内陸にあって、海に面しないのは全国に8県ある。
栃木、群馬、埼玉、山梨、長野、岐阜、滋賀、奈良の各県だ。
滋賀県には、琵琶湖という特別があるものの、奈良県を除いて7県はそれぞれ隣接していて、塊のようになっている。
まるで、本州の内臓のようにもみえる。
しかしこれは偶然ではなくて、本州の地面の構造に依っている。
本州が弓なりの島になっているのは、静岡・山梨・長野・新潟・埼玉・東京・神奈川・千葉の地下にある、フォッサマグナが原因だ。
西の縁は、富士川と糸魚川を結ぶ線で、東の縁は新潟の新発田と柏崎を起点にすれば、埼玉から千葉に抜けるといわれている。
ものすごく大きな範囲を抱え込んで、曲がっているのだ。
一方で、本州を縦断しているのが、中央構造線である。
フォッサマグナと中央構造線は、諏訪湖で交差して、ここから中央構造線は中央高速道とともに南下して岐阜から愛知を抜けて伊勢湾に潜り、紀伊半島を横断して淡路島をかすめて四国を分断し、九州も横断する。
すると、海に面しない8県のうち、滋賀県だけが中央構造線に触れず、逆に地下深くで奈良は飛び地ではない。
山梨県が水晶をはじめとした日本における宝石の山なのは、本州の構造を無視しては語れない。
この点、アジアの宝石島、スリランカと似ているのだ。
それもあって、山梨県にはインド系宝石商が多くいるので、インドカレー店が日本一の密度になっている。
前から不思議なのは、これら内陸県におけるエネルギー供給の方法だ。
たとえば、ガソリンである。
どうして、パイプラインを使わないで、タンクローリー車で輸送するのか?
これによる、輸送コスト分が高価になるのは当然で、住民は永遠にこれを負担せずには生活できない。
いま日本一の空き家率(約3割)を誇る?山梨県に移住をかんがえたことがあった。
このときは、ほぼ毎週、山梨県の物件やらを物色に出かけていた。
それで、わが家周辺のスタンドと比べて、ときに20円/リットルも高価なガソリン価格に怯んだのは事実である。
また、山梨県における都市ガスの世帯供給では、全国都道府県ランキングで43位という問題もある。
失礼ながら、東北地方にも劣るのだ。
富士山や南アルプスがあるから、という理由説明で納得できるものか。
甲府以外の甲府盆地だって、プロパンに頼っているのだ。
まずは、先日、印章業のひとたちを引き連れて、自民党幹事長に直訴した山梨県知事に聞きたいのは、「住みやすい県」としてのインフラ整備をどう考えているのか?である。
前にも書いたがこのひとは、もと財務官僚で、国家予算を自分が取り付けると選挙で主張していた、「逸材」だ。
まことに、山梨県の不幸は、マックス・ウェーバーがいうところの、「最高の官僚は、最低の政治家である」をそのままいくひとを選ぶセンスにあるといわざるをえない。
つまり、自業自得だ。
そんなわけで、わが家の移住計画の対象地から山梨県は、消えた。
いまは、たまに温泉に行きながら、その衰退の状況を観察している。
人口減少社会の到来という意味とはややちがう、ほぼ首都圏に位置するにもかかわらず政策選択の誤りを原因とした衰退として、山梨県はわが国の最先端であるのだ。
さてそれで、「はんこ」の話である。
書類のデジタル化を推進すれば、かならず発生するのが「はんこ」の問題である。
日本人は、どうして「はんこ」を必要としたのか?
現代の経済取引についていえば、「承認」したことの証明だし、法的権利関係でもおなじである。
なぜなら、経済取引だって、法的手続きを伴っているからだ。
社内の「見た判」だけなら、シャチハタも許されるけど、管理職になって押印する決裁書なら、もうそれは立派な「私文書」だから、シャチハタでは許されない。決裁書には法的根拠がある。
公務員なら、全部が「公文書」で、はんこを含めて改竄は罪になる。
それで、百均の劣悪な認め印が、あんがいと「実印」にだってなるのは、あんまり品質がまちまちで、意外な場所に「欠け」があるから、この偶然がオリジナルになるのである。
どれをとってもおなじ、というシャチハタの完璧な品質が、「実印」や「銀行印」にぜんぜん向かないのはこのためだ。
しかし、百均の劣悪は、あたらしく不意に「欠ける」ことがあるので、陰影が変わる。
それで、やっぱりよほどの勇気がないと「実印」に登録するひとはいない。
銀行は銀行印の省略をはじめたけど、ゆうちょ銀行はそうはいかない。
国内の津々浦々を出張していたときは、ゆうちょ銀行に口座がないと現金の引き出しに困ることがあるけど、口座開設に「はんこ」がいる。
「戸籍制度」と「印鑑登録制度」がセットになっている。
これがわが国の体制で、果たしてこれも「行革」の対象なのか?
戸籍制度があって、「マイナンバー」もできたから、二重行政である。
でも、これを是正するとは誰も口にしていない。
アメリカの不正選挙を見せつけられたら、「戸籍」がないと困ることになるかもしれない。
もちろん、文書はワープロで作成しても、はんこがないと契約書にならない。
これに相応するのは、改竄できない電子技術が必要だから、ブロックチェーンのはんこがいる。
そんなわけで、山梨県だけでなく全国のはんこやさんには、まだたっぷり時間がある。
事業構造の変化をかんがえるための時間のことだ。
でも、なんだかわからない行動をして、仕事をした気になっている知事には、任期があるから時間がない。
でもきっと、センスがない山梨県人は、「知事よくやった」と喜んでいるのだろう。
これ、ほんとう?