バイデン政権がかつてない強力な経済制裁として、ロシアを「SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間通信協会)」から外してしまった。
けれども、プーチン政権側は、ドル決済に依存しない準備をしていた。
それが、金(ゴールド)の準備であった。
ロシアの金保有高は、世界第4位なのだ。
ちなみに、世界に保有されている全部の金の3分の2は、日本産出のものといわれている。
主な産地は、言うまでもなく「佐渡金山」だった。
それにロシアから資源を購入し続けたい、インドや中国は、アメリカ・バイデン政権による「SWIFT外し」を無視している。
これはいったいどういうことか?
「金本位制」への回帰が始まったのである。
これを、「ブレトン・ウッズ3」という。
第二次世界大戦後にはっきりした、パクスブリタニカから、パクスアメリカーナへの変化で、世界通貨は「金・ドル」体制になった。
これを、「ブレトン・ウッズ1」という。
それから、アメリカの浪費(ベトナム戦争を含む)で、保有金とドル発行残高があわなくなって、金との交換保証を停止した「ニクソン・ショック」をもって、「ブレトン・ウッズ2」が否応なく始まっていまに至っている。
だから、ロシア経済制裁のブーメランで、これから「ブレトン・ウッズ3」が始まりそうだということなのである。
言い出したの、クレディ・スイスの若き天才ストラジリストだ。
ご本人のことは横にして、この会社は「悪名高き」ことでしられている。
なにせ、世界で「不正のデパート」状態をしでかしているのだ。
わが国だって、「飛ばし」をやって、金融庁から「追放」処分(1999年には銀行免許取消)をくらったほどだ。
ただし、日本国内にある多くの、特に欧米系「外資系金融機関」の「本音」は、いまだに「不平等条約」があることを前提にしている「節」がある。
かんたんにいえば、日本国内法ではなくて「本国の法」をもって「正統」とするから、日本国内法を無視して当然、という感覚があることは否めない。
これには、「一理」あるので、ややこしいのだ。
たとえばサッチャー時代にやった、ロンドン・シティの金融制度改革を、「ビッグバン」と呼んだのは、宇宙のはじまりのごとく、あらゆる規制を撤廃して、「市場の活性化」を優先させたのだが、「日本版」という枕詞がつくと、たちまちにして「規制撤廃」がどこかへ飛んでいくごとくである。
すなわち、「世界標準ではない」ということが、結局は東京を世界の金融センターにできなかった理由なのだ。
大阪なら「できる」ということでの「計画」が、大阪府と大阪市がやっているけど、よほどの「特区」にしないと不可能である。
ただし、テニスの「ウィンブルドン化」と揶揄されるように、ロンドン・シティの金融機関は、ほとんどが英国資本の企業ではなく、「場貸し」ということになったのである。
世界的権威あるテニス大会に、出場する英国選手が皆無だからだ。
日本の場合、どっちなのかの選択決定ができないために、中途半端な「金融市場」になったので、香港との競争にあっさり敗退し、その香港が不自由になっても誰も日本にやってこず、シンガポールに移動している。
この「どっち」とは、世界標準にするのか?それとも、実業を優先させるのか?の選択だ。
世界標準とは、「虚業が実業を支配すること」の「隠語」である。
あたかも、日本は「金融鎖国」していたから、昭和のはじめの「金解禁=国際標準」での恐慌にならずに済んだ。
けれども、「貪欲さ」にかけては尋常でない欧米人の発想は、しっかりと「日本(企業)買い」をやっていて、なんとこれを日本政府が援護している。
そんなわけで、わが国企業の多くが、目立たないように外資に買われてしまっている。
たまたま中国への大規模売却をしたのが、ブリジストンでこれは「目立った」けれど。
つまり、「ロシアが大変」なのではなくて、とっくに「日本が大変」なのだ。
アメリカの電力に余裕がある州では、大量のパソコンを24時間稼働させてビットコインの「マイニング:採掘」をさせている。
わが国では、本物の金やら銀・銅などの「採掘」が、採算ベースになるかもしれないほどに「高騰」している。
「ブレトン・ウッズ3」では、金だけでなくあらゆる「資源」が「本位制」の対象になるという。
すると、「既存通貨」はどうなるのか?
資源の裏打ちが通貨の価値を決めるなら、ロシア経済の問題点とは、ロシアではなくて「その他」の方が問題だという「問題点」なのだ。
「虚業」のひとたちの行動は、「安く買って高く売る」というパターンと、「空売り」によるパターンの二通り「しか」ない。
いったん、ロシアのルーブルを紙切れ同然にして、「実は」本位制に移行させれば、天文学的儲けが生まれる。
その儲け分を負担するのは、世界の一般人たちなのである。