トヨタ自動車には、かつて「日銀管理」になった苦い歴史がある。
豊田家の当主でもある、現社長がこの歴史を知らないはずがない。
なので、知らないのは、自動車ジャーナリストとか、経済評論家で名を馳せているひとたちになっている可能性がある。
クルマ自体の機能や、クルマの売れ行きしか見ないことでも、それなりの解説はできるからである。
とはいえ、新年冒頭に出た、トヨタや日鉄が、日本から出て行くことの「仮説」は、大きな話題になっている。
もしもこんなことが実現したら、「日本(経済)沈没」となるからである。
この話の論理は、政府との対立の結末、ということになっている。
いわゆる、日本政府による「トヨタ・イジメ」が、とうとうトヨタをして日本脱出へと決心させる、というシナリオなのだ。
もちろん、鉄板を大口でつかってくれるトヨタの後を追いかけて、関連企業はみんな追随するから、その筆頭に日鉄の名が挙がったのだろう。
産業のすそ野の広さが、自動車産業の最大の特徴なのだ。
けれども、一方で、EV(電気自動車)の雄である、テスラに陰りが見えている。
それが昨年末からの株価の値下がりで、とうとう半値にまでなってきた。
テスラ車ユーザーの半分が、次の買い換えでもうEVには乗らない、と回答したアンケートもこの値動きに影響しているという。
じっさいに、8割と高率でEVが普及したノルウェーは、国民に購入させるための補助金や保有期間にかかる税金が思い切りユーザーを有利にさせる政策で実現したし、充電スタンドの設置も、ガソリンスタンド並みの密度になるよう政府が投資した。
これは、典型的な自由経済への政府の介入(=社会主義政策)といえる。
EVが普及することは、すなわち、充電池需要が増えることになって、いま主流のリチウムイオン電池の原材料で希少資源のリチウムの世界価格が暴騰してしまい、これまでとおなじ額で国民にEVを購入させるための政府の補助金が自動的に増額となって、とうとう福祉予算の削減まで議論される財政の困窮化になっている。
しかも、スエーデンは油田をもっているけど、これはぜんぶ輸出に廻してこれをEV普及の財源にして、電気エネルギーの多くは水力発電に依存している。
このことも一見クリーンで合理的に見えるけど、とかく現代人は「原始人に戻る意味での先祖返り」をしている。
つまり、「エネルギー保存の法則」をすっかり忘れてしまった。
他国に販売された石油は、どこかでかならず燃やされているし、水力がクリーンでないことは、「黒四ダム」で富山湾が壊滅的に汚染されたことでもわかる。
わたしの住む神奈川県も、相模川水系のダムで、相模湾の汚染は手に負えず、ほぼ漁業がダメになった。
水はよどむとかならず腐るからで、腐った水が海へと注いでいるのだ。
治水と環境は、なかなか共存しない難しさがある。
温暖化で「北極の氷」が溶けると海水面が上がって、世界の都市が水没する、という波状攻撃的なプロパガンダで、「アルキメデスの原理」すらわからない状態に追いやられたことの反省がないのである。
この「反省しない」というのは、「大衆」の典型的思考だと何度も書いてきた。
ゆえに、大衆はぜったいに進化しないで、民主主義における絶対権力を持っていると勘違いするのである。
この大衆の、ダメ犬のような習性を利用しようとしているのが、共産主義・全体主義をもって、人類の奴隷化を意図するひとたちだ。
それが、EUであり、国連(UN)である。
どうして決まったのかしらないが、EUであたらしい決定があった。
それは、食料トレーサビリティで、環境や人権を傷めてはいない証明がない物資の、EU圏内への輸入を禁じたのである。
つまり、「フェア・トレードの強制」だ。
たしかに、環境破壊や人権弾圧は、「悪」である。
けれども、いきなりぜんぶ、というのはいかがなものか?
急ブレーキは、乗員の身体を傷つけないか?ということだ。
奴隷的労働が指摘される食品は、歴史的にチョコレートの原材料である、カカオのことが思いつくし、コーヒーもしかりだ。
これに、トマトの缶詰が加わるのかどうかはまだわからない。
まさか、蟹も?
これらはかならずわが国にも影響する。
そしてそれが、世界政府、という現実なのである。
トヨタ・イジメは、欧米の自動車会社が、日本車の技術水準にギブアップしたことが、「EVシフト」という政治になった。
ところが、昨年末までに、ベンツやBMW,それに、VWといったドイツのトップが、こぞって「EVシフトの危険性」を訴えはじめたのである。
それが、「自滅」になると気がついた、と。
また、民主党から共和党に寝返って、Twitter社を買収し、さらに「Twitter File砲」が炸裂しつづけていることでの、イーロン・マスク氏への反発が、テスラ株にも影響しているはずだ。
なにしろ、今どきの欧米左翼は、超資産家の大富豪ばかりなのである。
すると、もしや上のEUの決定は、ずっと逆らいそうなイタリアへの嫌がらせを意味しないかと疑う。
トマト缶の闇は、イタリア・マフィアにまで及ぶから、このひとたちがEUを逆恨みしたらどうなるのだろう?
日本の過去の失敗で、その後の歴史的意味合いがおおきかったのは、「金解禁」というグローバル化だった。
これは、昭和5年(1930年)に、浜口雄幸立憲民政党内閣の井上準之助大蔵大臣が断行したものだ。
世界史では、前年の1929年に、「世界恐慌」が起きた、とある。
つまり、わが国は自ら「恐慌の扉を開いた」ことで、昭和恐慌になってしまう。
農業では、昭和5年は史上初の米価下落による「豊作飢饉」があって、翌6年には本物の「冷害大凶作」になったのである。
これで疲弊した東北は、まさに阿鼻叫喚の事態となって、長男以外が軍にいたから、「5.15」(昭和7年)や、その後の「2.26」(昭和11年)になっていく。
そんなわけで、他国がやっているから、とか、日本は遅れている、とかという言動には注意がいて、場合によっては「うそ」だと判断することがひつようなのである。
いま、井上準之助はバカだという評価があるけれど、濱口雄幸や立憲民政党のことをいうひとがいない。
東京駅頭で暗殺されたとはいえ、濱口と立憲民政党の正体とはなにか?は、安倍氏と重ねてなお、重要事なのである。
なので、まだ、日本以外が酷いことになっている。