エントロピー増大のディアスポラ

宇宙の大法則としられているのが、「エントロピー増大の法則」だ。

「秩序があるものは、その秩序が崩壊される方向にしか動かない」。

部屋が乱雑になるのは、この法則のわかりやすい例だから、元の整理された状態にするには、必ず「人手」がいる。
つまり、整理するという意思をもった、人間にしかできないのである。

残念ながら、人間以外の動物は、ぜんぶ、エントロピー増大の方向にしか行動できない。
どんなに可愛くて、賢い犬でも、部屋の整理を自分からすることはないし、万が一それを人間がみて、「きちんと整理されている」と感じることは、万が一もない。

犬や動物は、「空間の秩序ある状態」を認識できないのである。

せいぜい、本能として、巣の清潔を保つのが精いっぱいだ。
けれども、これらの動物がバカで劣っているのではなく、エントロピー増大の法則を全面的に受け入れているにちがいないので、ムダなことはしないだけではないのか?とおもう。

しかし、人間の堕落は、エントロピーの増大を放置するばかりか、積極的になることがある。
それが、戦争による破壊だし、あるいは、思想による行動での、ディアスポラ(移民)となっている。

戦争が拡大するのも、移民が増大するのも、エントロピー拡大の法則のままに任せることを装った事態なのだといえる。

つまりは、わざと、だ。

そもそも、ディアスポラのはじまりは、そこに住めないことからの移動であったはずだ。

歴史上最大規模の民族大移動は、学校でも習う、「ゲルマン人の大移動」であるが、その理由は、地球寒冷化であった。
ヨーロッパ北方の森に住んでいた、ゲルマン(ローマ人がこう呼んだが、語源は不詳)たちが、寒くて南下したら、ローマ帝国内に侵入することになった。

ゲルマン人の、森での生活の記憶が、ワーグナーの、『ジークフリート』になったのである。

しかし、聖書を読んだことがない日本人でも、「バビロン捕囚」の話は有名で、これでユダヤ人が世界に散らばって、とうとう20世紀半ばまで、国家を持つことはなかった。

すなわち、聖書にある数々の、「初め」のなかの、人為によるディアスポラの初め、ということになっている。
なお、「バベルの塔」の話で、言語をバラバラにしてひとを離散させたのは、「神」の御意思であったので念のため。

読み物として、日本人には理解できても、なかなか日本人の歴史的体験としての実感がないので、欧米人が言う、「ユダヤ問題」を理解するのは困難だ。

ただし、江戸幕府や明治新政府がやった、「転封:国替え」で、武士たちだけでなく町人も一緒に移り住むことはあった。
「白虎隊の悲劇」で有名な、会津藩が下北半島の南部藩から切り取った地に転封されて、多くの町人も一緒に移り住んだのである。

これも、ディアスポラのひとつだろうし、村ごと「逃散」したことも、喰えないためのディアスポラだといえる。

すると、集団化した愚鈍爺ばかりの経団連から要請されて、与党がやっている、移民受入策(「高度人材」なる、「奴隷」の欺瞞用語をつかう)で、あたかも吸い取り紙やら、電気配線の修理でつかう、はんだ吸い取り線のように、外国からの「人寄せ」に熱心になった。

どうやらこれを、望ましい「国際化」と呼ぶらしい。

これも、グローバル全体主義のアメリカ民主党・バイデン政権がやっている、国境の破壊を真似ているのだろう。

岸田氏を擁護するつもりはぜんぜんないものの、わが国における「移民の積極的受入」が、歴代自民党政権の基本政策になったのは、「少子・高齢化」による人口減少がはじまった、2000年ごろからのことである。

2009年からの民主党政権も、責任逃れはできない一貫性がある。

なので、おおくの保守系論者たちがいう、「真正保守だった安倍晋三氏亡きあと」という嘆きは、ネズミ講の詐欺にあっているひとが、知人・友人を巻きこむのと似ている。

このブログでは、安倍氏は、社会主義者だと、とっくに認定している。

ところで、同様にこのブログでなんども書いている、「社会主義」の反対語は、「自由主義」だということが、どうしても理解できないひとがいる。
なぜか次元のことなる、「保守主義」が連想されるからだ。

いわゆる、「保守か革新か」という、二択の政治キャンペーンが、いま衰退中のマスコミをしてわざと、延々と垂れ流してきたので、おおいに擦り込まれているのである。

この意味でなら、安倍氏は自ら、真正保守を装ったのである。

その保守とは、戦後レジューム(アメリカ民主党が支配したGHQによるわが国の征服体制)そのもののことだった。
なので、彼がいった、戦後レジューム「からの脱却」に、天才的詐欺師の言語魔術のタネがある。

いまや正確な表現が不明の、「N国党」幹事長にして、「つばさの党」代表、黒川敦彦氏が、ジェスチャー付きで歌うフレーズ、「おじいちゃんの代からC・I・A~」というのは、安倍氏を指して的を射ている。

さてそれで、入国ばかりが注目されるのは、インバウンドもおなじだが、出国のことが無視されている。

これは、日本人がディアスポラをする、という、より深刻な事態なのだけど。

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