過去、カナダの政治状況が世界で話題になることは少なく、よってそれが、「世界をリードする」こともなかった。
しかしながら、ジャスティン・トルドー氏の「イケメン」ぶりから、わが国の淑女に衝撃を与えて以来、状況は大変化した。
カナダ国会は「2院制」だけれども、選挙で選ばれるのは「下院(「庶民院」という)」だけで、「上院(「元老院」という)」は、首相が助言して総督が国王の名において任命することになっている。
上院議員の定数は、15名で、任期の期限は本人が満75歳までである。
本国であるイギリスの国会をそのままコピーしたのだろう。
庶民院(日本だと「衆議院」)の任期は5年だが、わが国とおなじで「解散・総選挙」はある。
いまの議員たちは、2021年の解散・総選挙で選ばれたけど、その前の総選挙は2019年だったから、2年あまりで選挙になった。
カナダの政治状況が世界で話題にならなかった理由に、「保守大国」だったことでの「安定」があったからである。
しかし、「保守党」のいつもの「腐敗」と、「世界潮流」になっている「左派:グローバリスト」の台頭で、カナダもイカレてしまった。
そんなカナダが「発祥」の、トラック野郎たちの大規模デモに、徹底的な「弾圧」をやったのがトルドー氏であったけど、その根拠として発令した「緊急事態法=戦時特祖法」には、「検証の義務」というアフターケアがついている。
これには、めったに政府案に「反対しない」元老院が、「おかしい」と反対の意向を言い出したこともあって、「空気を読んだ?」野党・保守党側も、トルドー氏に日和る党首を解任して、あたらしい党首選びという「化学反応」も起きている。
ヨーロッパ系のひとたちが、「空気」を意識するというのは、あんがいと珍しい。
彼らは、「世論調査」とかという「根拠」をもってかんがえる特徴があるからだ。
そしてそれが、「選挙での投票行動」に直結するので、「気になる」のである。
しかし、マスコミが特定思想とか、特定党派のプロパガンダ機関に成り下がったので、「世論調査」に公平性と信憑性という基本が失われてしまった。
そこで、もっと深いところにある「基本」にもどって、各議員の地元支持者の「話を聞く」ということになったのである。
そこでの、住民たちの「政府への怒り」が、ようやく議員の政治活動に根拠を与える、という「原点」に戻ったのだった。
そうやって、「票」のエネルギーを得たひとたちが、党首を「解任する」結果を出した。
いまは水面下にあって、外国人には見えにくいけど、カナダ保守党の党首選挙が、あんがいと世界の将来に「保守回帰」という影響を与える可能性がでてきたのである。
その理由は、最有力候補の「主張」が、いまや本国の「英国保守党」ですら見失った、「保守主義」だからで、さらにこのひとは「世界経済フォーラム」の「非会員」であることが「確認」されているばかりか、この会議の存在に「反対表明」しているいまどき珍しい政治家なのだ。
英国の「保守主義」で「保守する」こととは、過去・現在・未来という時系列における「普遍的価値」を対象にしている。
自分を中心に捉えれば、過去とは、自分が生まれる前の全部の時間を指し、未来とは、自分がこの世を去ってからの全部の時間をイメージする。
だから、自分は、過去からの価値を未来へと引き継ぐための、「リレー」をしているなかでの「バトン」であり、「たすき」に過ぎない。
このひとたちは、とにかく「理屈」をしっかりかんがえるのだ。
日本人が、「感性」に重きをおくのとは、いまでも「ちがう」ので注意がいる。
だから、日本語でいう「保守」が、「軽く」なって浮遊・漂流し、あげくに意味を失うのである。
トルドー氏が率いる「自由党」は、ダブル・スタンダードの典型的表現法「ニュー・スピーク」をもってかんがえれば、正しくは「不自由党」なのだが、為政者だけの自由党、と言い換えればちゃんと意味が通じる。
わが国の「中途半端さ」は、より「悪質」で、どっちつかず故の「ごまかし」が効いてしまう。
「自由」なのか?「民主」なのか?が党名にもはっきりしないのは、このためだ。
おなじく「ニュー・スピーク」で解釈すれば、「自由でも民主でもない党」という意味になって、妙に実態と合致して説得力があるのだ。
さて、カナダ保守党の「揺れ戻し」が現実になると、まっ先に「SDGs」への反対表明をすると予告されている。
たとえば、トルドー政権は「ロシア制裁」で、ロシアからの原油輸入を止めると決めたが、「不足分はどうするか?」について、別の国からの「輸入」と答えている。
これがカナダ人にとってトンチンカンに聞こえるのは、カナダは1日当たりの原油生産量で、「世界4位」なのである。
どうして自国での「増産」をかんがえないのか?
自国内で原発の全廃を決めたけど、フランスの原発で発電された電気を買って「持続可能性」に満足しているドイツ人のおつむのやばさにそっくりなのだ。
そんなわけで、カナダが新しい世界政治潮流の発信元になる可能性がある。