ロシアの独裁者として、旧東側では「新しいスターリン」と恐れられている人物である。
かつての軍事同盟、「ワルシャワ条約機構」加盟の衛星国は、すべて「NATO」に加盟して、最前線にあたるポーランドではNATO軍特に空軍の増強要望が絶えない。
国土が「真っ平ら(これを、「ポーラ」という)なので、陸軍では間に合わないのだ。
さらに、ポーランドには第一次大戦の初戦、「タンネンベルクの戦い」の記憶がある。
しかも、このときの「タンネンベルク」は、ドイツ領だった。
この会戦が「歴史的」なのは、50万で圧倒するロシア軍を、28万のドイツ軍が「殲滅」させたことである。
この9年前、ロシアは日本海海戦で、その主力艦隊が殲滅させられたばかりだった。
つまり、海軍についで陸軍(当時世界最強といわれた)も、ともにこの世から「消滅する」憂き目を経験している。
50万人の遺体をどうやって葬ったのか?についての書籍をみたことがない。
4年前、実際に現地を訪問したら、当時のドイツがつくった「戦勝モニュメント」の「跡地」に、案内看板がポツンと立っていた。
戦後(第一次大戦)、ポーランドがドイツから独立して、このモニュメントをポーランド側が破戒したのは、ドイツへの怨みであった。
しかし、ポーランド亡国の歴史には、ロシア帝国の女帝エカチェリーナ2世が関与したので、ロシアに甘い国民感情はない。
ちなみに、このひとは皇后の立場でクーデターを起こして「帝位」についたひとでもある。
しかして、プーチン氏の実態は?となると、「よくわからない」のが日本人のふつうだろう。
だから、どうしてもイメージ先行となって、マスコミ報道のリードにお任せの状態に「洗脳」されるのだ。
元KGB(秘密警察)の幹部だった氏が、この度興味深い演説をした。
それを、『HARANO Times』氏が動画にしている。
それは、きわめて常識的な、しかも「穏健な保守思想」によるものだった。
つまり、現代の「西側」で起きている、「先進的な左翼政策」を真っ向から批判しているのである。
そしてその「論」に、えらく説得力があるのは、かつてのソ連共産党がやった、「政策」との酷似と、もっと進化させた「過激」だという事例付きの解説である。
もちろん、プーチン氏は、ソ連共産党をこき下ろしている。
「中のひと」だっただけに、「手法」の解説はわかりやすい。
とくに「言葉の用語」を変えるのは、伝統的なやり方なのである。
たとえば、男女の別をなくすのが、どうして「革命思想」なのか?
それは、「家族の解体」による、「個人のアトム化」こそが、共産主義の理想だからだ。
実際にソ連では、「母」のことを「子を産んだ人」と言い換え、「母乳」を「人乳」と言っていた。
それで、学校では子供たちに自分の親の反革命的な言動の、「密告」を奨励したのだった。
たとえ両親がシベリア送りになっても、密告した本人は「革命の英雄」として国家が育成する。
そうした「孤児」が、どんな心の傷をもったおとなになったかは、まったく悲惨としか言いようがない。
しかしいま、西側先進国では、「性」を決めるのは本人の選択(本人だけの権利)だとして、親にも相談させることなく、「転換手術」を決断させ、一生の決定を子供本人にさせている。
これこそ、ソ連共産党もなし得なかった暴挙だと。
さて、昨夜は日本好きの外国人の日本ご招待番組で、「たい焼き屋」を開業したロシア人女性が特集されていた。
彼女の店は、3軒に拡大し、なお地方都市にはフランチャイズ店まで開業していた。
驚くべき「やり手」ぶりを披露して、先生に当たる日本人一家は唖然とするしかない場面があった。
高齢の先生は差し置いても、息子二人はどうするのか?
「合弁会社」を設立するイメージすらないようだった。
彼女が拠点としているのは、サンクト・ペテルブルク、かつての「レニングラード」である。
レーニンの名前を冠した街だったところで、人気の飲食店を経営している若き女性の脳裡には、ちゃんとした「資本主義」のかんがえ方がある。
一方で、わが国の方は、「個人商店」に留まっている。
この違いは、どこからやってくるのか?
さすれば、国民の国家依存を強化する自民党・公明党という、社会主義政党が、左翼系の全野党を飲み込んで、独裁体制を作りだしている。
一方で、とっくに独裁体制を構築したかにみえるロシアでは、社会主義を否定しているのである。
まさに、驚くべき大転換が起きてきている。
これには、アメリカをもってしても社会主義化が推進されているのだから、実は「新冷戦」とは、米中のことではなくて、やっぱり米ロのことなのだ。
しかし、その「価値観」がひっくり返った。
日本は、ロシア研究を深める必要がうまれた。