口火を切ったアメリカ下院

アメリカで「政府の武器化」という、日本人には馴染みのない言葉が使われたのは、昨年の中間選挙で当選した議員でなる新議会が1月3日に召集されたことからはじまる。

下院を制したのは、民主党大統領からみて野党・共和党であったけど、共和党内に残存するRINO(Republican In Name Only:名ばかり共和党:軍産複合体)が疑われるのに、ずっと「小数派院内総務:議会少数派リーダー」だった、ケビン・マッカーシー議員を、議長に据えるための、共和党内における条件闘争があったのだった。

「議長が決まらない」ことについては、トランプ派が多数になった共和党内での内部対立を嗤う記事が、民主党を応援するメインストリーム(主要マスコミ)が連発したけど、一般のアメリカ人はあんがいと冷静だった。

なぜなら、すでに何度か別々に実施された、有権者アンケート調査で、アメリカ人の半数以上が、メインストリーム・メディアの報道を「信じない」と回答しているからである。
また、この中の多数が、「DS:ディープステート:闇の政府」の存在を、「信じている」のだ。

もちろん、ついこの間までだったら、「DS」といったり書いたりしたら、「陰謀論」だとしてまともなひとにまともに相手にされないことになる、「常識」があったけど、過ぎたれば及ばざるが如しで、やり過ぎたメインストリーム・メディアの方が、いまや「陰謀論の発信源」となってしまった。

アメリカの極左メディアを、「中立の位置」に設定している、わが国メディアは、アメリカでは「過激極左」扱いとなるはずの、自民党や公明党を、「保守」としていまだに定義している。
ゆえに、自民党や公明党を「右」とする、「超極左」の新聞社やらの経営が成り立たなくなったのは、国民にとっては「慶事」なのである。

アメリカ国会の議長権限は、凄まじく、各委員会の委員長から、委員までを指名する。
昨年までの議長だった、民主党のペロシ女史は、2021年1月6日に起きた、連邦議会議事堂襲撃事件を調査するための、「1月6日委員会」を設置した。

この「政治:トランプ氏の有罪ありき」に、共和党側が選出した委員を、議長権限で拒否した「歴史初」が起きたから、これも将来、いまの議会で責任が追及されるのは必定だ。
ただし、この委員会がまとめた「報告書」は、おどろくほどの欺瞞に満ちていて、まったくの失敗に終わったのは幸いであった。

そんなわけで、書面にサインをさせられる屈辱があっても、議長に選ばれることに執念を燃やしたのが、マッカーシー氏という人物だ。
もうがんじがらめで、党内「契約」を破れないから、特に連邦捜査局(FBI)の武器化に関する議会公聴会(証人は宣誓するから、偽証したら即有罪:懲役となる)が、さっそく、8日に開催された。

呼ばれたのは、「検閲」をしていた、Twitter社で実行した元役員たちだ。

これを、世界ニュース系ユーチューバーでしられる、及川幸久氏が解説しているので、詳細は動画をご覧いただきたい。

ここで注目されるのは、共和党若手議員たちの、おそるべき追及なのである。
シラを切る証人が追いつめられて、とうとう、検閲の事実を「認める」さまは、下手な法廷ドラマよりも緊迫した迫力がある。
しかも、それは、2020年の大統領選挙中、民主党からの要請がはじまりだったのだ!

これで、バイデン政権の正当性までが、崩れだした。

まるで、ドラマと実写記録映像を組み合わせた、『ハンナ・アーレント』(2012年)での、「アイヒマン裁判」における、記録映像のようだ。
ユダヤ人大虐殺を取り仕切った、ナチス親衛隊中佐の実像は、小心で(ドイツ人らしい)律儀に命令に忠実な小役人としての、「ただのおっさん」だった。

これを、アーレントは、「悪の凡庸さ」として、誰でも状況によってアイヒマンになってしまうことの、「人間の性:保身」という恐ろしさを説いたのだった。

さらに、昨年初当選した、新人議員(アンナ・パウリナ・ルナ:フロリダ州選出:初のメキシコ系女性)の厳しい追及は、いったいどんな訓練を受けたらできるものなのか?
元空軍の女性兵士にして、33歳。
このひとが受けた教育訓練は、その良し悪しにかかわらず、決して日本的な教育にはない。

だから、このような議員が誕生することも、日本では期待できない。

しかしながら、すっかりグローバリズム全体主義に染まってしまったわが国の政官界を、今後どうするのか?といった場合、このような人物がでてこないと、国民は確実に不幸になるとおもわれる。

そのルナ議員は、Twitter社などの民間企業と、FBIや国家安全保障省などの政府機関が、「JIRA」という、サーバー・システムによって「連携」していることを曝露した。

なんだか、話がドンドン、社会派ドラマ、『エネミー・オブ・アメリカ』(1998年)のようになっているけど、現代の「事実」は、こんなもんじゃない。

さては、この政府が国民に対して牙をむく「武器化」の実態は、今後どこまで暴かれて、責任者の追及となるのか?
そしてこれが、どのようにわが国に飛び火するのか?

アメリカ議会の動きに、目が離せない。

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