日まで、もう一本が、それ以外を対象に2月2日までとなっている。
なお、アメリカの国家予算の会計年度は、10月1日~翌年9月30日までとなっている。
可決にあたっての票は、賛成336、反対95であったけど、気になるのは内訳で、共和党は賛成127、反対95、民主党は賛成209、反対2となって、民主党の賛成多数が共和党の反対を押し切ったから、共和党の議長からしたら身内の同意が得られなかったという皮肉な結果になっている。
大統領の与党たる民主党の議席が、中間選挙で野党共和党に逆転されて、ねじれ状態になっているのが、今回のつなぎ予算案では、少数与党の民主党が主導権を握ったごとくになったのだった。
何度も書くが、アメリカの国家予算編成権は、連邦下院議会にある。
わが国のように、行政府にある財務省ではないし、世界を仕切る最高権力者だといわれている、アメリカ大統領にも、予算編成権はないのだ。
アメリカの大統領は、財務省という事務局をつかって、議会で決まった予算の執行権限しかない。
つまり、「独裁」を排除する仕組みになっている。
わが国の場合は、明治からこの方ずっと、財務省(大蔵省)が予算編成権をもっていて、国会の承認(ろくに議論なんかしない)を経れば、財務省が執行権限ももっているし、国税庁を外局にして、徴税権ももっているから、「独裁」ができるのである。
この体制は、伊藤博文(長州閥)がつくりあげた鉄板で、「民主主義」をいうGHQもなぜか変更させなかったのは、占領後のわが国支配(征服の永久継続)に都合がいいからである。
それで話をアメリカに戻すと、連邦下院議長が、議会に予算案を提出するのである。
ために、議長職には議会事務局(議会事務局内に「予算局」がある)を差配する権限もあるので、わが国のお飾り的な衆議院議長とは、その権力の重大さも天と地ほどにことなる。
もちろん、議会警察(日本では「衛視」)も、下院議長の配下にあるので、あの「1月6日事件」について、当時のペロシ議長が仕組んだ偽旗作戦の「うわさ」が絶えないのである。
これに関しては、事件後、ペロシ議長から責任を追及され(濡れ衣を着させられ)て解任された、元議会警察署長が、下院議会で宣誓証言もして、だんだんと「うわさ」ではなくなってきた。
さて今回の予算可決について、さっそくNewsweekが特約している、アメリカ在住の、冷泉彰彦(本名:前田彰彦)氏が記事を寄稿している。
Newsweek誌も、典型的なグローバル全体主義側のプロパガンダ機関なので、「読解力」を要する。
もちろん、これと特約している冷泉氏も、メフィストフェレスに魂を売ったファウスト博士の立場にあるとかんがえていい。
なお、「冷泉」を名乗るが、あの和歌の名門「冷泉家」とは関係のない、ペンネームである。
それでもって、こうした記事の「読み方」は、事実だけをくみ取って、解説部分は切り捨てる、ということをしないといけない。
すると、重大なポイントは、ウクライナとイスラエルへの軍事支援は含まず、ということに尽きるのである。
現議長も与していたという、共和党の「強硬派(トランプ派)」が反対したのは、歳出カットは実施せず、という点である。
これには、「オバマ・ケア」からの流れをくむ、福祉予算もある。
個人の独立独歩を重視する共和党保守派(強硬派:トランプ派)は、個人の独立独歩を破壊する、手厚い福祉政策(=社会主義・グローバル全体主義)を否定するからだ。
もちろん、グローバル全体主義の推進を旨とするNewsweek誌は、手厚い福祉をドンドン推進させて、国民を安楽な奴隷に仕立てる意図をもっている。
なので、さいきんでは、「日本人をみよ」といって、個人の独立独歩を重視する保守的なアメリカ人は、奴隷化した日本人をおぞましい例として観察しているのである。
つまり、このつなぎ予算は、戦争の元になるカネづる(financial backer)を断ち切ったので、ゼレンスキー政権を見放した決定的な意味と、アメリカを社会主義化・グローバル全体主義化しようとする意図とのふたつが混在するものとなっている。
史上初めて下院議長を解任された、マッカーシー議員に対する同僚の共和党強硬派(トランプ派)による解任理由は、歳出カットを実施しないで、民主党と妥協し、なお、戦争屋の大統領がいう、ウクライナ支援も通そうとしたことだった。
だから、共和党トランプ派が、新議長解任をしないで、ただ反対したのは、決戦が来年の2月2日までに延長された、と解するべきなのである。
当然ながら、来年は大統領選挙の年で、2月2日とは投票日(11月5日)のほぼ9カ月前となるタイミングだ。
ここで仕掛けてくる、とみるのが、選挙決戦の攻防の山となるにちがいない。