このブログで、今年の年頭に書いた「道徳と倫理を問う年に」の「象徴的正念場」が、オリンピックになってきた。
ここでいう「オリンピック」とは、「主催する組織:国際オリンピック委員会」のことでもあるし、「開催地の政治環境」のことでもある。
つまり、この「二つ」に対する、「道徳」と「倫理」が問われ、その「邪悪性」が正面切って批判されるようになったのである。
改めて、道徳と倫理の定義を再掲する。
「道徳:moral(モラル)」は、善悪をわきまえるために、守るべき規範のこと。
「倫理:ethics(エシックス)」は、生きていく上で、人として守るべき道のこと。
そして、用法の例として、「交通道徳」と言っても「企業道徳」とは言わないことを挙げた。
「道徳は個人の内面における自発性」を、「倫理は客観性」に重心があるからだ。
さて、状況を確認すれば、キーワードは、「ジェノサイド」というおぞましい実態が、「占領地」で行われている、という事実をいう。
ここでいう、占領地とは、新疆ウイグル自治区のことだけでなく、チベット自治区しかり、内モンゴル自治区、それに満州を指す。
これらは、歴史的に別の「国」だったのである。
それを、軍事侵攻によって「占領」したから、「占領地」という。
彼の国の地図で、これらエリアを別の色分けをするのが正しく、また望ましいが、わが国の「文部科学省」は、学校教育の場でそのような指導を一切していない。
もちろん、「台湾」も別色が正しく、また望ましいのは、日清戦争での「台湾割譲」という痛恨のミスを明治政府が冒したことの反省でもある。
「下関条約」調印「後」において、清国側全権の李鴻章が発した「台湾は化外の地である」とうそぶいた一言で、この条約の無意味を嗤ったからである。
つまり、「清国」にとって、最初から台湾を自国領土だという意識なんか微塵もないものを日本にくれてやった、ということである。
だから、「割譲」ではなくて、日本は台湾が日本領であることの「確認」をすればよかった。
このことが、台湾の帰属問題として、現代にまで尾を引く原因になってしまって、わが国の安全保障に重大な懸念をつくっているのである。
当然だが、台湾が日本領だという確認をしたなら、蒋介石国民党に不法占拠されたという意味になって、北方領土とおなじく、「返還要求」ができるものを。
これが、岩里政男(李登輝)氏が、台湾の「日本復帰」を悲願としていたことの国際法的根拠であった。
さて、組織が腐敗すると、その組織の行動の全てから「腐臭」が漂うものである。
これが、上述の二つの組織に共通する。
もちろん、開催国側の「共産主義」は、最初から腐った思想なので、国全土が腐敗するのは当然で、「革命」とは、「腐敗運動」のことをいう。
人間の脳を腐敗させ、支配者と被支配者に区分する。
どちらの側も、別々の意味で脳が腐るので、支配者は大量殺人を正当化し、被支配者は奴隷の身に墜ちることに喜びを見出すようになる。
では、オリンピック委員会という組織の本質とは何か?を問えば、ヨーロッパ貴族の「余興」としてのスポーツ観戦であった。
すなわち、「アスリート」を「奴隷」扱いして、巨大な「サーカス(あるいは「猿回し」)」をもって、金銭的欲望も満たそうとする「運動」である。
この「邪悪」をごまかすための作文が、「オリンピック憲章」なのである。
つまり、『共産党宣言』と構造をおなじくする。
かつて、このような「秘密」が漏れることなく、「きれいごと」の中にあったものが、この度「ダダ漏れ」したのは、女子テニス界のトップ選手の「失踪」がトリガーとなったからであった。
だから、選手不参加というボイコットに、「努力を重ねてきた選手がかわいそう」というのは、猿回しのおじさんが猿に対して「憐憫の情」を表すようなもので、驚くほどの「偽善」と「欺瞞」がある。
猿が芸をしないと、猿回しのおじさんの収入がなくなることしか意味はない。
すると、選手自身が人間ならば、どういう「道徳」の発露があるのか?ということになる。
その選手が所属する「競技団体」には、「倫理」が問われて、女子テニス界は見事な意志決定をしたのだった。
そして、回り回る「お足=おカネ」によって、とうとう公式スポンサーに「倫理」が問われることにもなった。
アメリカ連邦議会は、これら企業に、スポンサーを降りるよう要請をはじめたのである。
そんなわけで、わが国の内閣は、日本オリンピック委員会の会長になった、柔道の山下泰裕氏を「派遣」すると決めたのは、山下氏がいまだに「猿」であると認識している証拠で、残念ながらこれを本人も認識しているということになる。
個人の道徳の発露も、委員会としての倫理もない。
そして、本来、国家から独立した民間組織のはずの、「オリンピック委員会」が、国家に依存していて、命ぜられたら断れないことまでが露わになった。
げにおそろしきは、国家が握る「予算=補助金」という「麻薬」なのである。
これを、文部科学省の配下にある、「スポーツ庁」が仕切っている。
はたしてその長官にも、「猿」を据えるという役人の邪悪がある。
次の興味は、はやくも「パリ・オリンピック」がどうなるのか?になったのである。
こんどは、フランス政府を牛耳るのが、ヨーロッパ貴族たちであることが披露されるにちがいない、という「期待」である。