デジタル・タトゥーの恐怖

デジタル社会とは、全てをアーカイブして「不滅」にする、と書いた。

回転寿司店チェーンの「スシロー」を舞台にした、高校生によるペロペロ事件が「海外」のテレビ・ニュースにも拡散して、本人の発想を超えてしまった。

こうした、いたずらや迷惑行為を、動画などにして投稿する、いわゆるSNSを媒体にした、個人のバカげた行為を、ツイッターなら、「バカッター」、インスタグラムなら、「バカスタグラム」、ティックトックなら、「バカトック」という新語ができた。

けれども、この安易な発想による行為が、経済的損失になると、事業者から本人への賠償請求になるのは、当たり前だ。
その場のリアルだけなら、むかしからあったかもしれない行為だとしても、これを撮影してネットに投稿したとたんに、バーチャル空間へ展開して、もう本人のコントロール不可能な状態になる。

つまり、これは、発信する側の、情報リテラシーが問われる問題となる。

これまでは、情報の受け手としてのリテラシーのことをいっていたけど、誰でも手軽に簡単にアップできることから、もう「子供のいたずら」では済まされない。

今回の「事件」は、店側が被害届を警察に出したから、法律上も「事件」になった。
受理したから今後は、警察による、「捜査」がはじまる。

しかしながら、ネット上では、もうとっくに本人は特定されていて、現場の店舗も特定されている。

ついでに、今回の犯人とはべつに、老婆がレーンを移動中のフライドポテトを1本つまみ食いしている映像やら、またべつの投稿動画では、移動中の寿司にワサビをぶっかける動画も、「関連」としてバズっている。

これらの「犯人」も、すぐさま特定されるのが、デジタル・データが「不滅」ゆえの特性からなる。

では、その犯罪性はどうなのか?
つまり、「刑事事件」としてみたときの、罪深さのことである。
残念ながら、けっして「軽犯罪」とはならないのだ。

これを、また、高橋裕樹弁護士が動画で解説している。
それによると、「窃盗」(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)、「器物損壊」(3年以上の懲役または30万円)となるし、ネットに投稿したら、「偽計業務妨害」(3年以下、50万円以下)にもなる。
さらに、そんな目的で入店したのなら、「建造物侵入罪」(3年以下、10万円以下)にだってなる。

なお、窃盗に関連して、店員などから逮捕を免れようとしたり、証拠隠滅をするにあたって、暴行や脅迫をしてしまった場合、「事後強盗罪」(5年から20年の懲役:最も軽くて5年という意味)となるし、それによって相手に怪我や死亡させてしまうと、「強盗致傷罪」とか「強盗殺人罪」になって、無期刑や死刑にまでなってしまうのだ。

つまり、そんなつもりじゃなかった、ということにはならないし、刑罰は「足し算」される。

『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンより、厳しい社会的制裁を受けることになるのは、データが「不滅」ゆえに、もっと深刻なことになる。

それは、家族や子孫にも及ぶからだ。
なにせ、個人は特定される、ということでの、「不滅」もあるのだ。

よって、これを、「デジタル・タトゥー」という。

一度刻まれたら、一生消えないタトゥー(入れ墨:刺青)だけど、大金と痛い思いをして、皮膚移植をしてなんとかするひともいる。
けれども、デジタル・タトゥーは、本人によるコントロールが不能なので、どうにもならない。

オリジナル・データを削除しようが、いったん拡散されたら、もうどうにもならないのである。

なので、「戸籍」における犯歴の管理とは別に、デジタル・タトゥーは、次元のちがう管理をされていることに気づかないことの、マヌケさは、「バカ」では済まない。

だから、いまの時代は、「正しい生き方」をしないと、一生の不覚どころではない、「不滅の不覚」になるのだ。
これを、大光明だと書いたのは、世界にあるサーバーだけでなく、量子が自動的に書き込んで記録するからでもある。

それでもって、へんなことをしているひとはいないか?を、勝手に監視するために入店したひとが、迷惑だとして非難されたのも、法的には「建造物侵入罪」になろうが、そもそもの「情報リテラシー」がない、マヌケなのである。

これはなにも、「若いから」だけでなく、いい歳をしたひとまでも、平気で目の前にある商品のつまみ食い(窃盗)ができるのは、していいことと悪いことの区別がつかないからである。

これははたして、「脳」の劣化なのか?と疑えば、あんがいと他人事ではない。
なぜならば、脳を破壊する物質を、だれでも長年食べていることに原因があるかもしれないからだ。

すると、単に「育ち」という中にある、躾や道徳の適切さを超えた、なにを食べて育ってきたのか?という大問題が隠されている可能性がある。
このことと、デジタル・タトゥーが結びついたのだとしたら、やっぱり、大変な世の中に住んでいることになる。

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